“森のバター”といわれるほど脂質が多く、栄養豊富なフルーツである「アボカド」。その脂質はほとんどが不飽和脂肪酸と呼ばれる良質な脂質であり、脂溶性ビタミンで抗酸化作用のあるビタミンEや食物繊維を豊富に含んでいます。
健康や美容効果への期待の高さから女性を中心に人気を集め、スーパーなどでもよく見かけるようになりました。今回は新鮮なアボカドを見極めるポイントと、長持ちさせるための適切な保存方法についてご紹介します。
アボカドのカロリーはどれくらい?
「森のバター」といわれるほど栄養価の高いアボカドですが、いったいどれくらいのカロリーがあるのでしょうか?
アボカドに含まれる代表的な栄養素とともにみていきましょう。
アボカド可食部100gあたり | 栄養素量 |
エネルギー | 187 |
たんぱく質 | 2.5 |
脂質 | 18.7 |
リノール酸 | 2,000 |
αリノレン酸 | 130 |
炭水化物 | 6.2 |
カリウム | 720 |
ビタミンE | 3.6 |
ビタミンB1 | 0.10 |
ビタミンB2 | 0.21 |
ナイアシン | 2.1 |
ビタミンB6 | 0.32 |
葉酸 | 84 |
パントテン酸 | 1.65 |
食物繊維 | 5.3 |
アボカドの可食部100gあたりのエネルギーは187kcalです。アボカド1個あたりの可食部がおよそ100~150gとすると、エネルギーはおよそ187~280kcalとなります。
また、アボカドには100gあたり脂質が18.7gと多く含まれていますが、リノール酸やαリノレン酸、オレイン酸といった不飽和脂肪酸の割合が高いのが特徴です。
特にリノール酸とαリノレン酸は体内で合成することができない必須脂肪酸であるため、食品から摂取することが重要です。
炭水化物は100gあたり6.2gですが、そのうちの5.3gが食物繊維で、糖質は0.9gです。
アボカドはフルーツの中では高カロリー・高脂質ですがそのぶん良質な脂肪酸が含まれており、低糖質な食材です。脂溶性ビタミンのひとつであるビタミンEの含有量も、フルーツの中でトップクラスです。
アボカドに期待できる効果・効能
先ほどの表で示したように、アボカドにはビタミン・ミネラルが豊富に含まれています。それらの栄養素によって期待できるアボカドの効果・効能についてみていきましょう。
血液サラサラ効果
アボカドに含まれるリノール酸やαリノレン酸、オレイン酸といった不飽和脂肪酸は、血中のコレステロール値を低下させて血液をサラサラにする効果が期待できます。
また、食物繊維には糖や脂質の吸収を穏やかにして血糖値や血中脂質の急激な上昇を抑える働きがあり、サラサラな血液をつくることに繋がります。
動脈硬化予防
不飽和脂肪酸や食物繊維によって血液がサラサラになることで、動脈硬化の予防に繋がります。
さらに、強い抗酸化作用をビタミンEの働きによって動脈硬化の原因となる活性酸素の働きが抑えられるほか、ビタミンB群であるパントテン酸も動脈硬化予防に効果があるといわれています。
ガン予防
ビタミンEの持つ強い抗酸化作用は、動脈硬化や生活習慣病の予防だけでなく、ガンの予防にも効果が期待できます。
また、必須脂肪酸であるαリノレン酸にも抗ガン作用があるといわれており、このほかにもアレルギー症状の軽減や心疾患・循環器疾患の予防効果も期待できます。
整腸作用
アボカドには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が含まれています。
いずれも大腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増やす作用があり、腸内環境を整える効果があります。
また、水溶性食物繊維は水に溶ける性質があり、糖質や脂質の吸収を穏やかにして血糖値の急激な上昇や血中脂質の上昇を抑えてくれます。
不溶性食物繊維は保水性が高く、胃腸で水分を吸収して膨らみ、蠕動(ぜんどう)運動を促進してお通じを促します。
脂肪を分解する
ビタミンB1やビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸といったビタミンB群は糖質や脂質、エネルギーの代謝に関与しています。そのため、摂取した糖質や脂質をスムーズに分解してエネルギーに変換し、体脂肪として蓄積しにくくします。
