夏が旬でネバネバ、シャキシャキ食感がおいしい食材「オクラ」。栄養価も高く、夏バテ防止や免疫力アップにも効果が期待できる食材です。
オクラは緑黄色野菜のひとつで、非常にたくさんの栄養を含んでいます。なかでも特徴的なのが、あの「ネバネバ」ですよね。オクラ独特のネバネバにも、実はうれしい栄養素が含まれています。
今回は、そんなオクラに含まれる栄養素や期待できる効果とともに、オクラの上手な保存方法についてご紹介します。
オクラに含まれる栄養と効能
オクラに含まれる栄養とその効果についてみていきましょう。
夏が旬の緑黄色野菜であるオクラには、様々な栄養が含まれています。特にオクラの特徴でもあるネバネバには食物繊維や夏に嬉しい栄養が含まれています。
オクラに含まれる代表的な栄養素について、その種類と効果についてそれぞれご紹介します。
ペクチン
「ペクチン」とは水溶性食物繊維のひとつで、血液中のコレステロール値を下げる働きや血糖値を下げる働きを持っています。
そのほかにも、オクラには「ガラクタン」や「アバラン」などといった食物繊維も豊富に含まれています。
水溶性食物繊維とは?
「水溶性食物繊維」とは何かというと、食物繊維の一種です。ひとことに食物繊維と行っても、大きく2種類に分かれます。
・不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は水に溶けにくい糸状・繊維状の成分です。ゴボウなどの野菜や大豆などの豆類、きのこなどに多く含まれています。
保水性が高く、胃腸の中で水分を含んで大きく膨らむため、便のかさを増して腸の蠕動運動を促し、便通を促進してくれます。
・水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は水溶性食物繊維は水に溶けやすく、オクラのようにネバネバしたものと、サラサラしたものがあります。オクラ以外には、わかめや昆布などの海藻類、こんにゃく、里芋などに多く含まれています。
粘性・吸着性があり、一緒に摂取した糖や脂肪の吸収を穏やかにしてくれます。さらに、大腸内で発酵・分解されると腸内環境が整って善玉菌が増えるため、整腸作用も期待できます。
ムチン
これはオクラのネバネバに含まれる代表的な成分です。ムチンは炭水化物とタンパク質の複合体であり、山芋やれんこん、なめこなどのぬめりにも含まれている成分です。
特有の粘り気は胃の粘膜を保護したりタンパク質の吸収を促進させる働きがあり、夏バテの改善・予防に最適な成分です。さらに、整腸作用にも役立ってくれます。
βカロテン
βカロテンはビタミンAの前駆体で、体内に吸収されると、必要な分だけビタミンAに変換されます。
緑黄色野菜に多く含まれている成分で、抗ガン作用や免疫力アップのほか、ビタミンAとして視力の維持、皮膚や粘膜の正常維持などにも役立ちます。
できるだけ生で!オクラの効果的な食べ方
オクラに含まれる豊富な栄養を効果的に摂取するためには、食べ方にもポイントがあります。オクラのメジャーな食べ方といえば、さっと茹でて調理する方法でしょうか。
しかし、オクラの栄養を余すことなく摂取するためには、生のままいただく方法がおすすめです。
オクラに含まれるペクチンやムチンといった成分は水溶性であるため、調理のときに茹ですぎるとお湯に溶け出し、水と一緒に捨てることになってしまいます。
そのため、オクラを食べるときにはできるだけ生で、もし茹でるのであれば短時間でさっと茹でる程度にしてくださいね。
また、オクラに含まれるβカロテンは脂溶性の成分です。そのため、油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。
生のオクラを和え物にするときにごま油を加えたり、油で軽く炒める、チーズなど脂質の多い食品と一緒に摂取する、といった食べ方もおすすめです。
オクラは冷凍保存が便利!
オクラはできるだけ生のまま食べるのがおすすめであるとご紹介しましたが、オクラは生のままだとあまり日持ちしないのが悩みどころでもあります。
そこで、オクラのおいしさと栄養をできるだけキープして、長持ちさせる保存方法をご紹介します。
まずは、オクラを購入するときにできるだけ新鮮なものを選びましょう。新鮮なオクラを見極めるポイントは、次のとおりです。
・鮮やかな緑色をしている。
・ヘタの切り口がみずみずしい。
・ガクがみずみずしく、角がはっきりしている。
・表面の細かい毛が密集している。
・触るとハリがあり、実の角がはっきりしている。
新鮮なオクラを購入したら、自宅での保存方法をひと工夫しましょう。
オクラは一般的に、生のまま冷蔵保存をした場合、3~4日程度しか日持ちしません。もし、冷蔵保存をしたい場合には、オクラを新聞紙やポリ袋に包んで野菜室で保存すると、比較的長持ちします。
それよりももっと長持ちさせたい場合には、オクラを冷凍保存しておくのがおすすめです。
冷凍保存でさらに長持ち!
