“食べるロシアンルーレット”とも呼ばれる「ししとう」。ほんのりとした苦味とピリッとした辛さがおいしい野菜ですが、10本に1本ほどの割合で激辛なものに当たってしまうという、ギャンブル要素のある食材でもあります。

また、パックで販売されていることが多いため、使いたい分だけ買えないところもネック…。使い切れず腐らせてしまった…という方もいるのでは。

そこで今回は、ししとうの上手な保存方法に加え、辛くないししとうを見分けるポイントもご紹介します! 辛さが苦手で避けていた人も、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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ししとうの保存方法は?

ザルにのったたくさんのししとう
ししとうの保存適温は8〜10度ほどです。冬場なら常温保存もできますが、旬である夏や春秋は冷蔵庫で保存するようにしましょう。また、乾燥も苦手なので湿度にも注意が必要です。

冷蔵保存する場合

ししとうは夏野菜なので、寒い場所で保存すると低温障害で傷んでしまいます。

家庭の冷蔵庫の温度は2〜5度くらいなので、ししとうにはやや低すぎます。冷蔵保存すると場合は、野菜室で保存するようにしましょう。

程よい湿度がある野菜室は、ししとうの保存に最適。ですが、水滴が付着しているとその部分が腐ったりカビが生えてしまいます。水分がついている場合はよく拭き取っておきましょう。

さらに新聞紙に包むかビニール袋に入れて保存すれば、程よい水分を保って新鮮に保存ができます。

保存期間

冷蔵保存する場合、保存期間は約4〜5日です。お店に並ぶ時点で時間が経っている場合もあるので、様子を見ながら早めに使い切るようにしましょう。

冷凍保存する場合

大量に余ってしまう場合や長期保存をしたいときは、冷凍保存がおすすめです。

ししとうは下ごしらえなどをしなくても冷凍でき、しかもそのまま調理に使えるのでとても便利です。

凍ったししとうは固くて切るのが大変なので、先に切っておくと使いやすくなりますよ。

ししとうを冷凍するときは、きれいに洗ったあと水気を拭き取り、冷凍保存対応のジッパー付き保存袋などに重ならないように入れて冷凍庫で保存します。

保存期間

冷凍した場合の保存期間は、約1ヶ月です。冷蔵保存よりも長持ちしますが、冷凍焼けなどで鮮度はどうしても落ちてしまいます。冷凍保存する場合もできるだけ早く使うようにしましょう。

ししとうの上手な解凍方法

味噌焼きおにぎりとししとう
自然解凍してしまうと中の水分が出てしまい、ベチャッとした食感になってしまいます。

冷凍保存したししとうを使うときは、解凍せずに凍ったままなべやフライパン、電子レンジで加熱するのがおすすめです。竹串に刺すときも、なるべく半解凍の状態で調理をするようにしましょう。

新鮮なししとうの選び方

たくさんのししとう
スーパーで一年中見かけるししとうですが、旬の時期は7〜8月。意外にもししとうは夏野菜なんです。

ししとうは、細長いピーマンのような外見をした「万願寺とうがらし」や「甘長とうがらし系」、やや凸凹した細長い「ほどからなんばん系」があります。

どちらのししとうも収穫してから時間が経っていない、新鮮な方がおいしい野菜です。新鮮なししとうは、見た目で判断することができますよ。まず確認したいポイントは本体の色と艶、大きさです。

艶・色

ししとうは鮮やかな緑色をしたもの、似ている品種の甘唐辛子の場合も赤色が鮮やかなものが新鮮な証拠。表面がつやつやしていて程よく柔らかく、皮にハリのあるものがおすすめです。

色がくすんでいたり妙に薄いもの、黒や茶色になってるものは古くなっていたり、病気や栄養不足の可能性があるので避けるようにしましょう。

また、ぷよぷよしていたり、シワシワになっているものは鮮度が落ちている証拠です。また、変に固いものも古い場合があるので避けます。

大きさ

大きいししとうのほうがお得感があるように感じますが、育ちすぎなほど味がボケてしまい美味しくありません。やや小ぶりのししとうを選ぶのがポイントです。

ほどからなんばんの場合は大きくなるほど辛味が増してくるので、辛すぎるのが苦手な人は小さいものを選ぶといいでしょう。

さらに、軸の切り口も要チェックです。ししとうは収穫してから時間が経つと軸の切り口がだんだん茶色や黒に変色してきます。できるだけ切り口が変色していないものを選びましょう。

辛いししとうの見分け方

赤と緑色のししとう
同じ品種、同じ苗から収穫しても10本に1本は辛いものがあると言われています。

普通のししとうだと思って食べていたら、いきなり激辛のものに当たった…。なんて経験がある人も多いのではないでしょうか。その経験から、ししとうが苦手になった人もいるかもしれません。

実は、ししとうは食べなくても激辛かどうかを見極めることができます。これから紹介するポイントを抑えておけば、辛いししとうを避けることができますよ!

