おつまみやサラダなど、さまざまな食べ方で楽しめる「枝豆」。飲みの席では必ず頼む、という方も多いのでは。そのまま食べるのはもちろん、調理方法を変えればまた違った美味しさを味わえるので大人から子どもまで楽しめる野菜ですが、あまり日持ちしないのが欠点…。
だからといって食べたいときにその都度、買いに行くのもちょっと面倒ですよね。今回はそんな枝豆を上手に保存する方法をご紹介します。冷蔵と冷凍保存を用途に合わせて上手く使い分れば、美味しさを損なうことなく味わえるはずです!
目次
枝豆は大きく分けて3種類
実は枝豆にも種類があります。枝豆は毎年品種改良が行われており、数多くの品種が存在します。
種類は大きく分けて3つあり、それぞれ見た目や味、栽培方法に特徴があります。種類ごとにその特徴をみていきましょう。
白毛豆(青豆)
「白毛豆」は国内で最も多く生産されている品種です。
クセがなく食べやすい味わいから広く愛されており、その名の通りさやに白い産毛が生えているのが特徴です。さや自体は鮮やかな緑色をしており、種子が薄い緑色あるいは大豆色をしているものを「青豆」とも呼びます。
ひとつのさやに2~3粒の豆が入っているものが多く、粒同士の間隔が狭いのも特徴です。
関東を中心に全国各地で栽培されており、品種にもよりますが6~8月に旬を迎えます。代表的な品種として「毛豆」「小糸在来(こいとざいらい)」「はねっ娘会(はねっこかい)」などがあります。
茶豆・だだちゃ豆
「茶豆」はさやの中に入っている豆が茶色い薄皮を被っています。
さやは白毛豆と同じく鮮やかな緑色をしていますが、その中でも産毛が茶色いものを「だだちゃ豆」と呼びます。白毛豆よりも糖分が多く、甘味と風味が強いのが特徴です。
ひとつのさやに2粒の豆が入っているものが多く、白毛豆のように3粒以上入っているものが少ないという特徴もあります。
茶豆は8~9月が旬で、山形県や宮城県など東北地方を中心に栽培されています。特に「だだちゃ豆」は山形県鶴岡市の特産品で、JA鶴岡で商標登録もされています。
ちなみに「だだちゃ」とは庄内地方の方言で「おやじ」「お父さん」という意味の言葉だそうです。
代表的な品種としては、山形県鶴岡市の「だだちゃ豆」のほか、宮城県の「気仙沼茶豆」、新潟県の「黒埼(くろさき)茶豆」などがあります。
黒豆
「黒豆」というと真っ黒な大豆のイメージがありますが、枝豆の状態ではさやの中の豆が薄い黒色あるいは紫色の薄皮を被っています。この枝豆が成熟して大豆になると、お馴染みの真っ黒な黒豆になります。
大粒で独特の風味があり、一般的な枝豆の3~5倍の糖分を含むともいわれており、コクの強い甘味があるのが特徴です。
収穫時期はやや遅く、9~10月に旬を迎えます。「丹波の黒豆」が有名であるように、関西地方を中心に栽培されています。収穫時期が短く、他の枝豆に比べて生産量は少なめです。
代表的な品種には「紫ずきん」や「丹波篠山黒大豆(たんばささやまくろだいず)」などがあります。詳しくは『黒豆は栄養も豊富!?ダイエットに効果的な理由と期待できる効果を解説』にてご紹介しています。
枝豆に含まれる栄養素について
枝豆は成熟すると大豆になります。大豆は「畑の肉」といわれるほど栄養豊富な食材ですから、枝豆にも豊富な栄養が含まれています。
枝豆は100gあたり135kcalで、タンパク質は11.7gと野菜の中ではトップクラスです。また、枝豆に含まれる脂質はリノール酸の割合が高いのが特徴です。
リノール酸は私たちの体内では生成することができない必須脂肪酸のひとつで、食事から摂取することが大切です。リノール酸は血中のコレステロール値を低下させ、血液をサラサラにする効果があるといわれています。
炭水化物は8.8g含まれていますが、そのうちの5.0gが食物繊維で、糖質は3.8gです。そのため、枝豆は高タンパク低脂質な食材であるといえます。
続いて、枝豆に含まれる代表的な栄養素の働きや効果についてみていきましょう。
カリウム
カリウムは私たちの身体に欠かせないミネラルのひとつで、主に体内の水分の代謝に関わっています。
細胞内の余分な水分を排出させる働きがあるため、むくみの防止・解消や血圧上昇の抑制に役立ちます。また、筋肉の収縮にも関与しており、不足すると筋力低下に繋がる場合もあります。
カルシウム
カルシウムは骨や歯の原料となるほか、筋肉の収縮や血液凝固、神経伝達、免疫機能の維持など、身体の中で重要な役割を担っています。
