パプリカはピーマンによく似ていますが、ピーマンのような苦みはなく甘みが強いのが特徴です。シンプルに生で食べても美味しいですし、加熱しても栄養が失われにくいのでさまざまな料理で活躍してくれます。
丈夫そうな見た目から長持ちしそうに思えますが、油断するとすぐに表面がしわしわになってしまい、ぶよっと柔らかくなってしまいます。そこで今回は、そんなパプリカの上手な保存方法についてご紹介します。
食卓を鮮やかに彩ってくれるパプリカは見た目も重要。いつのまにか茶色く変色していた、なんてことのないように適切な保存を心がけましょう!
新鮮なパプリカの選び方
パプリカを新鮮な状態で保存するには、新鮮なパプリカを選ぶことも大切です。ここでは新鮮なパプリカを選ぶ時にチェックすべきポイントをご紹介します。
旬
7月〜10月が旬になります。この期間は特に栄養価が高く美味しいパプリカを味わっていただけます。
表面
表面にはツヤがあり、色は均一で鮮やかなものを選ぶようにしましょう。触った時に弾力があり柔らかいものは水分量が多いのでおススメです。
ヘタ
新鮮なパプリカのヘタは切り口が綺麗で水分が多いです。逆に変色や乾燥が見られるものは中身が腐り始めている可能性があるので買わないようにしましょう。
パプリカの鮮度はヘタから落ちていくと言われています。ヘタは必ず見るようにしてくださいね!
果柄
あまり聞き慣れませんが、果実と枝をつなぐ「果柄(かへい)」と呼ばれる部分の状態も確認するようにしてください。この部分が鮮やかな緑色をしていて、切り口が綺麗な状態だと新鮮だというサインです。
これらのポイントを押さえておけば、より新鮮なパプリカを選ぶことができるはずです。美味しいパプリカを召し上がってくださいね!
常温保存する場合
パプリカは夏場を除けば常温でも保存することが出来ます。冷蔵庫にしまうためのスペースがない時に常温保存が可能なのはうれしいですよね。最も適している温度は7~10℃なので室温を調整する時の参考にしてください。
常温下に置いておく場合は、まず袋から出して1つずつ新聞紙、もしくはキッチンペーパーで包んでください。その後、直射日光を避け通気性のいい場所に置いて保存するようにしましょう。
保存期間
常温での保存は約1週間ほど。あくまで目安として考え早めに使い切るようにしてください。
冷蔵保存する場合
パプリカを日持ちさせたい時は、冷蔵庫での保存がおススメです。冷蔵庫と言ってもパプリカに適した温度を考慮すると設定温度が高めの野菜室で保存するのがいいでしょう。
また、食感が損なわれにくいので生の状態のままサラダ等に使いたい方にも冷蔵保存はベストだと言えます。
手順
1.ふきんやキッチンペーパーを使ってパプリカに付いた汚れや水滴を落とす。
※水気が残っていると鮮度を落とす原因になってしまうので気をつけましょう。
2.パプリカを1つずつキッチンペーパーで包み、その後ビニール袋に入れて口を軽く締める。
※口を軽く締めて空気の通りをよくすることで、長持ちさせることが出来ます。
3.野菜室に入れて保存する。
この方法では、約10日ほど新鮮な状態を保つことが出来ます。10日以上経つと、だんだん味も食感も落ちてくるので、期間内に消費するようにしましょう。
カットした場合
カット済みのパプリカをそのまま冷蔵保存してしまうと、すぐに切り口の断面から乾燥が進んでしなしなになってしまいます。
軽く湿らせたキッチンペーパーで、断面を覆うようにしてから袋に入れると乾燥を防ぐことができます。
カットするとより早く鮮度が落ちます。4~5日ほどを目安に出来るだけ早めに使い切りましょう。
冷凍保存する場合
パプリカは冷凍保存すると保存期間が一気にアップします。ただしシャキシャキ感は失われてしまうのでご注意ください。
加熱調理に使用すると決まっているのであれば、買ってきたらすぐに冷凍してしまえば長持ちさせることが出来るのでおススメです。ストックしておけば買い物の手間も省けますよ。
また、冷蔵保存の手順ではカットした状態のパプリカはそのままの状態よりも鮮度が落ちやすいとご説明しましたが、冷凍の場合はカットした状態で保存するのが賢い保存方法です。
