きゅうりは“世界一栄養がない”と聞いたことある人も多いのではないでしょうか。
栄養がないなら食べる必要もないのでは、と思うかもしれませんがそれは全くの誤解なんです。実はきゅうりにはビタミンやミネラルが含まれているほか、ダイエットに効果的な成分が含まれています。
今回は、きゅうりの知られざる栄養と効果について紹介します!
目次
きゅうりが世界で一番栄養がない野菜と言われる理由
「世界一栄養がない野菜」と不名誉な呼ばれ方をされているきゅうりですが、一体いつから、どのような意味で言われるようになったかをご存知でしょうか?
この言葉は、1987年のギネスブックに「Least calorific fruit」、つまり「カロリーが最も低い果実」としてきゅうりが載ったことから来ています。
「カロリー」とは、体内で三大栄養素である「糖質・たんぱく質・脂質」がエネルギーに変換されるときの単位です。
つまりきゅうりは、果実の中で最も三大栄養素が低いものとしてギネスブックに載りました。しかもこれは、「一般的に生で食べられる38種類の果実の中で」というただし書き付きで、その38種類の内訳も実は公開されていなかったのです。
ちなみに、「世界一栄養のある野菜」としてきゅうりと一緒にギネスブックに載っているアボカドもカロリーの量で決定されています。アボカドは森のバターと言われるほど脂質が多い野菜なので、この結果もうなずけます。
ここでのポイントは、ギネスブックに載ったのはあくまで「カロリーが低い=三大栄養素が少ない」ということで、他の栄養素については一切触れられていないという点です。ここを無視して和訳されるときに「栄養がない野菜」となってしまったため、誤解が生まれてしまいました。
もちろん三大栄養素は身体を成長、維持するうえで欠かせない栄養素ですが、現代では食物繊維やビタミン、ミネラルなど、三大栄養素以外の栄養も必要であるとされています。
きゅうりは三大栄養素がほとんど含まれておらず、約95%は水分でできています。栄養を摂る目的というよりも、暑い夏に口の中をさっぱりとしたり、彩りやポリポリとした歯ごたえを楽しむ目的で料理に加えることが多い野菜です。
きゅうりに含まれる主な栄養は?
きゅうりに含まれている主な栄養はβカロテン、カリウムをはじめとしたビタミン・ミネラル類です。
βカロテン
緑黄色野菜に含まれているイメージのβカロテンですが、淡色野菜のきゅうりにも含まれています。表面の鮮やかな濃いグリーンは、色素であるベータカロテンの働きによるものです。
きゅうりに含まれるβカロテンは100gあたり330μgと、アスパラガスやトマトジュースと同じくらいの量が含まれています。
βカロテンは体内でビタミンAの材料になるほか、ポリフェノールとして発がん作用を抑えたり、炎症を沈めて免疫力を高めてくれる働きがあります。
ビタミンAが不足すると、髪や肌の代謝の力が落ちたり、視力低下、粘膜の働きが落ちるなど美容や健康に影響が生じてしまいます。
βカロテンの不足により喉や鼻の粘膜の働きが落ちると、風邪を引きやすくなってしまいます。きゅうりはβカロテンの他にビタミンCや水分も摂れるので、風邪予防にも役立つ野菜なんです。
カリウム
きゅうりに含まれる栄養の中で最も多いのがカリウムです。
カリウムは体内のナトリウムと結合して、体外に排出する働きがあります。日本人は塩分過多の食事が多く、ナトリウム過剰による高血圧やむくみに悩まされている人が多いので、積極的に摂りたい栄養素です。
カリウムはサプリメントで摂ると過剰になりやすく、食べ物から摂取するのが理想とされています。きゅうりには100gあたり200mgと、成人男性1日の必要量の約1/10が含まれているので、カリウムの補給にピッタリの野菜なんです。
カリウムの摂取量に気を付けて!