日本人に唯一不足している栄養素ともいわれており、不足すると骨粗鬆症の原因になるほか、肥満や高血圧、動脈硬化、生活習慣病を引き起こす可能性があります。
鉄
鉄は血液を作る原料となる成分です。酸素を運ぶ赤血球の構成成分で、貧血を予防・改善するために必要なミネラルです。特に女性や妊産婦の方は積極的に摂取したい栄養素のひとつです。
βカロテン
βカロテンはプロビタミンAと呼ばれる物質のひとつで、体内に吸収されると必要な分だけビタミンAに変換されます。
また、βカロテンはカロテノイド色素のひとつでもあり、抗酸化作用、抗ガン作用があります。アンチエイジングや生活習慣病の予防にも効果が期待できるでしょう。
ビタミンE
ビタミンEは脂溶性ビタミンのひとつで、体内では細胞膜や脂質に多く存在しています。強い抗酸化作用があり、抗ガン作用や生活習慣病の予防、アンチエイジングに効果が期待できます。
ビタミンB1
ビタミンB1は糖質やアミノ酸の代謝に関与しています。不足すると、倦怠感や食欲不振を引き起こす可能性があります。
葉酸
葉酸はビタミンの一種で、赤血球の産生に必要な成分です。そのため、鉄とともに貧血の予防・改善に繋がります。また、胎児の神経系の発達にも欠かせない成分であるため、妊産婦さんには特に意識して摂取していただきたい栄養素です。
食物繊維
食物繊維は腸内環境を整え、お通じを改善します。さらに、一緒に摂取した糖や脂質の吸収を穏やかにするため、血糖値や血中脂質の上昇を緩やかにしてくれます。
枝豆に含まれる栄養素には、上記の表に記載のもの以外にも身体に嬉しい効果のある栄養素が含まれています。それが次の2つです。
大豆イソフラボン
大豆や枝豆に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンと同じような働きをすることで知られています。これによって、月経前後や更年期の体調不良や、閉経後の骨粗鬆症の予防・改善に効果が期待できます。
大豆サポニン
大豆サポニンは苦味・渋味の元となる成分です。強い高酸化作用があり、体内の脂肪の蓄積を防いで肥満の予防に効果があるといわれています。
ちなみに、枝豆を茹でることによってカリウムや葉酸などのビタミンB群といった水溶性の栄養素がやや減少します。栄養素を効率よく摂りたい場合には、蒸したり蒸し焼きにするのがおすすめです。
美味しい枝豆の選び方
枝豆を購入する時に見るべきいくつかのポイントを把握していれば、見た目だけで美味しい枝豆を見極めることが出来ます。ここでは購入時にチェックするべきポイントをお教えします。
枝つきのものを買おう
まず、枝豆は出来るだけ枝付きのまま販売されているものを買うようにしてください。
枝豆で最も重要視すべき鮮度は枝から切り離すと同時に落ちていってしまいます。枝はしなびておらず葉は青々としているものが鮮度がいい証拠です。
実が詰まっていて緑色のもの
また、ひと枝に枝豆が沢山ついていて実がパンパンに詰まっているものがいいでしょう。枝豆のさやも綺麗な緑色をしていて産毛がビッシリ直立して生えているものを選ぶようにしてください。
さやが茶色くなっているものは傷んでいるので選ばないようにしましょう。以上のポイントを抑えていれば枝豆選びに失敗することはありません。買い物の際に役立ててくださいね。
ここからは枝豆の保存法についてご紹介します。生のままや茹でたあとはどのように保存すればいいのでしょうか。ちょっとしたコツで鮮度を保てるのでぜひ覚えておいてくださいね!
枝豆は常温保存NG!
枝豆は収穫しても生きています。そのままにしておくと枝豆は糖分を分解するため、やがて風味や栄養が損なわれてしまうのです。また、気温の高い季節は急速に鮮度が落ちるので傷むのも早いです。
どうしても常温で保存しなければならないときは、湿らせたキッチンペーパーや新聞紙で包んで冷暗所で保存してください。常温保存では1〜2日ほどしか持たないため、できるだけ早めの消費を心がけましょう。
冷蔵保存する場合
生の枝豆を冷蔵する方法をご紹介します。
枝付きの生枝豆の場合
濡れた新聞紙にくるみ、野菜室に入れる。
※野菜室に入らない場合は日の当たらない涼しい場所で保存する。
枝から実を外す場合
枝付きのままだと野菜室に入らないという場合はこの保存方法を試してみてください。
1.濡れた新聞紙にくるんでからビニール袋に入れる。
2.立てた状態で野菜室に入れて保存する。
枝豆を茹でてから冷蔵保存する場合
使うときの手間を省きたい方は、茹でてから冷蔵保存するのがおすすめです!