冷凍する時は「生のまま冷凍」する方法と「茹でてから冷凍」する方法の2通りあります。まずは「生のまま冷凍」する方法についてご説明します。
生のまま冷凍
手順
1.パプリカのワタと種を取ってからお好みの大きさにカットする。
2.水気をしっかりふき取る。
※水気が残っていると霜がつきパプリカの味が落ちてしまいます。
3.出来るだけ平らな状態でジップ付きの保存容器に入れ、中の空気をしっかり抜く。
※空気を抜くことで雑菌の繁殖を防げます。
4.金属製のトレイにのせて冷凍庫で保存する。
金属製のトレイにのせて冷凍すると冷気が伝わりやすくなり、凍るまでの時間が短縮出来ます。
茹でてから冷凍
手順
1.パプリカのワタと種を取ってからお好みの大きさにカットする。
2.沸騰したお湯に入れ、軽く1分ほど茹でる。
3.ざるにあけ熱が取れるまで置いておく。
4.冷めたら出来るだけ水気を取り、「そのまま冷凍」する時と同じ手順でジップ付きの保存容器に入れて金属製トレイの上で冷凍する。
こちらは加熱処理のひと手間がかかりますが、加熱するとパプリカに含まれている腐敗・変色を進める効果を持つ酵素の働きを抑えることが出来るので、解凍後もパプリカの鮮やかさを残すことが出来ます。
冷凍保存は、生のままでも茹でてからでも日持ち期間は1か月程度です。用途によって使い分けてくださいね。
干して保存すると旨みが増す!?
干したパプリカを保存する方法もあることをご存知でしょうか?パプリカは干すことで旨みが凝縮され、より美味しくなるんです。手順をご説明するので興味のある方はぜひ挑戦してみてください!
手順
1.パプリカを半分にカットして中のワタと種を取る。
2.果実を千切りにし、ざるに乗せて2日ほど天日干しにする。
※ざるの代わりに、周囲が網で覆われている「干しかご」を使うと虫や鳥が食べてしまう恐れがないので安心ですよ。
3.ジップ付きの保存袋やビンの中に入れて冷蔵庫で保存する。
パプリカは干すことによって冷蔵保存でも1か月ほど日持ちするようになります。いざ使うときには水に浸けて柔らかい状態に戻してから使用するようにしてくださいね。
より味わい深くなったパプリカは煮物に使うのが特におススメですよ。ぜひ作ってみてください。
パプリカは腐るとどうなる?
パプリカは足の早い野菜ではありませんが、収穫されてから時間が経つと水分が抜けて鮮度とおいしさが失われていきます。
多少鮮度が落ちただけであれば食べられますが、腐っていないかどうかを見極めるのも重要なポイントです。パプリカが腐ると次のような変化が現れます。
・皮全体がシワシワになっている。
・表面が水がしみたように変色している。
・触るとぶよぶよと柔らかくなっている。
・茶色っぽい水分が出ている。
・ぬめりがある。
・異臭がする。
以上のような変化が見られたときには、腐敗が進んでいる可能性が高いです。
パプリカの鮮度が落ちてきたときにも皮にシワができますが、シワが全体に及んでいて明らかにぶよぶよと柔らかくなっている場合は、食べずに廃棄しましょう。
パプリカを購入してから時間が経ってしまった場合には、パプリカを食べる前によくチェックして、腐っていないことを確認してから食べるようにしてください。
パプリカに含まれる栄養と期待できる効果効能
パプリカは代表的な緑黄色野菜のひとつで、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。パプリカに含まれる栄養素について詳しくみていきましょう。
可食部100gあたり | 赤パプリカ | 黄パプリカ |
エネルギー(kcal) | 30 | 27 |
たんぱく質(g) | 1.0 | 0.8 |
脂質(g) | 0.2 | 0.2 |
炭水化物(g) | 7.2 | 6.6 |
カリウム(mg) | 210 | 200 |
βカロテン(μg) | 940 | 160 |
ビタミンE(μg) | 4.7 | 2.5 |
葉酸(μg) | 68 | 54 |
ビタミンC(mg) | 170 | 150 |
食物繊維(g) | 1.6 | 1.3 |
パプリカにも種類がありますが、ここでは一般的な赤パプリカと黄パプリカに含まれる栄養素を表に示しました。
