綺麗な焼き牡蠣
「海のミルク」と呼ばれるほど栄養豊富な牡蠣。秋から冬にかけてが旬といわれており、日本では広島県や宮城県、岩手県や北海道などを中心に養殖されています。

牡蠣はたんぱく質をはじめ、ビタミン・ミネラルなど様々な栄養素が豊富に含まれています。その一方で、食べ過ぎると身体に悪い影響を与える可能性もあり、食べるときには注意が必要です。

牡蠣をおいしく、豊富な栄養も効率よく摂取するためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか?牡蠣の栄養や食べ過ぎによって起こる症状、注意点についてご紹介します。

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牡蠣が「海のミルク」と呼ばれる理由

発泡スチロールに入った大量の牡蠣
牡蠣は日本だけでなく世界各地で食べられており、ホタテと並んで多く消費されている貝のひとつです。

牡蠣は別名「海のミルク」とも呼ばれています。その理由は、牡蠣には栄養が豊富に含まれているためです。

濃厚な味わいから牡蠣は、一見高カロリーなイメージがあるかもしれません。しかし、牡蠣のエネルギー量はそれほど高くなく、タンパク質が豊富です。

さらに、カルシウムやマグネシウム、鉄、亜鉛といったミネラルや、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸といったビタミンB群が多く含まれています。

実際に可食部100gあたりの栄養素を牛乳(ミルク)と比較すると、牡蠣のタンパク質は約2倍、マグネシウムは6.5倍、亜鉛は約36倍も含まれています。

こうした理由から牡蠣は「海のミルク」と呼ばれているのです。

新鮮な牡蠣の選び方

新鮮で美味しそうな生牡蠣
牡蠣は焼いたり蒸したり、あるいは鍋に入れたりして食べますが、新鮮なものは生のままでもいただけますよね。

「加熱用」の牡蠣は加熱しなければ食べられませんが、市場や鮮魚店で販売されている牡蠣は、ものによっては生のまま食べられるほど新鮮なものもあります。

新鮮でおいしい牡蠣を見極めるためには、いくつかのポイントがあります。

・身に透明感があり、澄んだ乳白色をしている。
・身がふっくらとしており、ハリと弾力がある。
・身の形がはっきりとしており、ツヤがある。
・身の縁のひらひらとした部分の色が黒くはっきりとしている。

牡蠣の鮮度が落ちると、透明感がなくなり濁ったようになったり、身のハリがなくなって形が崩れたりします。また、牡蠣が入れられている水が濁ってくる場合があります。

牡蠣を購入するときは、上記のポイントとともに水の状態も参考にして、新鮮な牡蠣を選んでくださいね。

牡蠣のカロリーはどれくらい?

はまぐり・ホタテ・サザエ
先ほど説明したとおり、高カロリーなイメージがある牡蠣ですが、含まれるエネルギー量はそこまで高くありません。

生の牡蠣の可食部100gあたりのエネルギー量は70kcalです。

同じ貝類で低カロリー&高タンパクといわれているホタテ貝は100gあたり72kcal、牛乳は100gあたり67kcalですから、牡蠣のエネルギー量もほとんど変わりません。

牡蠣1個あたりの重さは、大きさにもよりますが10~20g程度です。つまり、牡蠣1個あたりのエネルギー量は7~14Kcalとなります。想像よりも低カロリーだったのではないでしょうか?

ただし、カキフライやアヒージョなど油をたっぷり使った料理にすると、カロリーがアップしてしまうため注意してください。

牡蠣に含まれる栄養素

薬味をのせた生牡蠣
続いて、牡蠣に含まれる代表的な栄養素について、牛乳と比較しながらみていきましょう。

可食部100gあたり 牡蠣(養殖、生) 牛乳(普通牛乳)
エネルギー(kcal) 70 67
タンパク質(g) 6.9 3.3
脂質(g) 2.2 3.8
炭水化物(g) 4.9 4.8
カルシウム(mg) 84 110
鉄(mg) 2.1 0
亜鉛(mg) 14.5 0.4
葉酸(μg) 39 5

参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

牡蠣のエネルギーと炭水化物の量は牛乳とほとんど変わりませんが、タンパク質は牛乳の約2倍、脂質は約2/3です。

また、カルシウムの量は牛乳の約75%にも及びます。その他のミネラル・ビタミンについても、牛乳に匹敵するかそれ以上に含まれていることがわかります。

これらの栄養素について、それぞれの働きをみていきましょう。

カルシウム

カルシウムは骨や歯の主成分で、さらに筋肉や神経系の活動、血液凝固にも関与しており、私たち生体活動にとって必要な物質です。不足すると骨粗鬆症の原因になるほか、高血圧や動脈硬化、生活習慣病を引き起こす可能性があります。