1.軽く水洗いした枝豆のさやの両端をハサミで切り落とし、塩もみする。
2.沸騰したお湯で2~3分程茹でる。
3.ざるにあげ、水をよく切ってから熱が取れるまで置いておく。
4.冷めたら密封出来る容器に入れて野菜室に入れる。
※早めに冷ましたい時はうちわであおいだり、扇風機の風が当たる場所に置いておくようにしてください。
茹でた枝豆を冷やす際、冷水で洗ってしまうと枝豆の栄養や塩気が流れてしまうので、うちわなどを使うようにしてください。
冷蔵保存の期間は2~3日ほど。夏場は傷みやすいので早めに使い切るようにしましょう。
生のまま冷凍する方法
枝豆は冷蔵だけでなく、冷凍での保存も可能です。冷凍保存の場合も生のまま保存する方法と、茹でてから保存する方法の2つがあります。
冷凍すれば1ヶ月近く日持ちさせることが出来るので、食べきれない場合は冷凍保存するようにしましょう。
生の枝豆を冷凍保存する
はじめに、生の状態の枝豆を冷凍保存する方法をご紹介します。
1.枝豆を軽く水洗いし、汚れやごみを取る。
2.キッチンペーパー等で水気をしっかり取る。
3.出来るだけ枝豆が平らになるようにフリーザーバッグに入れ、密封してから冷凍庫で急速冷凍する。
※使う分ごとに分けて冷凍しておくと、袋ごと解凍できるのでおすすめです!
急速冷凍できない場合は、金属バットの上にフリーザーバッグを乗せるか、アルミホイルでフリーザーバッグを包んでから冷凍すれば、冷気が枝豆に早く伝わり急速冷凍することが出来ます。
生の状態を冷凍すると、解凍後に枝豆の食感がしっかり残るので美味しくいただけます。使う時は冷凍された枝豆を熱湯で茹でるだけで解凍出来るのでぜひ試してくださいね!
解凍方法
1.使う分の枝豆を取り出し、大さじ1の塩を入れた熱湯で3~4分ほど茹でる。
2.ざるにあけ、しっかり水気を切る。その後うちわなどであおいで冷ます。
※水洗いで冷やすと水分が多くなり、食感が落ちてしまうのでこの方法がおすすめですよ。
茹でてから冷凍保存する
枝豆は冷凍前に茹でることで、使いたい時に解凍してそのまま召し上がることが出来るのでラクチンです。
1.軽く水洗いした枝豆のさやの両端をハサミで切り落とし、塩もみする。
2.沸騰したお湯に大さじ1の塩を入れ3~4分ほど茹でる。
3.ざるにあげ、水をよく切ってから熱が取れるまで置いておく。
※早めに冷ましたい時はうちわであおいだり、扇風機の風が当たる場所に置いておくようにしてください。
4.冷めたらフリーザ―バッグに入れ、出来るだけ平らな状態で冷凍庫に入れ急速冷凍する。
解凍方法
フリーザーバッグから使う分の枝豆を取り出し、冷蔵室に移し自然解凍する。
さやなしの枝豆も冷凍保存しよう
さや付きの枝豆だと冷蔵庫に入りきれない…そんなときは、少し手間ですが実をさやから取り出して保存しましょう!
1.軽く水洗いした枝豆のさやの両端をハサミで切り落とし、塩もみする。
2.沸騰したお湯で2~3分程茹でる。
3.水をよく切り粗熱が取れたら実を取り出す。
4.保存容器に入れ冷凍室で保存する。
実だけであれば凍ったまま料理に入れてもすぐに熱が通るので、料理の幅もグンと広がりますよ。生のまま食べるときは流水に5分ほどさらせばちょうどいい食べごろに。お酒のおつまみにもってこいです。
大豆アレルギーに気を付けて!
食品アレルギーは、食品に含まれる特定の物質に反応して過剰な免疫反応を起こし、身体に種々の症状を引き起こします。
アレルギー症状は様々で、皮膚のかゆみや蕁麻疹、吐き気・嘔吐などをはじめ、重篤な場合はアナフィラキシーショックを起こし血圧低下や呼吸困難、意識障害など命に関わる事態にもなり得ます。
枝豆は、成熟して大豆になる前の状態です。そのため、枝豆には大豆アレルギーを引き起こす成分が含まれており、大豆アレルギーを持っている方は注意が必要です。
食品では、重篤なアレルギー症状を引き起こしやすい、あるいは発症例が多い「卵」「乳」「小麦」「そば」「落花生」「エビ」「カニ」の7つの食品が特定原材料に定められています。大豆は、特定原材料に準ずる21の食品に含まれています。
大豆アレルギーでアナフィラキシーショックを引き起こすことは稀だといわれていますが、症状の種類や重さには個人差があります。アレルギー症状が起きやすい方は食べることを控えたり、食べる量や食べ方に注意してください。
参照:認定NPO法人 アレルギー支援ネットワーク「大豆(大豆油を含む)アレルギー」
枝豆を上手に保存して美味しくいただこう!
今回は冷蔵と冷凍、それぞれの方法で枝豆を出来るだけ長く新鮮に保存する方法をご紹介しました。
日持ちしにくいイメージがある枝豆ですが、確かに冷蔵保存では長くて3日程しか持ちません。しかし、冷凍すると1ヶ月ほど長持ちするのでぜひ試してみてください!
また、冷凍した時に食感が変わってしまうのが気になる方は、生の状態の枝豆を冷凍すれば生の枝豆とほとんど食感も変わらず、美味しくいただくことができるので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
今回ご紹介した美味しい枝豆の選び方と保存方法をフルに活用して、枝豆をたくさん召し上がってくださいね!