モロヘイヤの葉
出典:減塩レシピ
独特のネバネバが美味しいモロヘイヤの上手な保存方法をご存知でしょうか。夏に出回る野菜だから常温でもいいのでは?と思っている人も多いかもしれません。

その考え、実は間違いなんです! 常温保存には適していません。では、どのような保存がモロヘイヤに適しているのでしょか。今回は上手な保存方法や茹で方をご紹介します。栄養満点のモロヘイヤの保存方法をマスターして健康的な生活に役立ててくださいね。

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新鮮なモロヘイヤの選び方

新鮮なモロヘイヤは鮮やかな濃い緑色で葉がピンとなっているのが特徴です。葉は先の方からしなびたり変色したりするので、購入する際は注意して見てみてください。

茎は切り口が新鮮で黒くなっていないものを選びましょう。黒くなっているものは収穫してから時間が経っています。モロヘイヤは鮮度が落ちるのが早い野菜なので気を付けましょう。

茎は太すぎず、手で曲がるくらい柔らかいかどうかもチェックしましょう。育ちすぎて茎が固くなったモロヘイヤは繊維質が強くなり、食感もあまりよくありません。

モロヘイヤの上手な保存方法

冷蔵庫のドアを開けている

冷蔵保存する場合

モロヘイヤは夏の野菜ですが、実は保存の最適温度は5~10℃と低めです。そのため、保存する際は冬場であれば冷暗所でも一応可能なのですが、乾燥に極端に弱く、葉の部分から水分が蒸発して葉がしおれてしまいます。そのため常温での保存はあまりおすすめできません。

冷蔵保存する場合は葉に水分が付かないようにし、茎に水分を含ませて新聞紙などで全体をくるみます。モロヘイヤの葉はとても繊細で、葉に水分がついてしまうとそこから傷む原因になってしまいます。

新聞紙でくるんだモロヘイヤは保存用袋に入れて口を閉じ、立てた状態で野菜室に保存しましょう。それでも1~2日しか保存することはできません。早めに食べるようにしましょう。

保存期間

1〜2日

冷凍保存する場合

冷凍保存する場合は、そのまま保存する方法と下茹でしてから保存する方法があります。それぞれについて説明していきましょう。

そのまま保存する方法

モロヘイヤを水洗いして水分をふき取り、茎と葉を分けたらそのまま保存用袋に入れます。

水分が付着したままだと保存する際にかさばったり、解凍したときに水っぽくなってしまうので葉に傷が付かない程度にきれいにふき取りましょう。

スープなどに利用したい場合はこの方法で保存しておくと、そのままスープの中に入れて調理することができるので便利ですよ。

下茹でしてから保存する方法

IH ヒーター
まず、葉と茎を分けます。沸騰したお湯に塩少々を加えて葉と茎を下茹でします。(茹で方については「茹で方のコツ」の項目を参照してください)

葉は20秒、茎は1分ほど茹でましょう。茎を入れて40秒ほどしてから葉を入れると上手に茹でることができますよ。

茹で上がったモロヘイヤは冷水に入れ、刻まずにそのまま保存用袋に入れて平らにして、金属製のトレーに載せて冷凍します。ここで刻まないのは半解凍の状態で刻んだ方が刻みやすいからです。

茹で方のコツ

1.サッと洗ったら、茎を下5センチくらいから切り取ります。
2.次に塩分2%のたっぷりの沸騰した湯で茹でます。塩分はモロヘイヤの緑色を鮮やかにする効果があります。葉は20秒ほど、茎は1分ほど茹でるといいでしょう。
3.色が鮮やかになったら(15~20秒ほど)取り出しザルにあげて流水にさらします。

モロヘイヤは茹で過ぎると美味しくありません。茹で時間に気を付けて調理するのがポイントです。お浸しなどにする場合はこのまま刻んで食べることができますよ。

電子レンジを使う方法

下茹では電子レンジを使って行うこともできます。

1.耐熱容器に茎だけ入れてラップをします。
2.そこにひたひたの水と塩少々を加えて1分ほど加熱します。
3.次に茎の入った耐熱容器に葉を追加して1分30秒加熱します。
4.最後に水にさらしてザルにあげましょう。

保存期間

約1ヶ月

モロヘイヤは腐るとどうなる?

