独特の甘味とほろ苦さが特徴のほうれん草は、健康的な食生活をするうえで欠かせない野菜です。お浸しやバター炒め、キッシュなど和食・洋食に限らずおいしくいただける食材でもあります。
しかし、ほうれん草は暑さに弱く、保存方法を間違えるとすぐに悪くなってしまいます。そこで今回は、新鮮なほうれん草の見分け方や上手な保存方法についてご紹介します。
ほうれん草ってどんな野菜なの?
どんなところで育つ?
ほうれん草の原産地はトルコからイランにかけてと言われており、かなり古くから栽培されてきた野菜だと言われています。日本には江戸時代にシルクロードを経て、中国から長崎へ伝えられ、栽培が始まりました。
最初、日本に入ってきたのは東洋種と呼ばれるほうれん草で、葉が薄くアクが少ないためお浸しなどに適したものでしたが、現在は葉が肉厚の西洋種と合わせて品種改良したものが多くなりました。品種改良によりさまざまなほうれん草が生まれ、昔に比べてアクが少なく生のまま食べられる種類もあります。
また、ほうれん草は暑さに弱く、寒さに強い特徴を持っていますので、涼しい場所で栽培されることが多いようです。日本での生産地は千葉県、埼玉県、群馬県の順に多くこれら3県で全体の収穫量の3割以上を占めています。
旬はいつ?
現在、ほうれん草は一年を通して栽培され収穫されているため、いつでも手に入れることができます。ただ、寒さに強いほうれん草は、あえて寒さにさらしてから収穫した方が甘味が強くなり栄養価も高くなることがわかっています。
ほうれん草に含まれる栄養
ほうれん草はさまざまな栄養素が含まれています。例えばビタミンCや葉酸、βカロテンや鉄分がその代表です。ビタミンCは水溶性のため茹でると栄養素が流れてしまうので茹でるのは1分くらいにとどめておくといいでしょう。
抗酸化作用があると言われているβカロテンは油と一緒に摂ると吸収がよくなる言われているため、炒め物にするのもおすすめです。葉酸や鉄分は貧血予防にもなります。貧血が気になる方にもおすすめの野菜です。
また根の赤い部分にはマンガンやポリフェノールが多く含まれています。マンガンは骨の形成に関わる栄養素です。また、ポリフェノールは抗酸化作用があるといわれています。根の部分をよく洗って、赤い部分も切り落とさずに食べるようにしましょう。
新鮮なほうれん草の選び方
せっかくほうれん草を買うなら、新鮮で美味しいほうれん草を買いたいですよね。ここからは美味しいほうれん草を見分けるポイントについてご説明します。ポイントは大きく分けて葉・茎・根元に分けられます。
葉
まず、葉がピンとしていて元気なほうれん草にしましょう。ほうれん草は収穫後、葉から水分が蒸発していき、時間が経つと葉がしおれてきてしまうからです。
次に葉の色に注目してみましょう。ほうれん草は葉の緑色が濃ければ濃いほどよいとされています。表側だけでなく、裏側も同じように濃い色を選ぶとより美味しくて新鮮な証拠です。ぜひ注目してみてください。
最後に、葉に傷やシミがないかどうかを確認しましょう。ほうれん草は葉に傷があるとそこから水分が蒸発してすぐに傷んでしまいます。また、シミがあるということは収穫してから時間が経っている可能性が高いと言えます。
茎
ほうれん草の茎も新鮮かどうかを見極める重要なポイントです。茎はある程度の太さがあるほうが美味しいです。細すぎるとまだ充分に育っていない状態ですし、太すぎても育ちすぎてアクが強くなり美味しさが損なわれています。
また、茎の長さにも注目してみましょう。茎が短いほうれん草の方が美味しいと言われています。
葉が茎の間から多く出ているかどうか、という点も大事なポイントです。新鮮で美味しいほうれん草は次から次へと芽や葉を出しているので、茎の間から葉が多く出ているのです。
根元
最後にほうれん草の根本も見てください。赤みが強いほうれん草は栄養価も抜群で美味しいと言われています。特に冬のほうれん草の根元は赤みが強くなる傾向がありますから、いくつか比較してから選ぶといいでしょう。
また、切り口ががみずみずしいかどうかもチェックしてみましょう。収穫してから時間が経っていなければ切り口はみずみずしい状態になっているはずですよ。
ほうれん草は腐るとどうなる?