冷凍保存しておくことで栄養やおいしさをキープすることができ、使いたいときに使いたい量だけ取り出せるため、調理するときにも非常に便利です。
オクラを冷凍保存するときには、あらかじめ下処理をしておきましょう。オクラを板ずりして産毛を落とし、水で洗ってキッチンペーパーなどでよく水気を取り除いておくことがポイントです。
オクラを生のまま冷凍する場合には、ガクを切り落としてまるごと、あるいは使いやすい形・大きさにカットして、ジッパー付きの保存袋などにいれて空気を抜いて冷凍庫に入れてください。
一度に使いやすい量ごとにわけて、ラップなどに包んでおくと、取り出すときに便利です。
また、オクラを茹でてから冷凍保存しておくこともできます。
板ずりをしたオクラを沸騰したお湯で10秒ほど茹でて、ザルに上げて冷ましてから水気をよく拭き取ります。
その後、使いやすい形・大きさにして、生のまま冷凍するときと同様にジッパー付きの保存袋に入れて冷凍庫に入れてください。
冷凍しておいたオクラを調理するときは、自然解凍でもおいしくいただけますし、冷凍のまま加熱調理することも可能です。
和え物やサラダにするときは自然解凍、炒めものやスープに入れるときは冷凍のまま加熱調理、といったように、作りたい料理に合わせて、解凍方法も選んでくださいね。
詳しい保存方法に関しては『オクラが長持ちする保存法は冷凍!選び方や茹でる際のコツをご紹介』にてご紹介しているので、そちらもぜひチェックしてみてくださいね!
オクラにもさまざまな種類がある
「オクラ」といえば、緑色で大人の指と同じくらいの長さの野菜を思い浮かべますよね。
オクラは英名で「okra」と書きますが、アメリカでは「レディーフィンガー」と呼ばれています。まさに、オクラの見た目と大きさ由来した呼び方ですね。
しかし、そんなオクラにも実はいろいろな種類があるのです。あまり馴染みはないかもしれませんが、オクラの種類についてみていきましょう。
紅オクラ
まずは「紅オクラ」です。
その名の通り、色が緑色ではなく、紅色をしています。大きさは一般的なオクラと同じくらいの大きさですが、表面の色が濃い赤紫色で、「紅オクラ」または「赤オクラ」とも呼ばれています。
紅オクラの中でもいくつかの品種があり、「ベニー」や「レッドサン」、「島の恋」という名前の品種が主流なようです。
紅オクラの特徴といえば、なんといってもその鮮やかな紅色になります。しかし、残念なことにこの紅色は加熱すると退色し、くすんだ緑色に変化してしまいます。そのため、紅オクラを食べるときには生食がおすすめです。
産毛が多くやや固めの食感であるため、あらかじめ産毛を落とし、薄めにスライスしたり細かく刻んだりすると食べやすいでしょう。
サラダや和え物に加えることで食卓に彩りが加わり、食欲の落ちやすい夏にもおいしくいただけます。
ミニオクラ
続いて「ミニオクラ」です。
一般的なオクラは、長さが5~7cmほどありますが、ミニオクラは長さが2~3cm、直径が1cmほどと、小さくかわいらしい見た目をしています。形は一般的なオクラと大差はなく、まさにオクラのミニチュアといった印象です。
というのも、ミニオクラとは一般的なオクラと品種は同じなのです。オクラが大きく成長する前に収穫したものが、ミニオクラとなります。
ミニオクラはオクラが若いうちに収穫するため、実が柔らかく食べやすいという特徴があります。しかし、オクラ独特のネバネバはしっかりとあり、味も遜色ありません。
ミニオクラは主に業務用として流通しているため、普段スーパーなどで見かけることはほとんどないかもしれません。もしもミニオクラを見かけたら、ぜひ一度食べてみたいですね。
花オクラ
最後に「花オクラ」です。
花オクラとは、その名の通りオクラの花のことです。通常はオクラの実をいただきますが、花オクラはオクラの花がおいしくなるように改良された品種になります。
オクラの花は淡い黄色で、かわいらしい見た目をしています。しかし見た目とは裏腹に、食べるとしっかりとオクラの風味とネバネバが感じられるのが特徴です。
花オクラはそのきれいな見た目を生かすために、生のままでいただく方法がおすすめです。花びらをちぎってサラダにトッピングしたり、和え物に混ぜる、あるいはスープなどの飾り付けとして使ってもいいかもしれません。
花オクラは傷みやすいため、スーパーでも見かける機会は少ないかもしれません。
しかし、エディブルフラワーとしてのおいしさや見た目の鮮やかさはトップクラスといわれており、普段の食卓はもちろんですが、パーティーなどのお料理にぜひ活用したいですね。
オクラをおいしくいただきましょう!
夏が旬のオクラについて、オクラに含まれる栄養とその効果をご紹介しました。
また、その豊富な栄養を余すことなく摂取するために、オクラの保存方法と調理方法にも気を配りたいですね。オクラは夏になると、スーパーなどで手軽に購入することができます。
夏バテ予防や健康維持のためにも、旬のオクラを毎日の食卓に取り入れて、おいしく元気に夏を過ごしてくださいね!