きゅうりを食べるうえで気を付けてほしいのが、腎臓の病気などでカリウムの摂取を制限しなければならない場合です。
健康な人であれば気にする必要はありませんが、腎臓が弱っている場合は食事からカリウムを摂取しても過剰となる危険性があり、「高カリウム症」を引き起こす可能性があります。高カリウム症は吐き気やしびれ、不整脈などの症状が出ます。
血液検査などで腎臓の数値が悪かった、最近尿の出がおかしいなど、もし心配なときは、医者と相談してからきゅうりを摂取するようにしましょう。
可食部100gあたりに含まれる栄養素
きゅうり100gあたりに含まれている主な栄養素は以下の通りです。
三大栄養素
たんぱく質:1g
脂質:0.1g
炭水化物:3g(食物繊維1.1gを含む)
ビタミン・ミネラル類(カッコ内は1食あたりの推奨量に対する割合)
βカロテン:330μg (12.6%)
ビタミンC:14mg(36.4%)
ビタミンK:34μg(200%)
葉酸:25μg(31.2%)
カリウム:200mg(24.0%)
カルシウム:26mg(11.8%)
マグネシウム:15mg(16.3%)
銅:0.11mg(46%)
モリブデン:4μg(59.7%)
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
このように、きゅうりには三大栄養素はほとんど含まれていませんが、身体の調子を整えたり美容に欠かせないビタミン・ミネラル類がしっかりと含まれています。決して「栄養がない野菜」というわけではないのです。
逆にいえば、低カロリーなのにビタミンやミネラルはしっかりと摂れるので、サポーターとして優秀な野菜なんです。
1本あたりのカロリーはどれくらい?
きゅうりの100gあたりのカロリーは14gです。普通サイズのきゅうり一本あたりは90g程度なので、一本あたりのカロリーは13.5kcalです。
輪切り1枚あたり1.8kcal、きゅうりスティック一本あたり1.5kcalです。きゅうりだけを食べる場合は、ほとんどカロリーの心配をしなくてもいいことがわかります。
ただし、気をつけたいのはきゅうりを食べるときに使うディップソースやドレッシングです。
きゅうり自体は低カロリーなのでたくさん食べても太る心配はありませんが、マヨネーズや油分の多いソースをたくさんかけると一気に高カロリーや高塩分になってしまいます。
カロリーを気にしている方は、ドレッシングをノンオイルドレッシングにする、少なめの塩で食べるなど工夫するようにしましょう。
きゅうりはダイエットにも効果的?
よく雑誌やTVのダイエット企画で「きゅうりダイエット」が取り上げられますが、きゅうりがダイエットに向いている理由は低カロリーということだけではありません。
きゅうりには「ホストリパーゼ」というダイエットに効果的な成分が含まれていることが最近の研究でわかっています。ホストリパーゼは食物酵素のひとつで、体内の老廃物や毒素を排出するデトックス効果があります。
それだけでなく、体脂肪を燃やして代謝をアップさせる効果や、食事で一緒に摂った脂質を分解して体外に排出する効果があるのです。ダイエット中の人は、積極的にきゅうりを食事やおやつに取り入れるのがおすすめです。
詳しくは『きゅうりはダイエットにも効果的!?食べ過ぎによる注意点も併せて解説』にて解説しています。
食べ過ぎには気をつけて
今回は、「世界一栄養のない野菜」と不名誉な呼ばれ方をしているきゅうりの知られざる栄養と効果について紹介しました。
きゅうりは低カロリーなだけでなく、さまざまなビタミン・ミネラル・酵素が摂れる美容や健康、ダイエットに効果的なサポート食材です。ぜひとも色々な食事に取り入れたり、おやつ代わりに食べてみてください。
ただし、食べ過ぎると身体を冷やしすぎて下痢や腹痛、冷え性の原因となったり、腎臓が弱っていると高カリウム症になってしまう可能性があるので注意が必要です。食べ過ぎに注意して、上手にきゅうりを取り入れるようにしてくださいね!
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