皮を剥いた玉ねぎ
様々な料理に幅広く活用できる食材「玉ねぎ」。値段も手頃で日持ちするため、家計にとっても強い味方です。

そんな玉ねぎには、私たちの身体にとって嬉しい効果を期待できる栄養素が豊富に含まれています。

玉ねぎに含まれている代表的な栄養素や働きとともに、効率の良い玉ねぎの食べ方やおいしい玉ねぎの選び方、上手な保存方法についてご紹介します。

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玉ねぎに期待できる効果・効能

刻んだ玉ねぎ
玉ねぎに含まれている栄養素には代表的なものがいくつかあり、そのおかげで私たちの身体にとって嬉しい効果が期待できるのです。それらの栄養素について、具体的な働きや効果をみていきましょう。

硫化アリル

硫化アリルは玉ねぎのツンとしたニオイや辛味のもととなっている成分で、玉ねぎの他にもネギやニンニク、ニラなどのユリ科の野菜に多く含まれています。

玉ねぎを切ったときに目が痛くなったり涙が出たりするのも、硫化アリルの刺激によるものです。

硫化アリルにも様々な種類がありますが、アリル基と硫黄元素を含んでいる化合物です。硫化アリルには血液の凝固を抑制する働きがあるため、動脈硬化予防や血栓予防に効果が期待できます。

さらに、血中コレステロール値の正常化やインスリン分泌の促進、免疫機能の向上、抗ガン作用などに役立つといわれています。

参照:野菜の栄養素と機能性成分

アリシン

アリシンは硫化アリルの一種で、玉ねぎの辛味成分です。とはいっても、実は玉ねぎにもともと多く含まれている成分ではありません。

生の玉ねぎには「アリイン」という硫化アリルが含まれています。玉ねぎを切ったりすりおろしたりして細胞が破壊されると、同じく玉ねぎに含まれている「アリイナーゼ」という酵素が働きます。この酵素の働きによって、アリインからアリシンが生成されるのです。

アリシンには殺菌作用と抗酸化作用があり、風邪の予防や食中毒の予防、抗ガン作用が期待できます。さらに、アリシンには血流を改善する効果があるため、血液をサラサラにして血栓ができるのを予防してくれます。

また、アリシンはビタミンB1と結合する性質を持っており、それによってビタミンB1の吸収が促進されます。ビタミンB1はエネルギー代謝に関与しているため、アリシンと一緒に摂取することで疲労回復にも役立ちます。

ケルセチン

ケルセチンはポリフェノールの一種であるフラボノイドに分類される成分で、玉ねぎの皮に多く含まれている黄色の色素成分です。

ポリフェノールには抗酸化作用があることが知られていますが、ケルセチンはその中でも特に強い抗酸化作用を持っており、動脈硬化や糖尿病といった生活習慣病の予防、抗ガン作用、抗炎症作用、さらにはアンチエイジングにも効果が期待できるといわれています。

玉ねぎは吸収されやすいケルセチンを豊富に含んでいることから、非常に効率のいい野菜であると言えるでしょう。

カリウム

カリウムは私たちの身体にとって必要不可欠なミネラルのひとつで、主に体内の水分調節の役割を担っています。

塩分の摂り過ぎなどによって溜まった余分な水分を排出する作用があり、血圧を下げる効果やむくみを予防・改善する効果が期待できます。

カリウムはこの他にも、心臓を含む全身の筋肉の収縮や神経刺激の伝達、細胞内での酵素反応などにも関与しています。

通常の食事をしていればカリウムが不足する可能性は低いですが、激しい嘔吐や下痢などによって不足すると、脱力感や筋力の低下、食欲不振等の症状を引き起こす場合があります。

カリウムは野菜や果物、海藻類といった植物性の食品に多く含まれています。水に溶ける性質があるため、食材を生のまま、あるいは茹で汁ごと食べると効率よく摂取することができます。