モロヘイヤは収穫してから時間が経つと、まず葉の先の方から変色を始めます。この時点ではまだ変色した部分を取り除けば食べることができます。しかし、葉がドロドロとしていた場合は破棄してください。

モロヘイヤってどんな野菜?

モロヘイヤの原産地

モロヘイヤの原産地は中近東です。乾燥に強く、砂漠でも栽培可能な野菜としてエジプトなどで主に栽培されていました。「クレオパトラも食べた」と言われているほど古くから人々の生活に取り入れられていたんです。

モロヘイヤはアラビア語で「王様の野菜」を意味する「ムルキーヤ」が語源となっています。その昔、病気の王様がモロヘイヤのスープを飲んだら病が治ったというエピソードもあります。

日本には1980年代に輸入され始め、虫がつきにくく、病気にもなりにくいため栽培も比較的簡単です。それに加えて栄養価が高いので瞬く間に日本でも親しまれる野菜になりました。

国内では群馬県での生産が最も多く、出荷量全体の約3割を占めています。

モロヘイヤには毒がある?

育てやすさから家庭菜園でも人気がありますが、モロヘイヤのタネは熟してくるとモロヘイヤの茎やタネに毒性を持つようになるため、家庭菜園で育てたモロヘイヤを食べる場合には取り扱いに注意が必要です。

モロヘイヤの特徴

モロヘイヤの特徴といえば、なんと言ってもあの粘り気ですよね。

加熱して刻むとぬめりが出てきます。ぬめりの元は「ムチン」と言われており、胃や腸などの粘膜を保護する作用があります。そのほか、ムチンには血糖値やコレステロール値が上昇するのを抑える効果もあるため、粘り気を生かした料理がおすすめです。

モロヘイヤに含まれる栄養素と効果

収穫した新鮮なモロヘイヤ
クレオパトラやアラビアの王様に珍重されていたと言われるモロヘイヤには、健康や美容、アンチエイジングに欠かせない栄養素がぎっしりと詰まっています。中でも注目したいのが、ビタミン類、カルシウム、食物繊維です。

ビタミン類

ビタミン類では、抗酸化力が高く「美容のビタミン」とも呼ばれるビタミンA、C、Eが挙げられます。これらのビタミンは互いに働きを高め合うので、一緒に摂取するとより効果的と言われています。

モロヘイヤにはこの3つのビタミンが、野菜類の中でもトップクラスに豊富に含まれています。

ビタミンA、C、Eは肌の新陳代謝力を高めてシミや日焼け、シワを改善したり、乾燥を予防してみずみずしい肌を保ってくれます。さらに、粘膜や体内の免疫力も強化してくれるので風邪などの病気にもかかりづらくなります。

ビタミンCは水溶性ビタミンのため、茹でると煮汁に溶け出してしまいます。モロヘイヤのビタミンを効果的に摂取するなら、スープ系など煮汁ごと食べる料理がおすすめです。

この他にもビタミンB1やビタミンB2など、糖質や脂質をエネルギーに変えて疲労回復に役立つ栄養素も豊富に含まれています。特にビタミンB1は、100g食べるだけで一日の必要量を満たしてしまうほどです。

ビタミンだけを見ても、モロヘイヤは“天然のサプリメント”と言えます。

カルシウム

カルシウムといえば牛乳や魚のイメージが強いですが、モロヘイヤにもカルシウムが豊富に含まれています。

カルシウムは骨を作ったり、歯を丈夫にすることが知られていますが、実はストレスなどメンタルにもとても重要な栄養素です。

カルシウムは脳の神経の興奮を抑えて、ストレスを緩和させてくれる働きがあります。このため、ストレスがかかると体内のカルシウムの必要量も増えてくるのです。

また、カルシウムはマグネシウムとペアとなって働くことが多いので、マグネシウムをしっかりと働かせるためにも、カルシウムの存在は欠かせません。

カルシウムを多く含む野菜はパセリやシソなどです。ですが、パセリやシソはあまりメインでは食べることが少ない野菜なため、野菜から摂るにはモロヘイヤがおすすめです。

ちなみに、カルシウムはビタミンDと一緒に摂ることで吸収率が高まります。ビタミンDは鮭やサバ、マグロなどの脂が多い魚や、卵、牛肉、きのこ類に多く含まれます。モロヘイヤを食べるときは、これらの食材も一緒に食べるのがおすすめです。

