夏を代表する野菜のひとつ「ゴーヤ」。独特の苦味が特徴で、ゴーヤチャンプルーなどの炒め料理にするのが定番ですよね。
ゴーヤには様々な栄養が含まれており、夏バテ予防や健康の維持・増進に役立つ効果が期待できます。そんな身体に嬉しいゴーヤですが、「ゴーヤの苦味が苦手…」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実はゴーヤは追熟させることで甘くすることができるのです!今回は、ゴーヤに含まれている栄養とその効果とともに、ゴーヤを甘くするための追熟方法をご紹介します。
目次
「ゴーヤ」だけじゃない!さまざまな呼び名
緑色でゴツゴツとした表面が特徴の夏野菜「ゴーヤ」。しかしこの「ゴーヤ」という名前以外にも、様々な呼び方があるのをご存知でしょうか?
ゴーヤといえば沖縄のイメージが強いですが、沖縄本島では「ゴーヤー」と呼ばれています。また、同じく沖縄県でも宮古島では「ゴーラ」、八重島列島では「ゴーヤ」と呼ばれるなど、地域によって呼び方に差があるのです。
ちなみにゴーヤの標準和名は「ツルレイシ」といいますが、あまり馴染みがない呼び方ですね。より馴染みがあるのは、「ニガウリ」という呼び方でしょうか。「ニガウリ」という呼び方は、その名の通り果肉が苦いことに由来しています。
ゴーヤの主な産地である沖縄県内でも、ゴーヤの呼び方に差があるとお伝えしましたが、九州地方でも地域によって特徴的な呼び方があります。
ゴーヤのことを「ニガゴリ」、「ニガゴーリ」と呼ぶ地域があったり、鹿児島県では「ニガゴイ」や「ニガウイ」、奄美大島では「トーグリ」と呼ばれているようです。
どれも同じゴーヤですが、それぞれの地域で栽培されてきた品種の違いによって、名前を呼び分けている場合もあるそうです。
そもそもゴーヤはなぜ苦いの?
ゴーヤは緑黄色野菜のひとつで、様々な栄養が豊富に含まれています。
ゴーヤの特徴でもある苦味も、私たちの身体にとって嬉しい働きをしてくれる栄養素なのです。まずは、ゴーヤの苦味成分でもある栄養について、その種類と効果をみていきましょう。
モモルデシン
モモルデシンは、食物繊維の一種で、ゴーヤの果肉の緑色が濃いほど豊富に含まれていると言われています。
モモルデシンの効果は、食物繊維として便通を促進したり、糖や脂肪の吸収を穏やかにして血糖値や血中脂質の上昇を抑えることが期待できます。
さらに、胃腸の粘膜を保護して食欲を増進させる作用があり、消化促進や夏バテ予防にも効果的です。
チャランチン
チャランチンは脂溶性の物質で、膵臓の働きを正常に維持する作用があるといわれています。
膵臓は血糖値を下げるホルモンであるインスリンを分泌する器官であり、チャランチンを摂取することによって血糖値の上昇を抑える効果が期待できるというわけです。
この効果を持っていることから、チャランチンは「植物インスリン」とも呼ばれています。
日本人は欧米人と比べてインスリンを分泌する能力が半分程度しかないといわれており、糖尿病になりやすい日本人にとっては大切な成分といえるでしょう。
現在糖尿病、あるいは糖尿病予備軍の方や、将来の糖尿病を予防したい方には、ぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素のひとつです。
コロリン酸
かわいらしい名称ですが、こちらもゴーヤの苦味成分のひとつです。
さきほどご紹介したチャランチンと同様に、「植物インスリン」と呼ばれる成分でもあります。そのため、コロリン酸を摂取することによって、食後の血糖値の上昇を穏やかにさせる効果が期待できます。
ククルビタシン
ククルビタシンは、きゅうりなどにも含まれている苦味成分です。免疫力を維持・増強してくれる効果があるといわれており、風邪予防に役立つ栄養のひとつです。
他にもある!ゴーヤに含まれる栄養素
ゴーヤの苦味成分にも様々な種類があり、それぞれ健康の維持・増進のために嬉しい効果が期待できることがわかりました。
この他にも、ゴーヤには緑黄色野菜として次のような栄養が豊富に含まれています。
カリウム
体内の余分な水分を排出する働きがあり、むくみや血圧上昇を抑えてくれる効果が期待できます。
βカロテン
ビタミンAの前駆体で、摂取すると体内で必要な分だけビタミンAに変換されます。
抗酸化作用があり、皮膚や粘膜の正常維持、美肌・美白への効果が期待でき、この他にも抗ガン作用や生活習慣病の予防に役立ちます。
ビタミンC
水溶性ビタミンのひとつで、抗酸化作用があります。コラーゲンの生成を助けるため、シミ・シワの予防にもつながります。また、免疫力をアップさせる働きがあり、風邪予防にも効果的です。
ビタミンE
脂溶性ビタミンのひとつで、強い抗酸化作用があります。
細胞を正常に維持し、アンチエイジング効果が期待できます。脂溶性ビタミンであるため、良質な脂質と一緒に摂取することで吸収率が高まります。
葉酸
ビタミンB群のひとつで、鉄とともに赤血球を作るのに欠かせない栄養素です。
貧血を予防するほか、妊産婦の方にとっては赤ちゃんの神経系の発達や成長にも関わる重要な栄養素であるため、特に妊娠・授乳期には積極的に摂りたい栄養素のひとつです。
食物繊維
水分を吸収するためお腹の中で膨らみ、胃腸を刺激するほか便の傘を増して、便通を促進する効果があります。
また、血糖値や血中脂質の上昇を穏やかにして、生活習慣病の予防にも役立ちます。
以上のようにゴーヤは栄養豊富であるため、夏には積極的に食べたいですね!
