あんこう鍋
あんこうといえば、あんこう鍋にして食べるのが定番の魚です。深海魚特有の少々グロテスクな見た目をしていますが、その見た目に反して味は絶品で「東のあんこう、西のふぐ」と称されるほどです。

そんなあんこうの中でも、栄養豊富でおいしいとされている部位が「あん肝」です。あん肝は私たちの身体にとって嬉しい効果をもたらしてくれる一方で、食べ過ぎると悪影響を及ぼす場合もあります。

今回は、あん肝の栄養と効果、食べ過ぎの注意点についてご紹介します。

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あん肝とは?

あんこう
「あん肝」とは、あんこうの肝臓です。

あんこうは水深500m程度の深海に生息している深海魚で、あんこう独特の少々グロテスクな見た目をしています。

頭には「誘引突起」と呼ばれるアンテナのようなものがあり、それを使って餌となる小魚をおびき寄せて捕食します。

しかし、その見た目に反して「あんこうは骨以外捨てるところがない」といわれるほど無駄なく食べられる魚です。

そんなあんこうの中でも、珍味として重宝されているのが「あん肝」なのです。

あんこうはエサの少ない深海に生息しているため、少ない栄養を脂肪として肝臓に蓄える性質があります。そのため、あんこうの肝は濃厚でまろやかな味わいとなり、まるでフォアグラのような高級感のある仕上がりになります。

あんこうの身はあっさりとした淡白な味わいで低脂質高タンパクな食材ですが、あん肝は脂質が多くビタミン・ミネラルも豊富に含みます。

旬はいつ?

あんこうの旬は気温の低い12~2月です。あんこう料理としてあんこう鍋が定番なのも、納得ですね。

冬は気温とともに水温も低くなるため、あんこうの身がしまって味が良くなります。

さらに、あんこうは産卵する春の時期に備えて、冬の間に栄養分を蓄えます。それによって身に脂がのるとともに肝臓の脂質が増加し、あん肝が大きく濃厚な味わいになるのです。産卵後は身の脂が落ち、味も劣ります。

では、あんこうは冬にしか食べられないのかというと、そうではありません。

以前は冬にしか食べることはできませんでした。しかし、現在では流通・加工技術が向上したため、冷凍やレトルトの商品に加工することで季節を問わずおいしいあんこうを食べられます。

あん肝のカロリーについて

それでは、あんこうのカロリーをみていきましょう。

100gあたり(可食部) あんこう(身) あん肝
エネルギー(kcal) 58 445
たんぱく質(g) 13 10
脂質(g) 0.2 41.9
炭水化物(g) 0.3 2.2

あんこうの身は脂質が少なく低カロリーです。一方、あん肝は40%以上が脂質で構成されており、そのぶんカロリーも高くなります。

ただし、タンパク質は100gあたり10.0gと豊富に含まれており、炭水化物は2.2gと低くなっています。

食べ過ぎは脂質とエネルギーの過剰摂取に注意が必要ですが、お酒のおつまみなどとして適量を食べるぶんには問題ないでしょう。

あん肝に含まれる栄養

美味しそうなあん肝
あん肝は、ビタミンやミネラルといった微量栄養素も豊富に含まれています。あん肝に含まれる代表的な栄養素について、その量と働きを具体的にみていきましょう。

100gあたり(可食部) あん肝(生)
鉄(mg) 1.2
銅(mg) 1.00
レチノール(μg 8300
ビタミンD(μg 110.0
ビタミンE(mg) 13.9
ビタミンB2(mg) 0.35
ビタミンB12(μg 39.1
ビオチン(μg 13.4

参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)参照

カルシウムの吸収を助ける

あん肝はビタミンDが豊富です。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進してくれる働きがあり、骨粗鬆症の予防に役立ちます。

あんこうの身100gあたりにに含まれるビタミンDは1.0μg、ビタミンDが豊富であるといわれている鮭でも33.0μgですから、あん肝のビタミンD含有量110μgがいかに多いかがわかります。

ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、脂質を多く含むあん肝に豊富に蓄えられているのです。

エネルギーの代謝を高める

あん肝にはビタミンB2、ビオチンも多く含まれています。

ビタミンB2は体内で補酵素としてほとんどすべての栄養素の代謝に関わっており、エネルギーの代謝を高めます。そのため、疲労回復に役立ちます。

また、ビオチンも糖質やアミノ酸、脂質の代謝に関わっており、ビタミンB2とともにエネルギー代謝を高めてくれます。

さらに、ビタミンB2とビオチンをはじめとしたビタミンB群は、皮膚粘膜の正常維持の役割も担っており、口内炎や肌荒れ防止に効果が期待できます。

貧血やめまいの改善

あん肝には鉄や銅といったミネラル、ビタミンB12も豊富です。鉄は赤血球の原料となるミネラルで、貧血の予防・改善には欠かせない栄養素です。

また、銅は私達の身体の骨や骨格筋、血液に存在していますが、鉄とともに造血機能に関わっています。

さらに、ビタミンB12も補酵素としてアミノ酸や脂質などの代謝に関わっており、不足すると悪性貧血を引き起こします。

以上のように、あん肝には造血機能に関わる重要な栄養素である鉄、銅、ビタミンB12が豊富に含まれているのです。そのため、貧血や貧血を原因とするめまいや立ちくらみなどの症状を予防・改善するのに役立ちます。

妊娠中の方は食べ過ぎ注意!

あん肝
あん肝にはレチノールが豊富に含まれています。

レチノールはビタミンAの一種で、ビタミンAは脂溶性ビタミンであるため脂質の多いあん肝に多く蓄えられています。

ビタミンAは視力の正常維持や、皮膚・粘膜の正常維持、細胞の成長や分化に関与しています。私たちの身体にとっては必要不可欠なビタミンですが、過剰摂取には注意が必要です。

ビタミンB群やビタミンCなどの水溶性ビタミンであれば、過剰に摂取したぶんは尿として体外へ排出されます。しかし、脂溶性ビタミンであるビタミンAは、過剰に摂取したぶんが体内に蓄積されてしまいます。

この場合、特に注意が必要なのが妊娠中の方です。

特に妊娠初期は、赤ちゃんの脳・神経系や心臓などの臓器、重要な身体の各種器官がつくられます。そんな妊娠期間にビタミンAを過剰に摂取してしまうと、赤ちゃんの形態異常や奇形を引き起こす可能性があるのです。

また、妊婦の方に関わらず、ビタミンAを過剰摂取すると吐き気や頭痛、めまい、目のかすみなどを引き起こします。

さらに、長期間に渡ってビタミンAの過剰摂取が続いた場合には、中枢神経系に影響を及ぼしたり、肝臓や骨、皮膚に異常をきたす可能性があります。

赤ちゃんだけでなく、大人にとっても過剰摂取は悪影響を及ぼす可能性があるのです。ビタミンAは私たちにとって必要な栄養素ですが、豊富なビタミンAを含むあん肝の食べ過ぎには注意が必要です。

あん肝はプリン体も豊富?

あん肝にはプリン体も豊富です。プリン体は、あん肝のほかにはイクラやタラコなどの魚卵、白子、ビールなどに多く含まれています。

プリン体を摂取すると、体内で代謝されて「尿酸」という物質に変化します。血中の尿酸値が高い状態が続くと、尿酸が結晶化して関節にたまり炎症を引き起こしますが、これがいわゆる「痛風」という病気なのです。

痛風は主に足の指など足の関節に発症しやすく、炎症を起こすと激しい痛みを引き起こします。

プリン体を豊富に含むあん肝を過剰に摂取すると、痛風になる可能性が高まるのです。

すでに持病で痛風を持っている方はもちろん、健康診断などで血中の尿酸値を注意されている方は、食べ過ぎに注意してください。

あん肝は食べ過ぎに注意!

あん肝は「海のフォアグラ」と呼ばれるほど濃厚でなめらかな味わいが特徴で、私たちの身体にとって必要なビタミン・ミネラルなどの栄養素を豊富に含んでいます。

そんなあん肝ですが、食べ過ぎるとビタミンAやプリン体の過剰摂取につながり、健康へ悪影響を及ぼす可能性もあるのです。

あん肝は味が絶品で栄養豊富な食材ですから、食べ過ぎに注意しておいしくあん肝を楽しみましょう!