濃厚な旨味とたっぷりの脂がおいしいサバ。秋から冬にかけてのサバは特に脂が乗っていて、シンプルな塩焼きが一段とおいしく楽しめます。
塩焼きというとまず魚焼きグリルが思いつきますが、実はフライパンでもふっくらおいしいサバの塩焼きが作れます!しかもフライパンなら洗い物も楽チン!
今回は、フライパンでも上手にサバの塩焼きを作るポイントを紹介します!
魚はやっぱりグリル?フライパンとの違いは?
たっぷりと脂が乗った新鮮なサバが手に入ったら、ぜひシンプルに塩焼きでいただきましょう。
家でもおいしく魚を焼きたい!と思ったときにまず思いつく器具といえば、魚焼きグリルです。
魚焼きグリルは直火で焼けるので、簡単に皮がパリパリ、中はジューシーでふっくらでおいしい焼きサバが作れます。
ところで、魚焼きグリルの「グリル」とはどういう意味かご存知でしょうか?なんとなく「焼く」というイメージですが、フライパンで魚を焼くのは「グリル」とは言いませんよね。
肉のグリル、野菜のグリルなどの料理があるように、グリルとは魚だけに使われる調理方法ではありません。
グリルはもともと「網」という意味で、素材を網に乗せて網目模様や焼き色をつける調理法全般を指すんです。BBQや網の焼き肉、七輪焼きもグリルに入ります。
フライパンに近いものでは、波のように凹凸がついている「グリルパン」があります。
グリルは網に乗せて直火で焼くため、余分な脂や水分が下に落ちて表面がパリッと、中は程よくジューシーにふっくらと焼き上がるのが特徴です。表面についた網状の焼き目も美味しそうで食欲をそそります。
それに対してフライパンは平らな面で焼くため脂や水分がそれほど抜けず、グリルほどパリッとした仕上がりにはなりません。フライパンに接している面だけが高温になるので、パリッとさせようと高温で焼くと表面だけが黒焦げになってしまいます。
しかしグリルにもデメリットがあります。それは後片付けが大変だということです。網目にこびりついた汚れや脂で汚れた受け皿など、グリルでは洗い物が多くなってしまいます。
日本では大抵のガスコンロに魚焼きグリルがついていますが、これも臭いや汚れがついて掃除が大変なため、敬遠している人も増えています。
ひと手間でグッと美味しく!塩の振り方と役割
魚焼きグリルでもフライパンでも、魚を焼く前に下ごしらえをしっかりとすることでワンランク上の仕上がりになります。
特に忘れてはいけない下ごしらえが、「振り塩」です。「振り塩」とはその名の通り、魚の表面に薄く塩を振ることです。
この塩は単に魚に塩味をつけるためだけではありません。塩には浸透圧という作用があり、魚の身から余分な水分と一緒に臭みの元となる物質を外に出してくれるんです。
振り塩は魚の裏表全体にまんべんなくふりかかるようにし、しばらく時間を置くのがコツです。これは、浸透圧により水分が出てくるのに少し時間がかかるためです。
そして、焼く前にキッチンペーパーで出てきた水分をしっかりと拭き取りましょう。
ここで、振り塩をしてから具体的にどれくらい時間を置けばいいのでしょうか。時間が経てば経つほど生臭さは消えますが、同時に必要な水分まで外に出てしまいみずみずしさが減っていまいます。
振り塩をしてすぐに焼いてしまうと、みずみずしさは残っていますが生臭さが残った仕上がりに、15分ほどおいても生臭さはまだ残っています。
鮮度が抜群で生臭さがほとんどないサバなら15分程度でもよいですが、スーパーで買うようなサバはもう少し時間をおいたほうがよいでしょう。
おすすめは30分ほど時間を置いてからキッチンペーパーでしっかりとふきとる方法です。これくらい時間を置くと、身のふっくら感は残しつつも生臭さはほとんど消えています。塩味も中まで軽く入っているので、あとから醤油などを付けて食べのにもおすすめです。
1時間以上置いてしまうとしっかりと塩味がついて生臭さもほぼ消えていますが、水分が出過ぎて身が締まりすぎ、ふっくら感が失われてしまいます。
フライパンを使ったサバの焼き方
振り塩をして水分と臭みを拭き取ったら、いよいよフライパンでサバを焼いていきましょう!
