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玉ねぎは加熱すると栄養は変わる?

飴色になった炒め玉ねぎ
玉ねぎは生で食べることもあれば、炒めたり煮込んだりして加熱して食べることもありますよね。

「ビタミンCは加熱すると壊れやすい」といわれるように、栄養素の中には加熱によって変化する成分もあります。玉ねぎには豊富な栄養素が含まれていますが、それらの栄養素は加熱すると変化してしまうのでしょうか?

結論から言うと、変化します。ただし、一部の栄養素に限ります。玉ねぎに含まれる栄養素で特に変化しやすいのは「硫化アリル」です。

生の玉ねぎには辛味がありますが、加熱した玉ねぎは辛味が減り甘くなります。これは、加熱によって硫化アリルが変化し、糖と反応するためです。

つまり、硫化アリルは辛味のある生の玉ねぎのときに最も効果を発揮するのです。

また、アリシンやカリウム、一部のビタミンは、茹でる・煮るといった加熱をすることで水に溶け出してしまいます。茹でる場合はお味噌汁やスープなどにして汁ごと、または電子レンジで加熱して食べるのがおすすめです。

玉ねぎの効果的な食べ方は?

玉ねぎには、私たちの身体にとって嬉しい効果を持つ栄養素が豊富に含まれていることがわかりました。それでは、これらの栄養素を効率よく摂取するにはどうしたらよいのでしょうか?

アリシン

アリシンは熱に弱く、加熱すると別の物質に変化してしまいます。

そのため、アリシンを効率よく摂取したい場合は玉ねぎを生のまま、なるべく薄くカットするか、みじん切りやすりおろしなど細かくして食べると良いでしょう。玉ねぎをカットする場合は、玉ねぎの繊維を断ち切る方向にカットするとより効果的です。

ただし、生のままであっても玉ねぎを水に長時間さらしておくと、アリシンが流れ出てしまいます。そのため、水にさらすのであれば短時間で済ませ、できれば水にさらさないようにするのがおすすめです。

また、アリシンはビタミンB1の吸収を促進してくれます。そのため、ビタミンB1を豊富に含む豚肉と一緒に調理すると、疲労回復効果が期待できます。

ケルセチン

ケルセチンは脂溶性で、油に溶ける性質を持っています。そのため、油と一緒に摂取することで効率よく吸収できます。

玉ねぎを油で炒めたり揚げたりする料理や、お肉やチーズなどの乳製品をはじめとした脂質を多く含む食品と一緒に調理して食べるのがおすすめです。

ちなみに、ケルセチンは玉ねぎが日光に当たることで増加することが知られています。そのため、購入した玉ねぎを数日~1週間ほど日当たりの良い場所に置いておくだけでも、ケルセチンの含有量を増やすことができるようです。

冷凍することで栄養は変わる!?

冷蔵庫のドアを開けている
玉ねぎは常温で日持ちする野菜です。そのため、基本的には常温で風通しが良く、湿度が高くない日陰に保管しておくだけで長持ちさせることができます。

しかし、それでも長期間保存しておくと芽が出てきたり、玉ねぎの状態や保存環境によっては傷んでしまう可能性もあります。

そこでおすすめなのが「冷凍保存」です。玉ねぎを冷凍しておくことで、芽が出てせっかくの栄養が減少したり、傷んでしまうリスクをなくすことができます。

また、冷凍することで生の玉ねぎに多く含まれる辛味成分が壊れるため、甘みを強く感じやすくなります。さらに、玉ねぎの細胞壁も壊れるため、炒めたときに簡単に「飴色玉ねぎ」を作ることができるのも嬉しいメリットです。

飴色玉ねぎの作り方は『冷凍から本格まで!誰でも作れる「飴色玉ねぎ」の作り方3選』にて解説しています。

「冷凍すると栄養が落ちてしまうのでは?」と心配になるかもしれませんが、栄養をキープしつつおいしさもアップできるため、玉ねぎの冷凍保存は大変おすすめです。

玉ねぎの上手な冷凍保存方法

玉ねぎを冷凍するときは、皮を剥いて頭とおしりの部分を切り落としてから冷凍しましょう。みじん切りやくし切り、薄切りなど、使いやすい形・大きさにカットしておくのがおすすめです。

一度に使う量に小分けして、ラップにぴったりと包んでジッパー付きの保存袋などにいれて保存します。このとき、なるべく保存袋の空気を抜いて口を閉じておくと、玉ねぎの栄養とおいしさをキープすることができます。

料理に使うときは、解凍せずに凍ったまま加熱すればOKです。

また、玉ねぎをまるごと冷凍しておくこともできます。まるごと冷凍しておけば、冷凍のまますりおろしてソースやドレッシング、煮込み料理に使いやすくなります。

まるごと保存するときも同様に、ラップにぴったりと包んでジッパー付きの保存袋などにいれて冷凍しましょう。玉ねぎを冷凍した場合は、1ヶ月を目安に食べきると良いでしょう。

ただし、玉ねぎを冷凍すると生の玉ねぎのシャキシャキとした食感は損なわれます。そのため、サラダなど玉ねぎの食感を生かした料理に使いたいときにはおすすめできません。

冷凍した玉ねぎは、煮込み料理や炒めもの、ソースやドレッシングなど、玉ねぎのコクと旨味を活かす料理に使用すると良いでしょう。玉ねぎの保存方法については『切った玉ねぎの保存は?選び方のポイント!常温、冷蔵、冷凍保存のコツを解説』にて詳しくご紹介しています。

新玉ねぎと普通の玉ねぎに含まれる栄養は違う?