可食部100gあたりのエネルギー量は、赤パプリカが30kcal、黄パプリカが27kcalです。タンパク質は赤パプリカが1.0g、黄パプリカが0.8gで、脂質はどちらも0.2gです。
炭水化物は赤パプリカが7.2g、黄パプリカが6.6gですが、そのうち赤パプリカでは食物繊維が1.6g、黄パプリカでは1.3g含まれており、糖質は赤パプリカが5.6g、黄パプリカが5.3gとなっています。
それでは、それぞれの栄養素の働きと効果についてみていきましょう。
カリウム
カリウムは私たちの身体に欠かせないミネラルのひとつで、主に体内の水分の代謝に関わっています。
細胞内の余分な水分を排出させる働きがあるため、むくみの防止・解消や血圧上昇の抑制に役立ちます。また、筋肉の収縮にも関与しており、不足すると筋力低下に繋がる場合もあります。
βカロテン
βカロテンはカロテノイド色素であり、パプリカの赤色の素となっている成分です。
そのため、ピーマンでは可食部100gあたり400μg、黄パプリカでは160μgのβカロテンが含まれているのに対し、赤パプリカでは940μgとピーマンの約2.4倍、黄パプリカの約5.9倍の量が含まれています
βカロテンは、ビタミンAとして視力の正常維持や皮膚・粘膜の維持、免疫力アップに役立ちます。さらに、βカロテンには強い抗酸化作用があり、細胞を健康に保ち、抗ガン作用や生活習慣病の予防、アンチエイジングにも効果が期待できます。
ルテイン
パプリカの色が違うと、栄養面でも違いが出てきます。特に大きな違いが生じるのが、パプリカの色の素となっている成分の含有量です。
赤パプリカでは赤い色素であるβカロテンが多く含まれているのに対し、黄パプリカでは黄色い色素であるルテインが多く含まれています。
ルテインはカロテノイド色素のひとつで、パプリカの他にはかぼちゃやにんじん、ほうれん草などにも多く含まれています。
βカロテンと同様にルテインにも抗酸化作用があり、免疫力アップや生活習慣病・ガンの予防、アンチエイジング効果が期待できます。さらに、ルテインは目の健康にも関わっており、視力の維持にも役立ちます。
ビタミンE
ビタミンEは脂溶性ビタミンのひとつで、体内では細胞膜や脂質に多く存在しています。強い抗酸化作用があり、抗ガン作用や動脈硬化予防、生活習慣病の予防、アンチエイジングに効果が期待できます。
赤パプリカに含まれるビタミンEは野菜の中ではトップクラスで、ピーマンの約5.9倍含まれています。
ビタミンC
ビタミンCは水溶性ビタミンで、体内の物質代謝や酸化還元反応などに必要とされる成分で、免疫力の向上やコラーゲンの生成を促進します。
また、鉄分の吸収を促進する作用があり、貧血の予防・改善にも効果的です。また、抗酸化作用があるためアンチエイジングや生活習慣病の予防にも役立ちます。
赤パプリカに含まれるビタミンCは、ピーマンの約2.2倍含まれています。
葉酸
葉酸はアミノ酸や核酸の代謝、ビタミン類の代謝に関与しています。また、ヘモグロビンの合成にも関与しており、貧血の予防・改善にも必要な栄養素です。
さらに、神経系の発達にも欠かせない栄養素で、特に赤ちゃんの成長のために妊娠前・妊娠中の女性は不足しないよう注意が必要です。
食物繊維
食物繊維は大腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増やす作用があり、腸内環境を整える効果があります。
そして胃腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を促すため、便秘の予防・解消に役立ちます。さらに、一緒に摂取した糖や脂質の吸収を穏やかにして、血糖値や血中脂質の上昇を緩やかにしてくれます。
パプリカを上手に保存しよう
今回は、新鮮なパプリカを選ぶコツや上手な保存方法をご紹介しました。見た目だけでパプリカの鮮度がわかれば、同じ値段のものでもより美味しいものを選ぶことが出来るのでお得感が増しますよね。
保存方法については、生の状態で食べるものとすぐに使うものは冷蔵保存、それ以外は買ってきたらすぐに冷凍するのが一番いいということを覚えておくといいでしょう。
また、パプリカの味を存分に味わいたい方は干してからの保存もおススメです。ぜひチャレンジしてみてくださいね!