秋といえばさんまがスーパーや魚屋さんに並び始める時期。この時期のさんまは脂がたっぷりと乗っていて、刺し身や塩焼きにすると絶品ですよね。
そんなさんまはおいしいだけではなく、栄養的にみてもとても優秀な食材なんです!今回は秋の味覚さんまの意外と知らない豆知識と主な栄養素、効果的な調理方法について紹介します。
さんまってどんな魚?
秋の代表的な魚といえば、なんといっても「さんま」ですよね。
さんまは「秋刀魚」と書くように、秋によく獲れる、刀のような形と銀色に輝く身体が特徴の魚です。
大きさは30〜35cm程度と一人で食べるのに程よい大きさで、日本海側を大きな群れで回遊するため根室沖や三陸沖、銚子沖での網漁が盛んな大衆魚です。
日本の魚のように思えますが、世界で見るとさんまの仲間は北太平洋を始めとして南太平洋、南大西洋、インド洋など広く分布しているんです。
名前の由来
しかし、なぜ秋刀魚と書いてさんまと読むのでしょうか?
これには「細長い魚」という意味の「さまな(狭真魚)」が変化したという説と、大きな群れ(さわ)で泳ぐ魚(ま)という意味の「さわんま」が変化したという2つの説があり、どちらが正しいのかは未だはっきりしていません。
どちらにしても、漢字と読み方はそれぞれ別の由来なんですね。
他にも、昔の文献では「さいら(佐伊羅魚)」や「さまな(狭真魚〉」、「さんま(青串魚)」と書かれていたり、夏目漱石の「吾輩は猫である」の中では「さんま(三馬)」と書かれていたりと、色々な名前で呼ばれています。
さんまにもいくつか種類がある
スーパーや魚屋さんで売られているさんまは「さんま」もしくは「生さんま」としか書いていないことが多いので、さんまは一種類しかいないと思っている人も多いのではないでしょうか。実は、さんまにもいくつか種類があるんです。
私たちがよく見るさんまは、そのまま「サンマ」という種類です。その他に、南太平洋、南大西洋、インド洋に多く生息する細めの「ハシナガサンマ」や大型の「ニシサンマ」、数cm〜10数cm程度の「ミニサンマ」などがいます。
旬はいつ?
さんまの旬は秋刀魚の名前からもわかるとおり秋です。それも産卵期に入る9〜10月の一ヶ月間は刺し身でも焼き魚でも絶品のさんまが味わえるんです。
さんま漁は8月の末に北海道の北の海で始まり、各漁港に水揚げされてお店に並ぶようになります。この時期のさんまはまだ脂が乗り切っておらず、焼き魚よりも刺し身や酢締め、押し寿司で食べられることが多いです。
そして秋が深くなる10月頃まで、さんまの群れは北の海からだんだん南の三陸沖の方まで移動していきます。
この三陸沖は親潮と黒潮がぶつかり餌が豊富な海。ここでしっかりと餌を食べるさんまは、まるまるとたっぷり脂が乗っていて、最高にジューシーな味わいが楽しめるんです。
時期と場所によって用途と変わる
旬である秋に北海道から三陸沖で獲れるさんまは、脂が乗っていて刺し身や焼き魚など生さんまとしての流通がメインになります。
秋が深くなり冬が近づいてくると、さんまは産卵を終えてさらに南の海に移動していきます。この頃のさんまはだんだん脂の乗りが少なくなってサイズも小さくなってきます。
そのため、伊豆半島など南の海で獲れるさんまはあまり生さんまとしては流通せず、缶詰や干物などの加工用として流通します。
さんまに含まれる主な栄養素
さんまには健康や美容のために積極的に摂りたい栄養がたっぷり詰まっています。特に注目したいのが、脂質であるEPAとDHA、そしてたんぱく質など身体を作るのに欠かせない成分です。
さらに、スムーズな身体の機能や美容に欠かせないミネラルやビタミンもしっかり含まれているんです。
EPA(エイコサペンタエン酸)
アジやいわし、サバなど青魚にたっぷり含まれていると言われているEPA。もちろん青魚であるさんまにもたっぷりと含まれています!
EPAはオメガ3脂肪酸という脂肪酸のひとつで、身体の中では作り出すことができないため食べ物から取り入れるしかない必須脂肪酸です。脂肪と聞くと敬遠してしまいがちですが、オメガ3脂肪酸は逆に体内の脂肪を燃やしやすくしてくれます。
実際に、オメガ3脂肪酸をたくさん摂った人は、代謝が上がってジョギングでの脂肪燃焼が高まったり、たんぱく質の合成が強化されたという研究結果もあるほど。このことから、オメガ3脂肪酸はダイエットにも役立つ脂肪と言えます。
また、EPAは血液をサラサラにしたり血管を軟らかくして動脈硬化や血栓の予防、悪玉コレステロールを低下させる働きもあります。
動脈硬化や血栓、コレステロールは日本で死因の第2位を占める心疾患の原因になります。心疾患予防にもしっかりと摂りたい栄養素ですね。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
同じく青魚に含まれているオメガ3脂肪酸として有名なのがDHAです。
よく、「魚を食べると頭が良くなる」と言われていますが、これはDHAが脳細胞の活性化に効果があると言われているからです。
EPAもDHAもフィッシュオイルなどの名前で手軽なサプリメントが売られていますが、サプリメントのオメガ3脂肪酸は製造段階や保管している間に酸化しやすいという問題があります。
酸化してしまった脂は逆に体内の炎症や老化の原因となり逆効果になので、できるだけ食べ物から新鮮な脂肪酸を摂取するほうがおすすめです。
1日に摂りたい量は、EPAとDHAを併せて1000mg程度です。
生のさんま100gにはEPAが1500mg、DHAが2200mgとたっぷり含まれているので、週に2〜3匹のさんまを食べるだけでもしっかりとオメガ3脂肪酸の補給ができますね。
たんぱく質
たんぱく質は筋肉を作るだけでなく、肌や髪の毛、内臓、血など身体のあらゆる細胞の材料となる重要な栄養素です。
たんぱく質はアミノ酸というさらに小さい物質が集まってできています。美容や健康のためには、身体が必要としているアミノ酸をしっかりと含んでいるたんぱく質を摂ることが重要なんです。
さんまのたんぱく質は、人間が身体の中で生成できない必須アミノ酸をたっぷりと含んでいる良質なたんぱく質なんです!