春になるとお店に並ぶ新玉ねぎ。「普通の玉ねぎより甘くてみずみずしい」「生でも食べられる」ということは聞いたことがあっても、その違いがよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

新玉ねぎは普通の玉ねぎを干さずに出荷したものだと思っている人もいますが、実は普通の玉ねぎと新玉ねぎは品種が違うのです。

新玉ねぎになる品種は「白玉ねぎ」と「早生」という品種が多く、特に「早生」は干して保存ができないので、ほとんどが新玉ねぎとして出荷されます。

新玉ねぎは生で食べられるほど甘くてみずみずしいのが特徴ですが、摂取できる栄養素的にも普通の玉ねぎとは少し違いがあります。

ビタミンやミネラルに関しては普通の玉ねぎも新玉ねぎもほとんど含有量は変わりませんが、注目するべき成分は「硫化アリル」です。

硫化アリルは先ほど紹介したように、玉ねぎや長ねぎなどネギ類の臭いのもととなる成分です。動脈硬化を予防したり、インスリン分泌を促進する、コレステロールの改善や免疫機能を向上させるなど生活習慣病の予防に効果的な栄養素です。

この硫化アリルは熱に弱く、普通の玉ねぎのように加熱すると摂取量が減ってしまいます。対して新玉ねぎは加熱せずに食べられるので、玉ねぎの硫化アリルをそのまま摂取できるのです。

硫化アリルは水にさらしても流れてしまうので、新玉ねぎを食べるときはあまり水にさらしすぎないようにしましょう。

レッドオニオン(赤玉葱)との違い

普通の玉ねぎと並んで、赤紫の皮の玉ねぎが売られているのを見たことはありますか?

この玉ねぎはそのままレッドオニオン(赤玉葱)という種類です。レッドオニオンは表皮だけでなく、中身にも赤い色素があることが特徴です。

鱗葉(りんよう)と呼ばれる玉ねぎの中身の皮の表面が赤紫色に染まっていて、輪切りにするとまるで年輪のように赤紫の模様が見られます。

派手な色からクセのある味を想像するかもしれませんが、レッドオニオンは普通の玉ねぎよりも辛味は弱く、食べやすい玉ねぎです。また、新玉ねぎのような甘みとみずみずしさがあるため、生食におすすめです。

きれいな色味を活かしてサラダに入れたり、カルパッチョなどに添えると、見た目も華やかでおしゃれになりますよ。

栄養素の面では普通の玉ねぎにあるビタミンやミネラル、硫化アリル、ケセルチンもしっかり含まれています。生で食べられるので、生活習慣病を予防する硫化アリルがしっかりと摂れるのがうれしいポイントです。

そしてレッドオニオンならではの栄養素が、ポリフェノールであるアントシアニンです。アントシアニンはぶどうやブルーベリーなどに含まれることで有名な色素ですが、レッドオニオンの赤紫色もこのアントシアニンによるものなのです。

アントシアニンには強い抗酸化作用があり、体内の酸化を防いでくれる働きがあります。身体が酸化してしまうと肌や髪がボロボロになって見た目が老けてしまうだけでなく、脳や内臓の働きも鈍ってしまいます。

アントシアニンなどのポリフェノールを摂ることは、身体の酸化を抑制してアンチエイジングに役立ちます。

また、上記で紹介した「ケセルチン」も玉ねぎに含まれる重要なポリフェノールです。ケセルチンは普通の玉ねぎや新玉ねぎだけでなく、もちろんレッドオニオンにも豊富に含まれています。

ケセルチンには血液をサラサラにするだけでなく、血管そのものを柔らかくする働きがあり動脈硬化や認知症の予防効果が高いと言われています。

さらに、ポリフェノールと同じく抗酸化作用があり、ビタミンCの吸収も助ける作用があるので肌や髪のアンチエイジングには欠かせません。

他にもケセルチンには脂肪肝を改善する脂肪燃焼効果や腸内環境の改善効果など、健康や美容に役立つ効果が多くあります。

ケセルチンは熱に強いので普通の玉ねぎでも十分に摂取できますが、レッドオニオンを食べればアントシアニンも摂れてアンチエイジングにはより効果的と言えます。

ケセルチンは皮に多く含まれているので、皮を煮出したり、皮ごとグリルするなど皮を積極的に摂取するのがおすすめです。

玉ねぎの上手な選び方


栄養豊富でおいしい玉ねぎには、次のようなポイントがあります。

・ゆがみがなく、球体に近い丸い形をしている
・皮がよく乾燥していてツヤがある
・身が硬く、特に頭の部分がしっかりと締まっている
・ずっしりと重みがある

また、玉ねぎは芽が出ると栄養が消費されて少なくなり、味も損なわれます。さらに、傷んでくると身が柔らかくなったり表面が黒ずんでくることがあります。

栄養豊富でおいしい玉ねぎを選ぶためには、上記のポイントとあわせて芽が出ていないか、表面が黒ずんでいないかもチェックしましょう。

栄養豊富な玉ねぎを効率よく摂ろう

健康に嬉しい効果が期待できる玉ねぎの豊富な栄養とその働きについてご紹介しました。

「玉ねぎは血液をサラサラにしてくれる」というのは有名な話ですが、実はそれ以外にも玉ねぎには私たちの身体にとって嬉しい効果がたくさんあるのです。

また、玉ねぎに含まれている栄養素によってそれぞれ特徴があり、効率よく摂取するための調理・食べ方のポイントがありました。玉ねぎは価格が手頃で日持ちする食材ですから、おいしい玉ねぎを上手に保存して毎日の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか?

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