みずみずしい青々とした葉にビタミンやミネラル、さらにアリシンという独特の成分がぎゅっと詰まったニラは、健康や美容のサポートに大活躍の野菜として知られています。その一方、ニラは水分が多いために傷みが早いという欠点も…。
そこで今回は、新鮮なニラの選び方から風味や食感を長持ちさせる上手な保存方法を紹介します!いつも使いきれずに無駄にしてしまうという人は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
ニラってどんな野菜なの?
独特の臭いと青々とした葉が印象的なニラは、ヨーロッパにはない東アジア原産のネギの仲間です。
アジア大陸はもちろん、日本でも「みら」と呼ばれ栄養価が高い薬草として古くから利用されてきました。戦後「ニラ」と呼ばれ野菜として全国で栽培されるようになり、健康野菜として食卓に並ぶようになった歴史の古い野菜でもあります。
独特で強烈な臭いが特徴的なニラですが、その正体は玉ねぎやにんにくにも含まれるアリシンという成分です。
アリシンは滋養強壮や疲労回復、新陳代謝を活性化させる効果だけでなく、血液サラサラ効果や脂肪の燃焼サポートなど、美容や健康に欠かせない成分です。
さらに、肉や魚の生臭さを抑えたり、ビタミンB1の吸収や胃腸の働きをサポートするなど、動物性タンパク質との相性も抜群です。
アリシン以外にも、ビタミンやカリウム、カルシウム、鉄分などの微量栄養素やベータカロテンなど健康にうれしい成分が豊富に含まれています。
臭いが苦手という方は、タンパク質と一緒に調理すると臭いが軽減されるので試してみてくださいね。
ニラに含まれる栄養素
ニラは緑黄色野菜で、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。ニラに含まれている代表的な栄養素についてみていきましょう。
ニラ(葉、生)可食部100gあたり | 栄養素量 |
エネルギー(kcal) | 21 |
たんぱく質(g) | 1.7 |
脂質(g) | 0.3 |
炭水化物(g) | 4.0 |
カリウム(mg) | 510 |
カルシウム(mg) | 48 |
βカロテン(μg) | 3,500 |
ビタミンE(μg) | 3.0 |
ビタミンK(μg) | 180 |
ビタミンB1(mg) | 0.06 |
ビタミンB2(mg) | 0.13 |
葉酸(μg) | 100 |
ビタミンC(mg) | 19 |
食物繊維(g) | 2.7 |
エネルギー量は可食部100gあたり21kcalで、タンパク質は1.7g、脂質は0.3gです。炭水化物は4.0gですが、そのうちの2.7gが食物繊維で糖質は1.3gです。
カルシウムやビタミンK、葉酸といったビタミン・ミネラルを多く含んでいますが、特にβカロテンやビタミンEの含有量が多く、野菜の中でもトップクラスです。
それでは、これらの栄養素によって得られる効果についてみていきましょう。
疲労回復・滋養強壮
ニラやネギ類には「硫化アリル」という成分が含まれています。
硫化アリルは硫黄元素を含む化合物で、ニラのピリッとした辛味やニオイの元となっています。
玉ねぎやネギを切ったときに涙が出たり目が痛くなったりしますが、これは硫化アリルが気化して目の粘膜を刺激するためです。
この硫化アリルの一種に「アリシン」があります。
アリシンはビタミンB1と結合する性質を持っており、それによってビタミンB1の吸収が促進されます。ビタミンB1はエネルギー代謝に関与しているため、アリシンと一緒に摂取することで疲労回復に役立つのです。
ニラを使った料理の代表格ともいえる「レバニラ」は、アリシンを豊富に含むニラとビタミンB1を豊富に含むレバーが組み合わさっており、疲労回復に効果的な料理といえます。
免疫力を高める
アリシンには殺菌作用があります。そのため、風邪や食中毒の予防への効果が期待できます。
ニラには免疫力を高めてくれるビタミンCも含まれており、風邪予防への効果が高まります。
さらに、アリシンには抗酸化作用もあり、がん予防にも効果があるといわれています。同じく抗酸化作用があるβカロテンとビタミンE、ビタミンCの相乗効果によって、ガンの予防効果もより強まります。
生活習慣病の予防
硫化アリルには血液の凝固を抑制する働きがあるため、血液がサラサラになるといわれています。
さらに血中コレステロール値の正常化やインスリン分泌の促進にも役立ち、動脈硬化予防や血栓予防、糖尿病など生活習慣病の予防に効果が期待できます。
ニラに含まれているβカロテン、ビタミンE、ビタミンCの抗酸化作用もあり、生活習慣病予防への効果が高まります。