フライパンでもここで紹介するコツを抑えることで、グリルにも負けないふっくらとした焼き上がりになります。
基本的な流れは
1.油をひいたフライパンにサバを皮目から乗せて焼いていく
2.弱火〜中弱火で焼き皮に焼き目がついたらひっくり返す
3.中に火が通るまで反対側を焼く
とシンプルです。しかし、シンプルな中にも押さえておきたいコツがあります。
皮目から焼くこと!
忘れてはいけないのは、フライパンにしっかりと油をひくことです。
使用する油はサラダ油などいつも使っている調理油で大丈夫です。お好みでごま油やオリーブオイルを使えば風味が付いて一味違った味わいになります。
ここで油をひいておかないと、サバの皮や身がフライパンにくっついてひっくり返すときにボロボロになってしまうので忘れないようにしましょう。
少し多めの油をフライパン全体に行き渡るように流し、余った油をキッチンペーパーで吸い取りながら塗り拡げるとしっかり油がひけます。
そして、サバを焼くときは必ず皮目から焼いていきましょう。なぜなら、きれいな焼き目は最初に焼く面につくからです。切り身で焼くサバは、盛り付けたときに表になる皮目から焼くのが鉄則です。
魚は焼いているうちに脂や水分がにじみ出てきます。表になる面を後で焼いてしまうと、これらの脂や水分がついてパリッとせず、見た目も悪くなってしまいます。
フライパンは弱火でじっくり
魚焼きグリルなどで網焼きをするときは最初に予熱してから強めの中火でしっかり表面を焼きますが、フライパンの場合は強火で焼くのはNGです。
直火と違い、フライパンは接している面だけが高温になりやすく、強火で焼いてしまうと中に火が通る前に表面だけが焦げてしまいます。また、皮目を強火で一気に焼いてしまうと皮が縮んでしまうため、身が崩れてしまう原因にもなります。
フライパンで焼くときは、冷たいフライパンに魚を乗せてから弱〜中弱火でじっくりと焼いていきましょう。目安は、フライパンにぎりぎり炎が当たらないくらいです。水分が染み出してきたら、さらに火を弱めて弱火で焼きましょう。
そして、皮目がしっかりと焼けるまではむやみに動かしてはいけません。焼ける前に動かすと皮がボロボロになったり、身が崩れてしまいます。
じっくり火を通すと、魚から臭みやアクの元になる余分な脂や水分が染み出してきます。脂が乗ったサバや鮭では特にかなりの脂が滲み出てくるので、その都度キッチンペーパーで拭き取りましょう。
弱火でじっくりと焼いていくことで、皮の焼き縮みを防いで、臭みや雑味のしっかりと抜けた塩焼きになるんです!
身の半分以上に火が通ったら、崩れないようにひっくり返して反対側も焼きましょう。中までしっかりと火が通ったら、ふっくらとしたサバの塩焼きの完成です。
クッキングシートを使えば洗い物もラクに
サバなどの脂が多い魚は特に、焼いたあとのフライパンに脂汚れがべっとりとついて洗い物が面倒ですよね。
そんな手間を減らしてくれる便利な道具が「クッキングシート」です。
フライパンにクッキングシートを敷いてその上でサバを焼けば、フライパンに脂や汚れがほとんどつかないので洗い物がラクになります。
クッキングシートには魚がくっつかないよう加工がしてあるので、油をひく必要がほとんどないのもメリットです。
クッキングシートはフライパンの外側にはみ出すと焦げたり燃えたりする危険があるので、はみ出した部分は必ず折り曲げてフライパンの中に収まるようにしてくださいね。
クッキングシートがない場合は、アルミホイルを使いましょう。アルミホイルの場合はサバがくっついてしまうので、サバを乗せる前に油を薄く塗っておきます。