食物繊維

モロヘイヤを刻むと独特の粘りが出てきますよね。実はあれはモロヘイヤに豊富に含まれる食物繊維によるものです。

モロヘイヤには腸内環境の改善に欠かせない食物繊維が、なんと青汁の原料であるケールの3倍も含まれています。ケールも栄養価が高いスーパーフードと言われていますが、モロヘイヤはさらに食物繊維も摂れるのでおすすめの食材です。

しかも、モロヘイヤに含まれる食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランスよく含まれているというのもポイントです。

不溶性食物繊維はキャベツやレタスなどに多く含まれる、水に溶けないモソモソとした繊維です。

この不溶性食物繊維は便のかさを増やして不要なものを絡め取り、外に排出してくれる働きがありますが、摂りすぎると逆に腸内の水分を奪って便秘を悪化させてしまう危険性があります。

水溶性食物繊維は山芋などのネバネバとした食感が特徴的な水に溶ける食物繊維です。こちらは便に水分を含ませて柔らかくしてくれるので、腸内の動きをスムーズにしてくれます。

腸をきれいにしようと不溶性食物繊維の野菜ばかりを食べてしまうと、逆に腸内がパンパンに詰まってガスが貯まるなど、逆効果になることがあります。

モロヘイヤは水溶性食物繊維が多く含まれる野菜なので、腸のトラブルがあるならぜひ普段から取り入れるようにしてみてください。

モロヘイヤのカロリーや糖質について

茹でたモロヘイヤ
モロヘイヤは健康や美容に欠かせない栄養素がぎっしりと詰まっていますが、栄養価が高いと気になるのはカロリーと糖質です。

特に糖質の量は、糖質制限ダイエットをしている人は気になりますよね。ここでは、モロヘイヤのカロリーと糖質について紹介します。

カロリー

モロヘイヤのカロリーは、生で100gあたり38kcalです。茹でると水分を含んで重くなるため、100gあたり25kcalとさらに低くなります。

似たような葉物野菜のほうれん草は100gあたり26kcal、小松菜が100gあたり22kcalと考えると、モロヘイヤのカロリーは少々高めに感じます。しかし、野菜の平均カロリーは100gあたり36kcalなので、モロヘイヤのカロリーはそこまで高くないことがわかります。

また、モロヘイヤ100gはだいたいスーパーで売っている1袋分の量になります。一度に1袋のモロヘイヤを食べるのはなかなか大変なので、カロリーに関してはあまり気にする心配はないでしょう。

糖質

次に、糖質についてです。モロヘイヤの炭水化物量は100gあたり6.3gなので一見すると炭水化物が多いように感じます。

しかし、炭水化物量は糖質と食物繊維を合わせた量です。モロヘイヤの食物繊維量は非常に多く、5.9gが食物繊維です。つまり、モロヘイヤの糖質自体は100gあたり0.4gしかありません。

カロリーと同じく、モロヘイヤの糖質もほとんど気にしなくてもいいでしょう。

モロヘイヤの食べ方

モロヘイヤ
モロヘイヤは茹でてから刻んで、お浸しにするのがポピュラーな食べ方ではないでしょうか。その他にもモロヘイヤはさまざまな料理に利用できます。

例えばスープや味噌汁など汁物の具にしたり、オクラや納豆、山芋など粘り気のある食べ物との相性もよく、体にいいとされています。

粘り気はありませんが、モロヘイヤの天ぷらもおいしいのでオススメですよ。

モロヘイヤをおいしく食べよう

暑い季節が旬のモロヘイヤを常温保存しないほうがいいというのは意外だったのではないでしょうか。

モロヘイヤは味にクセがないので色々な食材とも合わせやすい野菜ですし、のど越しのいい食感は夏バテ気味のときでも食べやすく、暑い夏を乗り切るのにうってつけの野菜です。ぜひ、モロヘイヤを冷凍保存して活用してみてくださいね!

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