また、ニラにはカルシウムも多く含まれています。カルシウムは骨や歯の原料となるほか、筋肉の収縮や血液凝固、神経伝達、免疫機能の維持など、身体の中で重要な役割を担っています。
日本人に唯一不足している栄養素ともいわれており、不足すると骨粗鬆症の原因になるだけでなく、肥満や高血圧、動脈硬化、生活習慣病を引き起こす可能性があります。そのため、カルシウムを摂取することも生活習慣病などの予防につながります。
新鮮なニラの選び方
ニラは一年中お店で見かけますが、春から初夏(3〜5月)が旬です。旬のニラは一年のうちで最も水分が豊富や栄養が豊富なので暑くなる前のスタミナ補給に最適です。苦味も少なく甘みがあるので、春から初夏にかけてぜひ旬のニラを楽しんでみてください。
ニラは鮮度が落ちると味や香りが弱くなってしまいます。新鮮でおいしいものを選ぶポイントは、葉の色や形、そして根本です。それでは、ひとつひとつのポイントを見ていきましょう。
色
まずチェックしたいのが色です。葉先まで青々とした緑色のものを選びましょう。とはいえ、極端に緑色が濃いものは栄養過多で苦味が強いことがあるのでおすすめできません。明るさのある緑色のものがベストです。
逆に、黄色っぽくなってしたり、緑色が薄くなったものは収穫から時間が経っていて鮮度が落ちているサインなので、避けるようにしましょう。
しかし、もともと葉の色が黄色っぽい黄ニラという品種もあるので要注意です。黄ニラで鮮度を見極める場合は、形を主にチェックするようにしましょう。
形
ニラは全体的に分厚く、葉先がピンとハリのあるものを選びましょう。持ったときにクタッとしていたり、フニャフニャとしているものは鮮度が落ちています。
また、傷がないかどうかも要チェックです。ニラは折れたり傷がつくとその部分から傷んでしまうので、なるべく傷がないようなものを選びましょう。どうしても傷があるものを買う場合は、その部分から先に使うようにします。
根元
最後は根元の切り口です。傷と同じように、ニラは切り口が空気に触れるとどんどんと傷んでしまう野菜です。切り口がまだみずみずしく、変色のないものはまだお店に並んで時間が経っていないのでおすすめです。
逆に、カピカピになっていたり、黒や茶色っぽく変色しているものは切られてから時間が経っているので、避けるようにしてくださいね。
ニラは腐るとどうなる?
ニラは水分が多く、腐ったりカビが生えたりと傷みやすい野菜です。
鮮度が落ちると色がだんだん褪せてきます。風味や食感は落ちていますが、特に問題ないので食べられます。
さらに痛むと、葉が黄色を通り越して黒っぽく変色したり、ぬめりやドロドロとしてきます。また、ひどい異臭を発するようになるので、そのような場合は食べずに処分するようにしましょう。
ニラの上手な保存方法
ニラの最適な保存温度は0〜5度程度ほど。冬場以外の常温保存はすぐに鮮度が落ちてしまうのでおすすめできません。基本、冷蔵保存だということを覚えておいてくださいね。
長期保存したいときは、冷凍保存をするようにしてください。それでは保存別に詳しくみていきましょう。
常温保存する場合
ニラを常温保存する場合は、気温はもちろんですが湿度にも注意しましょう。ニラは乾燥に弱く、そのまま保存をしておくとすぐにみずみずしさが失われてしまいます。
また、常温保存の場合はカットをしてしまうと切り口が空気に触れて傷んでしまうので、カットせずそのままの状態で保存しましょう。
ニラの根元を濡らしてから、きっちり水分を絞ったキッチンペーパーを当てて、乾燥しないようにします。さらに、全体を新聞紙で包めば程よい湿度を保ってくれますよ。
さらに、横にしてしまうと葉っぱ同士が擦れて傷がついてしまうので、生えていたときのように縦にして保存するのがポイントです。立てるときは、葉っぱを折らないように気をつけてくださいね。
保存期間
常温保存した場合の保存期間は、長くても約3日程度です。真冬以外の常温保存はニラにとって気温が高すぎるので、保存期間はあくまで目安に。
先ほど説明したニラが傷んだ時の特徴を参考に、ダメになる前に早めに使い切るようにしてくださいね。
冷蔵保存する場合
カットせず保存
丸ごと保存する場合は常温保存と同じように、キッチンペーパーと新聞紙を活用して適度な湿り気を保つようにします。できれば野菜室で保存しましょう。通常の冷蔵庫は湿度が低く、ニラが乾燥しやすくなってしまいます。
通常の冷蔵庫で保存する場合は新聞紙で包み、さらにポリ袋に入れてから冷蔵庫に入れると、より乾燥を防ぐことができますよ。ポリ袋の口は蒸れないように開けておきましょう。
カット後に保存
カットしてから保存する場合は、きれいに洗ってからタッパーなどに入れた清潔な水に完全に浸かるようにします。水につけて保存することで、乾燥を防いでくれます。