カリウムの1日あたりの摂取基準は18歳以上の男性で2,500mg、女性で2,000mgが目安量とされています。

また、高血圧の一次予防のための目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上となっています。

玉ねぎ1個当たりに含まれるカロリーと三大栄養素

新玉ねぎ
私たちが生きていくためには、原動力となるエネルギーが必要です。

ヒトをはじめ、動物は食べ物を摂取することによってエネルギーを作り出します。食べ物に含まれているエネルギーや身体の元となる3つの栄養素が「三大栄養素」と呼ばれているものです。

「三大栄養素」とは、たんぱく質、脂質、炭水化物の3つを指します。

まずは、これらエネルギーと三大栄養素であるたんぱく質、脂質、炭水化物とは具体的にどのようなものなのか、玉ねぎにはそれぞれどのくらい含まれているのかをみていきましょう。

エネルギー:65kcal

玉ねぎには一体どのくらいのエネルギー量が含まれているかというと、生の玉ねぎ100g(可食部)あたりで37kcalです。

玉ねぎ1個分に換算すると、中くらいのサイズの玉ねぎ1個(177gで換算)で約65kcalです。食べ物に含まれているエネルギーは「熱量」ともいわれ、「kcal(キロカロリー)」という単位で表されます。

私たちは食べ物に含まれている三大栄養素からエネルギーをつくり出しますが、三大栄養素に含まれているエネルギー量はそれぞれ決まっています。

たんぱく質1gには4kcal、脂質1gには9kcal、炭水化物(糖質)1gには4kcalが含まれています。食べ物のエネルギー量は、三大栄養素がそれぞれどのくらい含まれているかによって算出されるというわけです。

たんぱく質:1.77g

玉ねぎに含まれているたんぱく質は、生の玉ねぎ100g(可食部)あたり1gです。中くらいの玉ねぎ1個に換算すると、1.77gになります。

たんぱく質とは私たちの身体を構成する主成分となる栄養素で、20種類のアミノ酸の組み合わせから構成されています。

このアミノ酸の種類や量、構造の違いによって様々なたんぱく質をつくり出し、筋肉や皮膚、内臓、血液、酵素、免疫物質などとして私たちの身体を構成しているのです。

私たちが食べ物を摂取すると、たんぱく質は胃液などに含まれる消化酵素によってアミノ酸に分解され、小腸で吸収されます。吸収されたアミノ酸は、身体の中で必要なたんぱく質へと再び作り変えられるのです。

たんぱく質の1日あたりの摂取基準は、1日に必要なエネルギーの13~20%にあたる量が目標量とされています。18歳以上の男性では60g、女性では50gが推奨量です。

脂質:0.81g

玉ねぎに含まれている脂質は、生の玉ねぎ100g(可食部)あたり0.1gです。中くらいの玉ねぎ1個に換算すると、0.81gになります。

脂質は1gあたり9kcalのエネルギーが含まれており、最もエネルギー効率の良い栄養素です。

脂質は私たちの体内でエネルギー源となるほか、皮下脂肪としてエネルギーを貯蔵して寒さから身を守ったり、ホルモンの原料となったり、細胞膜や核膜の構成成分となっています。

脂質の1日あたりの摂取基準は、1日に必要なエネルギーの20~30%に当たる量が目標量とされています。サラダ油やオリーブオイル、ごま油だけではなく、食品に含まれている脂質にも注意してください。

炭水化物:15.58g

玉ねぎに含まれているたんぱく質は、生の玉ねぎ100g(可食部)あたり8.8gです。中くらいの玉ねぎ1個に換算すると、15.58gになります。

炭水化物には大きく分けて「糖質」と「食物繊維」の2種類があります。

「糖質」は1gあたり4kcalのエネルギー源となります。一方、「食物繊維」は消化・吸収されないためエネルギー源とはなりませんが、腸内環境を整えたり血糖値や血中脂質の上昇を抑える働きがあります。

炭水化物の1日あたりの摂取基準は、1日に必要なエネルギーの50~65%に当たる量が目標量とされています。1日のエネルギー摂取量が2,000kcalの場合、1,000~1,300kcalぶん、つまり250~325gの糖質を摂取すると良いということになります。