さらに、血液をサラサラになることで身体の代謝が上がり、体脂肪を落としやすくなります。
美肌効果
リノレン酸やリノール酸、オレイン酸といった良質な脂質が豊富に含まれており、肌のうるおいを保ってくれます。
また、ビタミンB2やビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸といったビタミンB群が皮膚・粘膜を正常に保つ働きを持っており、肌荒れやニキビなどの肌トラブルを予防・解消してくれます。
さらに、ビタミンEの強い抗酸化作用により、アンチエイジング効果も期待できます。同じく抗酸化作用を持つビタミンCを一緒に摂取すると、コラーゲンの生成が促進され美肌への効果がより一層高まります。
細胞の増殖を促す
アボカドに多く含まれている葉酸は、アミノ酸や核酸の代謝、ビタミン類の代謝に関与しています。細胞の増殖や神経系の発達にも欠かせない栄養素で、特に赤ちゃんの成長のために妊娠前・妊娠中の女性は不足しないよう注意が必要です。
ちなみに、葉酸はヘモグロビンの合成にも関与しており、貧血の予防・改善にも必要な栄養素です。
美味しいアボカドの選び方
せっかく健康や美容のためにアボカドを食べるなら、新鮮で美味しいものを選びたいですよね。美味しいアボカドの特徴について、詳しくみていきましょう。
見た目
まずはアボカドの見た目についてです。未熟なアボカドは、固くて味もあまり美味しくありません。食べごろまで熟して美味しくなったアボカドには、次のような特徴があります。
・皮が全体に黒っぽくなっている。
・皮にハリとツヤがある。
・触ったときに弾力があり、ほどよくやわらかい。
・実が大きめである。
アボカドは未熟なときは皮が緑色ですが、熟すと黒っぽく変化します。また、固かった実もやわらかくなっていき、触ると弾力が出てきます。食べごろを過ぎて熟しすぎると、実がやわらかくなりすぎてグニャグニャの状態になり、皮のハリも失われてシワが見られるようになります。
また、アボカドは実に十分な脂質を溜め込んだもののほうが美味しく、栄養価も高くなります。そのため、実が小さいものよりも大きめのものを選ぶとよいでしょう。
以上が食べごろに熟した美味しいアボカドの特徴です。すぐに食べる場合は熟したアボカドを、食べるまでに日が空く場合は皮の緑色が残り、熟しきっていないアボカドを選びましょう。
ヘタの状態にも注目
よく熟したアボカドを選ぶときには、ヘタの状態にも注目してください。アボカドが熟すときには、ヘタの方からおしりの方に向かってだんだんと熟していきます。そのため、ヘタの周辺がやわらかくなりすぎていると、熟しすぎて食べごろを過ぎている可能性があります。
また、ヘタが取れそうなものやすでに取れてしまっている場合にも注意が必要です。アボカドは収穫されると徐々に水分が抜けていき、ヘタから縮む性質があります。そのため、アボカドのヘタが取れるということは、それだけ収穫されてから日が経って水分が抜けているか、そもそもアボカドに含まれていた水分量が少なく未成熟だった可能性が考えられます。
アボカドを選ぶときには、ヘタがしっかり付いているものを探してみてください。
追熟させたい場合
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アボカドを食べるまでに日があり、緑色の未熟なアボカドを購入したときや、すぐに食べたいけどアボカドがまだ固いときには、アボカドを追熟させるとよいでしょう。
アボカドを追熟させるための方法は、20℃前後の室温で風通しの良い日陰に置いておくだけです。アボカドの状態にもよりますが、2~5日ほどで熟します。ただし、27℃以上の高温になるとアボカドは傷みやすくなってしまうため、夏場には注意が必要です。
「もっと早くアボカドを追熟させたい!」という場合は、りんごを活用しましょう。りんごは果物や野菜を成熟させる「エチレンガス」という植物ホルモンを放出します。アボカドをりんごと一緒にポリ袋などに入れ、軽く口を閉じておきましょう。アボカドの状態にもよりますが、1~3日ほどで熟します。
エチレンガスについては『野菜や果物を早熟させるエチレンガスとは?作用や活用方法をご紹介!』にて詳しく解説しています。