ただし、この方法は雑菌が繁殖しやすいので、タッパーの水は必ず1〜2日に一度は取り替えるようにしてくださいね。
保存期間
冷蔵庫で保存する場合の保存期間の目安は、以下の通りです。
カットしたもの:約3日
水に浸したもの:約1週間
常温保存よりは長く保存できますが、それでも早めに消費するようにしましょう。特に、カットしたニラは傷みやすいので注意が必要です。
数日では使い切れないような場合は、次に紹介する冷凍保存がおすすめです。
冷凍保存する場合
水分の多いニラはあまり冷凍保存には向きませんが、使い切れない場合や大量に手に入った場合などは冷凍して長期保存することが可能です。
ニラを冷凍保存するときは、よく洗ってからしっかりと水気を拭き取りましょう。このとき、水気が残っているとカチカチに固くなってしまうだけでなく、ニラの細胞が壊れて風味が落ちたり水っぽくなってしまう原因となってしまいます。
さらに、使いやすい大きさにカットしてからラップに包むか、ジッパー付きのフリーザーバッグに入れて保存します。ラップに包むときは一回分ずつ小分けにしておくと、使うときに便利です。
ラップに包むときも袋に入れるときも、なるべく平に入れて空気が入らないようにすると冷凍中に空気に触れて劣化したり、霜がついてしまうのを防げます。
また、ラップや袋ごと金属製のトレーにのせて冷凍庫すると急速冷凍により味や風味を保てるのでおすすめです。
保存期間
ニラの冷凍保存の期間は約1ヶ月です。冷凍をしていても少しずつ香りや風味が落ちてしまうので、なるべく早めに使い切るようにしましょう。
上手な解凍方法
ニラは水分が多く、解凍をすると本来のシャキシャキ感が失われてベチャッとしてしまいます。なので、生でシャキシャキ感を楽しむサラダやシャキシャキスープなどには残念ながら不向きです。
冷凍したニラをおいしく食べるには、ニラレバ炒めや卵焼きなど、加熱する料理がおすすめです。加熱調理をする場合は、凍ったまま鍋やフライパンに入れると味や栄養が流れ出るのを防ぐことができますよ。
食べた後の口臭が気になる…そんな時は
ニラを食べたあと、いつまでも口のニオイが気になる…という方も多いのではないでしょうか?
このニオイの原因は「アリシン」です。アリシンは健康に嬉しい効果が期待できる一方で、ニラやネギ、ニンニクの独特のニオイの元となっている成分でもあります。
ニオイの発生を防ぐためには、ニラを食べる前・食べるときの対策が重要です。ニラをおいしく食べて健康効果を得るために、ニオイ予防の対策を覚えておきましょう!
牛乳・ヨーグルトを飲む
アリシンはタンパク質と結合する性質があります。そのため、タンパク質の豊富な牛乳やヨーグルトなどの乳製品と一緒に摂取することで、ニオイの発生を抑えることができます。
特に、牛乳は液体の中にタンパク質や脂質が分散して存在している「コロイド溶液」であり、ニオイ物質を吸着する働きを持っています。
そのため、ニラを食べる前に牛乳を飲んでおくと、ニオイ予防に効果的です。
ポリフェノール・カテキンを摂取する
アリシンはポリフェノールとも結合する性質を持っています。カテキンはポリフェノールの一種でお茶に多く含まれており、特に緑茶の含有量が多くなっています。
ポリフェノールは緑茶以外にも、コーヒーや紅茶、ココア、赤ワインなどにも豊富に含まれています。
食べ物では、りんごやぶどう、ゴボウ、ナスなどに多く含まれています。牛乳と同様に、食前か食中にポリフェノールを含む食品を摂取すると、効果的にニオイを予防することができます。
ただし、野菜や果物のポリフェノールは皮の部分に多く含まれているため、野菜や果物から摂取するときはよく洗って皮ごと食べると良いでしょう。
ニラを食べたあとにニオイが気になった場合、食後に牛乳やお茶などを摂取してもある程度の効果は期待できます。しかし、やはり食前や食中に対策をしたほうが効果的です。
事前にニラを食べることがわかっている場合は、あらかじめ対策をしておきましょう。もし食後にニオイを軽減したい場合には、食後なるべく早い段階で対策をすることをおすすめします。
にんにくの口臭対策については『上手なにんにくの口臭対策!臭くなる原因は?ニオイを抑える方法も』にて詳しくご紹介しています。
ポイントを押さえてニラを上手に活用しよう!
今回は、健康や美容、スタミナ補給に欠かせないニラのおいしい選び方と保存のポイントを紹介しました。
数日で食べ切れるならシャキシャキ感が保てる冷蔵庫保存、使い切れないときは加熱調理に使いやすい冷凍保存と、場合によって使い分けるのがおすすめです。低カロリーで栄養満点なニラを、ぜひ活用してくださいね!