鉄は血液を作る原料となる成分です。酸素を運ぶ赤血球の構成成分で、貧血を予防・改善するために必要なミネラルです。特に女性や妊産婦の方は積極的に摂取したい栄養素のひとつです。

亜鉛

亜鉛は体内のほぼすべての細胞に存在しており、体内の数多くの生理機能の維持に必要な成分です。

酵素の構成成分として体内の酵素反応を活性化したり、ホルモンの合成や分泌、DNAやタンパク質の合成などに関与しています。不足すると、味覚障害や皮膚炎、食欲不振を引き起こす可能性があります。

葉酸

葉酸はアミノ酸の代謝やビタミン類の代謝に関与しています。

また、ヘモグロビンの合成にも関与しており、貧血の予防・改善にも必要な栄養素です。さらに、神経系の発達にも欠かせない栄養素で、特に胎児の成長のために妊娠前・妊娠中の女性は不足しないよう注意が必要です。

参照:「健康食品」の安全性・有効性情報

牡蠣を食べ過ぎるとどんな影響がある?

殻から取り出した生牡蠣
上記のように栄養豊富な牡蠣ですが、食べ過ぎると身体に悪影響を及ぼす可能性があります。いくら健康のために必要な栄養素でも、過剰に摂取すると逆効果になってしまう場合があるのです。

特に牡蠣には亜鉛が豊富に含まれていて、過剰摂取にならないよう注意が必要です。

それでは、牡蠣を食べ過ぎてしまった場合にどのような影響があるのか、具体的にみていきましょう。

めまいや頭痛

牡蠣を食べ過ぎると亜鉛の摂取量が過剰になり、めまいや頭痛、吐き気、倦怠感を引き起こす場合があります。

特に、疲労が溜まっているときや風邪などで体調が悪いときは、症状が出やすくなるため注意が必要です。

亜鉛過多になるおそれも

一時的な食べ過ぎであればすぐに改善されますが、長期間に渡って継続的に摂りすぎると亜鉛過多となり、鉄や銅の吸収が阻害されて貧血の原因となる場合があります。

また、免疫力の低下や下痢、善玉コレステロールの低下などが引き起こされる可能性があります。

意外にもプリン体が豊富

牡蠣にはプリン体も多く含まれています。

プリン体といえば、痛風の原因となる物質です。痛風とは血中の尿酸値が高い状態が続くことで関節に炎症が起き、痛みを生じる病気です。特に、足の関節で炎症が起きやすいといわれています。

プリン体を摂取すると、体内で代謝されて尿酸に変化します。この尿酸の濃度が高まり、結晶化して関節などに溜まることで、痛みを引き起こすのです。

牡蠣にはこのプリン体が多く含まれていますから、すでに痛風を抱えている方や健康診断で尿酸値を指摘されている方は、特に注意が必要です。

1日あたりの摂取目安は?

新鮮で美味しそうな生牡蠣
食べ過ぎに注意が必要な牡蠣ですが、1日あたりどれくらいまでなら食べても良いのでしょうか?亜鉛の1日あたりの摂取基準から考えてみましょう。

亜鉛の摂取基準(1日あたり、18~69歳) 男性 女性
推奨量 8mg 10mg
耐用上限量 35,g 40~45mg

出典:日本人の食事摂取基準2015年版

亜鉛の1日あたりの推奨量は、18歳以上の女性で8mg、男性で10mgです。また、耐容上限量は女性で35mg、男性で40~45mgです。

牡蠣1個あたりに含まれる亜鉛の量は、1.5~2.9mg程度です。

亜鉛は牡蠣以外の食品からも摂取されますから、1日あたりに食べられる牡蠣の量は、女性で4~12個、男性で4~15個程度が目安となるでしょう。

オイスターバーなどにいくと、これ以上牡蠣を食べることもあるのではないでしょうか?

1日くらいであれば過剰な心配は不要ですが、食べ過ぎは悪影響を及ぼす場合があることを念頭に置いておきましょう。

牡蠣の食べ過ぎに注意して、おいしく食べましょう!

牡蠣は「海のミルク」といわれるほど栄養豊富で、おいしい食べ物です。

しかし、食べ過ぎると私たちの身体に悪影響を及ぼす可能性もあるのです。とはいえ、適量であれば栄養を豊富に摂取することができ、健康への効果も期待できます。1日あたりに食べられる目安量に注意しながら、牡蠣をおいしく楽しんでくださいね!

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