お酒を飲み過ぎて二日酔いを経験された方は多いと思いますが、そもそもなぜあのような症状が起こるのでしょうか。
今回は、二日酔いの原因やその対処法について解説します。お酒を飲んだ後に体調を崩しがちでお悩みの方はぜひチェックしてみてください。
二日酔いになる原因は?
二日酔いの原因には以下のことが挙げられます。
①アルコールの過剰摂取による肝臓機能の低下
アルコールを過剰摂取すると肝臓の分解機能が低下します。するとアルコール中に含まれる有害な「アセトアルデヒド」という物質が体外に排出されなくなり、人体に悪影響が及びます。
これが、いわゆる二日酔いの状態です。具体的な症状には頭痛や嘔吐、動悸などが見られます。特に日本人は肝臓のアルコール分解酵素の活性が弱く、二日酔いに陥りやすいので飲み過ぎには注意が必要です。また、強いストレスを感じるのも肝臓に負担を与える一因となります。
②アルコール成分が胃の粘膜や脳を刺激する
二日酔いの方が嘔吐したり、空腹感を感じやすいのは胃の粘膜がアルコール成分によって直接的に刺激を受けることが理由です。
その他、脳内において血液中の毒物を検知するエリアはアルコールが体内に入ることで活性化され、胃をムカつかせたり吐き気を引き起こします。
③アルコール以外に分解対象となる毒物の過剰摂取
お酒を発酵させる過程でアルコールと共に生み出される「コンジナー(水やエチルアルコール以外の物質のこと)」という有毒性のある成分の摂り過ぎによっても、二日酔いになる恐れがあります。
アルコールの過剰摂取と同様、分解対象が増えることによって肝臓の負担が大きくなることが理由です。
男性の方がアルコールを分解が早い
1時間で分解できるアルコール量は男性が6~13g、女性が3.5g~10.5g程度で、男性の方が分解速度が速いのは一目瞭然です。
女性の方が遅い背景には、女性特有の体格や女性ホルモンの存在が関係しているのではないかと言われています。
症状別に見る二日酔いの対処法
「二日酔いに絶対効く!」と断言できる薬や方法はありませんが、症状を和らげることは可能です。ここからは、二日酔いの方によく見られる症状ごとにその対処法についてご紹介します。
頭痛がひどい場合
頭痛の主な原因はアルコールに含まれるアセトアルデヒドなので、それを薄めたり体内から排出することで症状が緩和されます。
手軽に行える対処法は水分補給。いつもより多めに水やスポーツドリンクを摂るようにしましょう。しかし、飲み過ぎると胃液が逆流するおそれがあるため、適量を心がけるようにしてください。
吐き気がひどい場合
胃食道逆流症が原因で起こる吐き気や胸焼け。このような症状が見られたら病院で適切な飲み薬を処方してもらう対処法が最もおすすめです。少しでも食欲があれば、さっぱりしていて刺激の少ない食べ物をとるようにしてください。
体がだるい場合
体がだるく感じる場合にも、頭痛の原因と同じアセトアルデヒドが関与しています。この成分を薄めるための水分補給を行うのはもちろん、身体にパワーを取り戻せるよう食事からの栄養摂取も同時に行うと良いでしょう。
しかし、食欲がない場合に無理に食事を摂る必要はありません。水分のみを摂り、食欲が回復するまで安静に過ごしましょう。
二日酔いでやってはいけないNG
二日酔いの対処法には誤った情報も多く含まれています。早く治すためにやってはいけないことリストを以下にまとめました。
迎え酒
飲み過ぎた日の翌日に迎え酒をすると、二日酔いが治まることは有名ですね。しかし、実際に症状が改善されるわけではありません。アルコール摂取によって瞬間的に血糖値が上がるのと、昨日摂ったアルコールによる神経麻痺の影響で気分が良くなったと錯覚しているだけなんです。
時間が経つと再び二日酔いの症状が出始めますし、肝臓が何度も負担を受けることにより治るのが長引いてしまうおそれがあります。
運動をする
運動して汗をかくことでアルコールが体外に排出されると勘違いしている方がいらっしゃいますが、実際にはアルコールは肝臓で分解されるのでこの対処法は誤りです。
二日酔いの時は脱水状態になっている可能性が高いため、むしろ運動して体内の水分が汗として流れ出てしまうのは大変危険です。痛みを感じたり、意識障害に陥ってしまう可能性があるので無理な運動は控えるようにしてください。
サウナ
二日酔いの時にサウナに入るのは絶対にやめましょう。
運動と同じように発汗作用のあるサウナに入ると体内の水分が奪われ、アルコール内の有毒成分であるアセトアルデヒドの濃度が濃くなります。すると、それを分解する肝臓の機能が落ちて症状が治まるまでより時間がかかる場合があります。
二日酔いに効くとされる食べ物
続いては二日酔いに効くとされる食べ物をご紹介します。
しじみ
しじみに豊富に含まれる「オルニチン」は、肝臓でアセトアルデヒドが分解される機能を助けてくれる成分です。また、血液中に残った他の有毒成分の分解も行ってくれます。
それによって、二日酔いの諸症状を和らげてくれる食材として親しまれています。
柿
しじみと同じくらい二日酔いへの効果が期待される食べ物が柿です。
柿に含まれる果糖や「アルコールデヒドロゲナーゼ」という酵素はアルコールの分解をスムーズにする効果を持っています。また、アルコールの吸収率を抑える「タンニン」、利尿作用でアルコールを体外に排出する「カリウム」などの栄養も豊富です。
症状が落ち着き始め、食欲が少し戻ってきた頃に食べるとよいでしょう。それまでは水分を摂取し、安静に過ごすようにしてください。
二日酔いを防止することも大切
今回は二日酔いの対処法などをご紹介しましたが、何よりも大事なのは事前の予防です。1日に摂取するアルコールの目安量は男性で20g、女性や高齢者は1/3から半分程度がいいとされています。
空腹時の飲酒は胃腸の粘膜を刺激するため、脂肪分の多いチーズやオリーブオイルを使用したおつまみを食べた後に飲むのがおすすめです。
また、飲酒の合間に水を飲むことでアルコールによる脱水症状の予防に繋がることを覚えておいてください。自分を律し、飲んだ翌日も清々しい朝を迎えられるような飲み方でお酒を楽しみましょう!