ゴーヤは完熟すると甘くなる!
ゴーヤは栄養豊富で身体にいいことがわかりました。しかし、「ゴーヤの苦味が苦手で食べられない…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
せっかく豊富な栄養が含まれている食材ですから、できればおいしく食べて健康効果を得たいものです。そこで効果的なのが、「ゴーヤを完熟」させることです。
私たちが普段目にする緑色のゴーヤは、未熟な状態で収穫されたものです。ゴーヤが完熟すると黄橙色になり、中は赤いゼリー状の果肉に変化します。
完熟して赤くなった果肉は非常に甘く、以前は水菓子の代わりに食べられていたほど糖度が高いそうです。黄橙色になった皮も、緑色の未熟なときとは違って実が見はほとんどなくなり、やらわかい食感に変わります。
ゴーヤの苦味が苦手でゴーヤが食べられない方は、一度完熟したゴーヤを試してみるとよいかもしれません。
収穫したゴーヤも追熟させれば甘くなる!
とはいえ、自宅でゴーヤを育てている方でない限りは、ゴーヤを完熟させてから収穫する、というようなことは難しいですよね。
そんなときには、スーパーなどで購入した緑色のゴーヤを「追熟」させましょう!
「追熟」とは、一度収穫した野菜や果物を、収穫後にさらに熟成させることです。野菜や果物の種類によっては追熟できないものもありますが、ゴーヤは追熟させることができます。
どうすればゴーヤを追熟させることができるのかというと、普通に購入したゴーヤを常温で放置しておくだけでOKです。購入したゴーヤの状態にもよりますが、目安としては1週間ほどで完熟すると思われます。
ゴーヤの皮が緑色から黄橙色に変化し、実が割れて中身が見え始めた頃が食べ頃です。
追熟におすすめのフルーツ
「ゴーヤが完熟するまで1週間も待てない!」という方は、ゴーヤと一緒に「りんご」を入れて保管してみてください。
りんごは、植物の成熟を促す「エチレン」という植物ホルモンを放出しています。そのため、ゴーヤとりんごを一緒にビニール袋などに入れておくことで、ゴーヤの追熟を早めることができます。
りんごの種類によってエチレンの放出量に差があり、特に多いのは「つがる」や「きおう」という品種のようです。次に「王林」や「ジョナゴールド」が多く、「ふじ」や「シナノゴールド」はエチレンの放出量が比較的少ない品種であるといわれています。
完熟したゴーヤの食べ方
一般的な緑色のゴーヤは、ゴーヤチャンプルーなどの炒めものにするのが定番ですが、完熟させたゴーヤは料理の幅がぐっと広がります。
完熟したゴーヤは苦味が少ないため、スライスしてサラダやマリネ、和え物にしても食べやすくおいしくいただけます。
さらに、意外なものとしては「ゴーヤのジャム」があります。ゴーヤをジャムにするという発想はなかなか浮かばないものですが、そこは完熟ゴーヤならではの食べ方といえるでしょう。
苦味が少ない完熟ゴーヤだからこそ、ジャムにしても違和感がなく、むしろフルーティーでおいしいという評判があります。
レシピサイトなどで検索すると、たくさんの完熟ゴーヤを使ったレシピが掲載されているので、みなさんもぜひ一度調べてみてはいかがでしょうか?
追熟したゴーヤで栄養を丸ごと食べよう!
夏が旬で独特の苦味がおいしいゴーヤ。特徴的な苦味のもととなる成分には様々な健康効果があるほか、生活習慣病の予防や美容にも嬉しい栄養素がたっぷりと含まれています。
ゴーヤは適度な苦味が美味しいと感じる一方で、その苦味から苦手な方も少なくありません。しかし、そんなゴーヤも完熟させることで苦味がなくなり、甘くておいしい野菜に変身するのです!
スーパーなどで購入したゴーヤでも、追熟させることで簡単に甘くすることができます。普段はゴーヤをあまり食べないという方も、この夏はぜひゴーヤを購入して、完熟ゴーヤを味わってみてくださいね!