ハンバーグのレシピに入っているものといえば、パン粉や卵などの「つなぎ」と呼ばれるものですよね。このつなぎはいったいどんな役割をしていて、必ず入れなければいけないのか疑問を持ったことのある人も多いのではないでしょうか。
今回は、ハンバーグのつなぎの役割と、よく使われるつなぎの種類を紹介します!意外なつなぎもあるので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
ハンバーグのつなぎにはどんな意味がある?
ハンバーグのレシピには必ずと言っていいほど「つなぎ」の材料が入っています。
このつなぎは卵やパン粉、豆腐などレシピによってさまざまですが、そもそも何のために入れるものなのかを知っていますか?
ハンバーグだけでなく、つみれや肉団子などひき肉や魚のすり身をまとめるとき、そのままではそぼろのようにポロポロと崩れてしまいます。このような崩れやすい食材をしっかりとまとめる接着剤の役割をするのが「つなぎ」なんです。
つなぎを入れたタネはポロポロと崩れず、ふわっと柔らかなハンバーグに仕上がりになります。
おすすめなハンバーグのつなぎとその役割
ひとくちにつなぎといっても、レシピによって様々なつなぎを使います。ここでは、一般的によく使われるつなぎとその役割について紹介します!
パン粉
ハンバーグによく使われるつなぎで代表的なものがパン粉です。パン粉はご存知のとおり、パンをカラカラに乾かして細かく砕いたものです。熱乾燥をせずにしっとりしたままの生パン粉を使う場合もあります。
このパン粉は肉だねの水分を吸うと粘着力を増して、つなぎの役割をするんです。
パン粉は接着剤としての役割のほかに、水分を調整したり、肉汁を閉じ込めてふっくらとさせる役割があります。
パン粉を加えないハンバーグは、混ぜ込んだ野菜の水分で肉だねがベチャベチャとゆるくなってしまったり、焼いているうちに肉汁が外に逃げてしまってパサパサとした焼き上がりになりがちです。
パン粉は肉だねの余分な水分や肉汁を閉じ込めてくれるので、柔らかくジューシーなハンバーグに焼き上がるんです。
パン粉を使う場合は、他の材料にもよりますがひき肉100〜200gに対してパン粉1/2カップくらいが目安です。
水分が多すぎて肉だねがゆるいと思ったら、パン粉を多めにして調節してくださいね。もしパン粉がない場合は、食パンを小さくちぎったり、お麸を砕いても同じような効果があります。
塩
ハンバーグの塩は味付けのためだけだと思われるかもしれませんが、立派なつなぎになるんです。
欧米のハンバーグやソーセージにはつなぎの入っていないものが多いのですが、実はこの場合は塩がつなぎの役割をしています。
肉のタンパク質は塩を加えてよく練ると、脂肪分と水分がよく混ざり合い乳化の状態になります。これを「エマルジョン」といい、この状態になったひき肉はしっかりと粘りがでているのでポロポロと崩れないのです。
塩は入れすぎてしまうとしょっぱくなってしまいます。人間が最もおいしく感じる塩分量は0.8%と言われているので、肉100〜200gに対して0.8〜1.6g程度を目安にしましょう。濃い味のソースをかける場合は塩を控えめにするのがおすすめです。
卵
卵もハンバーグのつなぎの役割をしています。
卵のタンパク質は、熱凝固性と呼ばれる熱を加えると個体になるという性質を持っています。ゆで卵や玉子焼き、茶碗蒸しが固まるのも、この熱凝固性を利用しています。
ハンバーグの場合は液体の卵がひき肉と混ざり合い、焼くときに熱で固まるため、ひき肉が崩れるのを防いでくれるんです。
さらに、卵は脂肪分と水分の乳化を助ける働きもあります。この働きのおかげで肉だねの脂肪分が分離せずに、ふわっとまとまりやすくなるんです。
また、卵黄に含まれる旨味がハンバーグによりコクと奥行きのあるおいしさを加えてくれます。
卵を入れる場合は、ひき肉300gに対して卵1個が目安です。
卵は熱凝固性という独特の性質を利用しているので、代用品はあまりありません。もし代用として使う場合は、卵が原料になっているマヨネーズがおすすめです。
片栗粉
片栗粉もつなぎによく使われる食材です。片栗粉はほとんどがデンプンなので、水分を加えて加熱するとどろどろと粘り気がでます。
この粘りがひき肉同士をしっかりとまとめてくれ、さらにパン粉と同じように水分をしっかりと保ってジューシーなハンバーグになるんです。