ほうれん草は収穫してから時間が経ってくると葉から水分が蒸発するため、最初に葉がしなびて元気がなくなります。
この状態であればまだ食べられますが、この後、葉が徐々に変色しドロドロとして液体が出てくるようになったら腐っています。このような状態になったら食べずに廃棄しましょう。
ほうれん草の上手な保存方法
では、せっかく購入したほうれん草を腐らせず、新鮮なまま保存するにはどうしたらよいのでしょうか。ここからはほうれん草の上手な保存方法について説明していきましょう。
常温保存する場合
ほうれん草を保存する際はとにかく乾燥するのを防ぐことが大事です。そのため、まずほうれん草を新聞紙にくるみ、立てて冷暗所に置きましょう。
乾燥とともに暑さにも弱いので、保存する場所の温度についても注意する必要があります。ほうれん草の常温保存は基本的にはあまりおすすめできません。冷蔵庫や冷凍庫に入れて保存した方がいいでしょう。
保存期間
約1〜2日
そのまま冷蔵保存する場合
冷蔵庫で保存する場合もまずはほうれん草を濡れた新聞紙でくるみ、保存用袋に入れて口を軽く閉じます。そして、根元が下になるように立てて置きましょう。
また、この方法の他に、ほうれん草全体を水に浸して洗ってから軽く水分を拭きとって保存用袋に入れて、冷蔵庫で保存するという方法もあります。水に浸すことで、ほうれん草が乾燥するのを防ぐ狙いがあります。
ほうれん草を冷蔵保存する場合、最適な温度は0~5℃と言われています。そのため、保存する際は野菜室ではなく、冷蔵室で保存することをおすすめします。
保存期間
約1週間
茹でてから冷蔵保存する場合
茹でたほうれん草を冷蔵庫で保存した時は、沸騰したお湯でサッと1分程度茹でてからザルにあげ、冷水にさらしてから水気をよく絞って、保存容器に入れて保存します。ほうれん草の詳しい茹で方については次の項目を参考にしてください。
すぐに食べる場合は冷蔵庫での保存でも構いませんが、冷凍庫で保存した方が保存期間も長くなるので、茹でたほうれん草は冷凍庫で保存するのがおすすめです。
ほうれん草の茹で方
1.洗う
ほうれん草は根元にも栄養があるので、根元を少しだけ切り落として根元に十字で切り込みを入れます。ボウルに水をはり、土を綺麗に洗い落とします。
2.お湯を準備する
水1リットルに塩小さじ1を入れて沸騰させます。
3.茹でる
沸騰したお湯にほうれん草の茎部分を30秒鍋に入れ、次に葉の部分も入れて30秒茹でます。
4.冷水にさらす
ほうれん草を1分ほど茹でたら、ザルにとって冷水にさらし、水気を絞ります。ザルにとる際は一株ずつ根元を持って取り出します。そしてお湯で残っていた土を洗い落とすようにすると、土を綺麗に落とすことができます。
5.切り分ける
適当な大きさに切り分けて、再度水気を絞ります。
保存期間
約1週間
生のまま冷凍保存する場合
ほうれん草を生のまま冷凍する場合は、まずよく洗って土を落とし適当な大きさに切り分けます。キッチンペーパーで水分を拭いたら、保存用袋に入れて空気を抜き、金属製のトレーに載せて冷凍します。
こうすると急速に冷凍できるので美味しさを閉じ込めることができます。茹ででから冷凍保存する場合と違って凍らせてもそれぞれがくっつかず、必要量のみ取り出すことができるというメリットがあります。
茹でてから冷凍保存する場合
茹でてから冷凍保存する場合は、ほうれん草の茹で方の項目を参考にして、ほうれん草を固めに茹でてください。茹でたほうれん草を使用する量毎にまとめてラップでくるみ、空気を抜いて保存用袋に入れてから冷凍庫へ入れます。
茹でてから冷凍保存すると解凍してからすぐに食べることができるので、調理の手間が省けて便利ですよ!
保存期間
どちらも約1ヶ月
美味しい解凍方法
生のまま冷凍した場合
生のまま冷凍したほうれん草を使う場合には1分ほど茹でて解凍します。冷凍したまま煮込んだり、炒めたりすることもできます。冷凍することで組織が壊れているため生のままの時と比べて火が通りやすいという特徴があります。
茹でてから冷凍した場合
茹でてから冷凍した場合は電子レンジで解凍してお浸しに利用したり、直接鍋に入れてスープなどに入れることもできます。生のまま冷凍した場合と比べ、解凍した後に繊維質が強くなったり水っぽく感じることがあります。
ほうれん草を上手に保存しよう!
長期の常温保存が難しいほうれん草ですが、冷蔵・冷凍保存の仕方を覚えると料理の手間も省けて便利ですよ。
摂りたい栄養素に合わせて調理方法を変えるなどの工夫をして、ぜひ健康的な食生活のためにほうれん草を積極的に取り入れていってくださいね!
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