アレンジのバリエーションも豊富な食パン。最近では、高級食パンの専門店ができるなど、食パンブームが到来しています。そのままはもちろん、トーストすればサクッとふわっとした食感を楽しむことができるのも大きな魅力。
食パンに合わせる食材も豊富で、ジャムやはちみつで甘くしたり、バターやチーズ、ハムなど、塩気のある食材と合わせてもおいしくいただけます。
ブームとなっている高級食パンもいいですが、毎日のこととなるとスーパーで手軽に購入できる食パンでも、上手に保存しておいしくいただきたいですよね。今回は食パンをおいしく保存するポイントと、保存後も焼き立てのようにおいしくいただくための方法をご紹介します。
知ってる?食パンの名前の由来
パンとしては最もベーシックな種類であるといっても過言ではない「食パン」。この他にもフランスパンやコッペパン、アンパンやクリームパンなど、数多くのパンがあります。
しかし、そもそもこの「食パン」という名前はどのようなことに由来してつけられたのでしょうか?実は、食パンという名前の由来には5つの説があります。それぞれ順にみていきましょう。
1.「本食パン」説
食パンの原型となった由来は、開拓者のために食べやすく作られたことが理由と言われています。今で言うイギリスパンのようにパンの上がふっくらとした山型になっていて、みんなで分配し食べやすい形になっていたそうです。
そんな古くから歴史のある食パンのことを、第二次世界大戦以前に生まれたパン職人たちは「本食パン」と呼んでいたそうです。「本食パン」という言葉には、「西洋料理の“もと”となる食べ物」という意味が込められているのだとか。現在でも食パンのことを「本食」と呼ぶパン職人もいます。
「本食パン」説は、この「本食パン」という呼び方が省略されて、「食パン」と呼ばれるようになったという説です。
2.「主食パン」説
「主食パン」説には2通りの説があるといわれています。
まずひとつめは、日本と海外の主食文化の違いによるものです。日本では古くから米を主食とした食文化が主流でした。この日本にパン文化が広がる以前の時代に、海外では米ではなくパンが主食であるというニュースが広まりました。
このことから、日本国内で「主食であるパン」から「食パン」という名前が生まれたといわれています。
ふたつめは、菓子パンとの区別化によるものです。
日本国内での食パンの元祖は、「ヨコハマベーカリー」というお店のイギリス風の山形食パンと角形食パンであるといわれています。ヨコハマベーカリーでは石窯でパンを焼いており、そのおいしさが評判となりました。
これを真似して他のパン屋でも食パンをつくり始めましたが、当時は酸味があり不出来な食パンが多く、「酸っぱいパン」から「スパン」とも呼ばれていたようです。
国内に伝来したパンとしては食パンがはじめだったのですが、このように当時はおいしい食パンは少なく、アンパンやクリームパンのような菓子パンのほうが先に、広く食べられるようになったのです。
その後、菓子パンに遅れてイギリス風の大型の型焼き食パンが流行し始め、菓子パンではなく「主食用のパン」ということに由来して「食パン」と呼ばれるようになったといわれています。
3.「消しパン」との区別化説
「消しパン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
消しパンとは、美術の木炭デッサンをするときに使われるパンのことで、消しゴムと同じ役割と果たします。現在でも消しゴムではなく消しパンが使われることがあり、消しパンのほうがやわらかく紙を傷つけないというメリットがあります。
また、食パンは油分が少ないため、消しても油染みをすることもありません。この美術の道具として使われる消しパンと区別するために、食用のパンのことを「食パン」と呼ぶようになったという説です。
4.「酵母に食べられたパン」説
パンを作るときは、生地をふっくらと膨らませるために酵母を使います。焼き上がったパンの断面を見ると、酵母によってつくられた無数の穴が空いていることがわかります。
実際には酵母が作り出したガスによってできた穴なのですが、これが「酵母に食べられたためにできた穴」であると表現され、「酵母に食べられたパン」ということから「食パン」と呼ばれるようになったという説です。
5.「フライパン」との区別化説
「フライパン」とは、英語で「焼く(揚げる)ための鍋」という意味になります。
英語でいうとパンは「bread」、フライパンは「flying pan」であるため明確に区別できますが、日本語ではパンとフライパンの発音では「パン」という言葉が共通しています。これを明確に区別するために、食べるパンのことを「食パン」と呼ぶようになったという説です。
以上のように、「食パン」という名前の由来には様々な説があります。普段何気なく呼んでいる食パンという名前ですが、その由来を考えてみるとおもしろい発見がありますね。
現在のところ、どの説が明確な由来かというのはわかっていないようですが、食パンの歴史を知ってから食べると、また違った楽しみ方ができるかもしれませんね。食べる際はぜひ思い出してみてください!