小麦が苦手でパン粉が使えないという人は、片栗粉を使うのがおすすめです。片栗粉をつなぎにしたハンバーグは、パン粉を使うときよりももっちりとした仕上がりになるのが特徴です。
冷めてもモチモチのままなので、お弁当や作り置きにもおすすめですよ。
片栗粉を使う場合は、ひき肉100〜200gに対して片栗粉大さじ1程度を目安にしましょう。一度に入れるとダマになってしまうので、肉だねの表面にまぶすように少しずつ混ぜ込んでくださいね。
牛乳
牛乳はつなぎそのものというよりも、パン粉を使ったときにつなぎの補助として使われます。牛乳の水分がパン粉を柔らかくして、ひき肉と混ざりやすくしてくれます。
つなぎの補助としては水分であればよいので、牛乳がなければ水で代用しても大丈夫です。
しかし、牛乳に含まれるタンパク質が肉の臭みを閉じ込めて消してくれるので、お肉の臭みが気になるときは牛乳を使うほうがおすすめです。牛乳のタンパク質も、卵のように旨味を加えてくれますよ。
牛乳が使えない場合はナツメグなどの臭みを消す香辛料を使ったり、臭みの気にならない新鮮な肉を使うようにするとよいでしょう。
分量の目安としては、ひき肉100〜200gに対して大さじ2〜3程度です。肉だねの固さをみながら、少しずつ加えて調整するようにしましょう。
豆腐・おから
豆腐やおからも牛乳のようにつなぎの補助として使えます。豆腐やおからはかさ増しの役割もしてくれるので、お肉の量を減らせます。食べごたえはそのままにカロリーを抑えられるので、ヘルシーなハンバーグになりますよ。
お肉と同じくらいの量を混ぜてもハンバーグのおいしさは残るので、カロリーを気にする場合は多めに入れるのがおすすめです。
豆腐を使う場合は水分が多いのでしっかりと水切りをして使いましょう。おからは生おからならそのまま、乾燥おからやおからパウダーなら牛乳や水で水分を加えてから使いましょう。
ご飯
意外なところでは、炊いたご飯をつなぎにする方法があります。ご飯のデンプンの粘りが接着剤の役割をして、粘着力を増やしてくれますよ。豆腐やおからと同じようにかさ増しにもなるので、お肉を減らしたいときにもおすすめです。
ご飯はそのまま混ぜ込んでしまうとお米の粒感が残ってしまうので、しっかりと潰すかフードプロセッサーでペースト状にしてから使うようにしましょう。ご飯の量はお肉と同量程度まで増やしてもハンバーグのおいしさは残ります。
注意点としては、ご飯をつなぎに使ったハンバーグは冷めるとボソボソとしてしまいます。これはご飯が冷めるとボソボソするのと同じ理由で、デンプンが老化してしまうからです。
作り置きやお弁当に作る場合にはご飯の量を減らすか、違うつなぎを使うほうがおすすめです。
つなぎは必要?なくても作れる?
塩の項で説明したように、塩を加えてしっかりひき肉を練れば粘着力が出るので、必ずしもハンバーグにつなぎは必要ありません。実際に、欧米のハンバーグやパティのレシピではつなぎを使わずに塩だけで粘りを出しているほうが一般的です。
塩だけで作る場合はしっかりと粘りを出すため、肉を低い温度に保ったまま練るのがコツです。
つなぎに塩だけを使った作り方をしたハンバーグは、肉々しい噛みごたえが味わえる硬めのハンバーグになります。
また、肉の味は強くなりますが卵や牛乳の旨味はありません。物足りなさを補いたいなら、スパイスを駆使するほかに、オイスターソースを小さじ2ほど混ぜ込むのがおすすめです。
オイスターソースには野菜や牡蠣の旨味がぎゅぎゅっと詰まっているので、足りない旨味をプラスできますよ。
ふんわりとしたやわらかいハンバーグが好みの場合は、つなぎが必須と言えます。逆に、欧米のような肉感をしっかり楽しみたい場合はつなぎを使わないで作るのがおすすめです。
柔らかジューシーなハンバーグはつなぎのおかげ!
今回は、ハンバーグのつなぎの役割とよく使われるつなぎの種類を紹介しました。
つなぎを使わなくてもハンバーグは作れますが、つなぎを使うことで日本人にお馴染みのふわっと柔らかジューシーなハンバーグができるんです。
ここに紹介したつなぎ以外にも、山芋や粉寒天など、色々なつなぎがあります。
つなぎの種類や量によっても少しずつ食感や味わいが変わってくるので、ぜひ色々なつなぎを試してお気に入りのレシピを開発してみてくださいね!