必須アミノ酸以外にも、身体の機能や代謝、免疫力アップに欠かせないアルギニン、グルタミン、タウリンといったアミノ酸もさんまには含まれています。
スポーツをする人はもちろん、美容や健康に気を使うなら、さんまのたんぱく質はぜひとも積極的に摂りたいですね。
カルシウム
三大栄養素の脂質とタンパク質だけではなく、ミネラルやビタミンの点でもさんまは優秀な栄養源なんです。
特に注目したいのが、カルシウムです。カルシウムは骨や歯の健康に必須な栄養素であるだけでなく、イライラを抑えたり認知症を予防したりと、メンタルや脳の健康にも欠かせない栄養素です。
カルシウムといえば牛乳というイメージがあるかもしれませんが、実はさんまをはじめとした魚にもカルシウムはたっぷりと含まれています。
しかも、牛乳だけではカルシウムの吸収に欠かせないマグネシウムやビタミンDが不足しがちですが、さんまにはこれらの栄養素も同時に摂れるという大きなメリットもあります。
さんまのカルシウムは骨に多く含まれているので、さんまの缶詰や唐揚げで骨まで食べられるようにすれば、さらに効率よくカルシウムが補給できますよ!
ビタミン類も豊富!
カルシウムの吸収を助けるビタミンDだけでなく、さんまにはビタミン類も豊富に含まれているんです。
たとえば、神経や血液の細胞を健康に保つ役割のビタミンB12は他の魚と比べ3倍以上も含まれています!
ビタミンB12は不足すると貧血や疲労、体力低下の原因となります。植物性の食品にはほとんど含まれていないので、さんまを始めとした動物性の食品でしっかりと摂りたい栄養素です。
他にも、目や肌の健康に欠かせないと言われているビタミンAや、強力な抗酸化力で体内の炎症や老化を防いでくれるビタミンEなども豊富なんです。
そしてこのビタミンAとビタミンEは脂溶性ビタミンなので、良質な脂と一緒に摂ることでさらに吸収率がアップします。さんまにはDHAやEPAという良質な脂質がたっぷり含まれているので、さんまを食べるだけでこれらのビタミンを効率的に摂ることができます。
さんまに大根おろしは理にかなっていた!?
さんまの塩焼きを食べるとき、大根おろしがついてくることが多いですよね。これは見た目や味はもちろん、栄養的にも理にかなった食べ方なんです。
味の面では苦味を抑える効果があります。さんまの塩焼きは内臓も食べることが多いですが、大根おろしと一緒に食べることで、内臓の苦味を和らげてくれます。
さらに、さんまは焦げ目のついた皮の部分を食べることも多い魚です。焦げた部分には発がん性物質がありますが、大根おろしにはこの発がん性物質を抑える働きがあります。
また、大根おろしには消化を助けるジアスターゼやプロパノーぜ、リパーゼという酵素や、鉄分、ビタミンA、Eの吸収や働きをサポートするビタミンCも含まれています。大根おろしのサポートにより、さんまの栄養を効率よく摂ることができるんです。
さんまの効果的な調理法
さんまといえばお刺身や塩焼きが定番ですが、それだけだと飽きてしまいますよね。ここでは、お刺身や塩焼き意外にさんまの栄養を効率よく摂れる調理法を紹介します!
まずおすすめしたいのが、ホイル焼きやスープにすることです。普通にさんまを網で塩焼きにすると良質な脂が落ちてしまいますが、ホイル焼きやスープなら脂を余すことなく摂れます!
さんまの脂は栄養的に優れているだけでなく、旨味がたっぷりと入っています。他の油を足さなくても、さんまの脂だけでしっかりとコクが出せますよ。
食物繊維やビタミンCを補うためにも、野菜やきのこを一緒に入れればさらにおいしく食べられます!
他にも、さんまを圧力鍋で煮たり、おろした中骨を唐揚げにするのもおすすめです。さんまの骨にはカルシウムがたっぷりと含まれています。圧力鍋や骨の唐揚げにすると骨まで食べられるので、しっかりとカルシウムの補給ができます。
カルシウムとたんぱく質が豊富なチーズと組み合わせるのもおすすめです。和食のイメージが強いさんまですが、実はハーブやチーズ、トマトやオリーブオイルなどヨーロッパの食材とも相性は抜群なんです!
オーブン焼きやソテー、マリネなど、色々試してみてくださいね!
さんまは栄養豊富な優秀食材!調理法でより栄養効率アップ
今回は、秋の味覚さんまの栄養と効果的な調理法について紹介しました。
さんまは良質な脂質とタンパク質、ビタミンミネラルがたっぷりと含まれている健康や美容にうれしい食材なんです!
特に魚の脂質はアンチエイジングやダイエット、メンタルの健康にも効果的なので、積極的に食べることをおすすめします。
ビタミンCや酵素がたっぷりな大根おろしや他の食材と組み合わせることでさらに効率よく栄養が摂れるので、ぜひ試してみてくださいね。