切っていない、丸ごとの状態で見分けるポイントは見た目です。

特に形が重要で、妙に細長かったり、頭が丸いもの、凸凹したいびつなもの、極端に小さいものは要注意です。

というのも、ししとうが辛くなる原因は成長する時のストレスにあります。辛くなる遺伝子が、雨や風、日当たりなどのストレスによって活性化して、辛い成分を作り出してしまうんです。そのため、いびつな形をしたししとうは辛い可能性が高いのです。

形のほかにも、シワが不自然に多く縮れている、光沢がないものはストレスを強く受けて辛くなっている可能性があります。

中身を確認できる場合は、種に注目してみましょう。種が妙に少ないものは、種を作ることができないような環境で育ったということ。つまり、ストレスが多くかかっているという証拠です。

香り

加熱する時の香りにも注目してみましょう。

ししとうの辛い成分は唐辛子と同じ「カプサイシン」です。この成分は加熱すると独特の辛い芳香を出すので、唐辛子のような香りがするものは辛いししとうである可能性が高いです。

ししとうに含まれる栄養素

新鮮なししとう
緑黄色野菜であるししとうにはビタミンやミネラルが豊富に含まれています。ししとうに含まれる代表的な栄養素についてみていきましょう。

可食部100gあたり 栄養素量
エネルギー(kcal) 27
たんぱく質(g) 1.9
脂質(g) 0.3
炭水化物(g) 5.7
カリウム(mg) 340
カルシウム(mg) 1.1
βカロテン(μm) 530
ビタミンK(μm) 51
ビタミンB1(mg)  0.07
ビタミンB2(mg)  0.07
ビタミンB6(mg) 0.39
葉酸(μm) 33
ビタミンC(mg) 57
食物繊維(g) 3.6

参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ししとうは可食部100gあたり27kcal、タンパク質は1.9gです。

同じ仲間であるピーマンと比較すると、ピーマンは可食部100gあたり22kcal、タンパク質は0.9gですから、ししとうのほうが高タンパクな食材であるといえます。

炭水化物は5.7gですが、そのうちの3.6gが食物繊維で糖質は2.1gです。

脂質は0.3gで、糖質、脂質ともに少ない食材です。続いて、ししとうに含まれる代表的な栄養素の働きや効果をみていきましょう。

カリウム

カリウムは私たちの身体に欠かせないミネラルのひとつで、主に体内の水分の代謝に関わっています。

細胞内の余分な水分を排出させる働きがあるため、むくみの防止・解消や血圧上昇の抑制に役立ちます。また、筋肉の収縮にも関与しており、不足すると筋力低下に繋がる場合もあります。

カルシウム

カルシウムは骨や歯の原料となるほか、筋肉の収縮や血液凝固、神経伝達、免疫機能の維持など、身体の中で重要な役割を担っています。

日本人に唯一不足している栄養素ともいわれており、不足すると骨粗鬆症の原因になるだけでなく、肥満や高血圧、動脈硬化、生活習慣病を引き起こす可能性があります。

βカロテン

βカロテンはプロビタミンAと呼ばれる物質のひとつで、体内に吸収されると必要な分だけビタミンAに変換されます。

ビタミンAとしては、視力の正常維持、免疫力アップ、皮膚・粘膜の正常維持といった働きがあります。また、βカロテンはカロテノイド色素のひとつでもあり、抗酸化作用、抗ガン作用があります。そのため、アンチエイジングや生活習慣病の予防にも期待できます。

ビタミンK

ビタミンKは脂溶性ビタミンで、血液凝固や骨の形成に欠かせないビタミンです。

不足すると鼻血や胃腸からからの出血が起こったり、月経過多や血尿などを引き起こす可能性があります。また、ビタミンKの不足が慢性化すると、骨折や骨粗鬆症の原因にもなります。

ビタミンB1

ビタミンB1は糖質やアミノ酸の代謝に関与しています。不足すると、倦怠感や食欲不振を引き起こす可能性があります。

ビタミンB2

ビタミンB2は糖質やアミノ酸、脂質、エネルギーの代謝に関与しています。エネルギーの生産を促進してくれるため、疲労回復に役立ちます。そのほか、皮膚・粘膜の正常維持にも関与しており、口内炎や皮膚炎の予防にも効果が期待できます。

ビタミンB6

ビタミンB6は糖質やアミノ酸、脂質の代謝に関与しています。また、セロトニンやドーパミン、アドレナリンといった生理活性物質の合成にも必要な成分です。

ホルモンの働きを調整する働きも担っており、不足すると口内炎や皮膚炎、貧血の原因にもなります。

葉酸

新鮮なししとう
葉酸はアミノ酸や核酸の代謝、ビタミン類の代謝に関与しています。また、ヘモグロビンの合成にも関与しており、貧血の予防・改善にも必要な栄養素です。

さらに、神経系の発達にも欠かせない栄養素で、特に赤ちゃんの成長のために妊娠前・妊娠中の女性は不足しないよう注意が必要です。

ビタミンC

ビタミンCは水溶性ビタミンで、体内の物質代謝や酸化還元反応などに広く必要とされる成分です。

免疫力アップやコラーゲンの生成を助けます。また、鉄分の吸収を促進する作用があり、貧血の予防・改善にも効果的です。さらに、抗酸化作用がありアンチエイジングや生活習慣病の予防にも役立ちます。

食物繊維

食物繊維は大腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増やす作用があり、腸内環境を整える効果があります。

さらに、一緒に摂取した糖や脂質の吸収を穏やかにするため、血糖値や血中脂質の上昇を緩やかにしてくれます。

上手な保存方法と見分け方でししとうをおいしく食べよう

今回は、新鮮なししとうの見分け方と上手な保存方法を紹介しました。

保存のポイントを抑えて、無駄にすることなく楽しみましょう。冷凍庫のスペースもあまり取らないので、たくさん買ったときは冷凍保存がおすすめです!

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