国民食として親しまれている「カレー」。さほど食費もかからず、ざっくりとした作り方でも美味しくできてしまうため、普段料理をしない人や一人暮らしの強い味方でもある。

主にカレールウを使って作る方が多いと思うが、パッケージに記載されている作り方に従って作るのが“一番おいしい”とされている。

しかし、何度も作っていると不要だと思う作業を端折ったり、水の分量が適当になったりとついつい自己流になってしまう…。もちろん、筆者もその一人だ。

そこで今回は、原点に戻り「カレーの基本的な作り方」をご紹介したいと思う。基本をしっかりと押さえたうえでアレンジすれば、さらに美味しいカレーが作れるはず!

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材料をカットする

カレーを作る際、まず始めに行うことといえば材料をカットすることだ。もちろん、その前に手をしっかりと洗っておこう!

しかし、単に材料をカットするといってもじゃがいもや玉ねぎ、鶏肉など食材にも種類がある。それぞれどういった形にカットすればいいのだろうか。一般的に使用する具材をピックアップしてご紹介する。

玉ねぎ


出典:お料理まとめ
玉ねぎは縦の繊維に沿って「くし形」に切る。くし形に切ることでシャキッとした食感が残りやすく、加熱しても形が崩れにくくなる。

スライス状にカットすれば、シャキッとした食感はなくなるが厚さが薄いぶん、熱が通りやすくなる。

こだわりたい人はみじん切りにして飴色玉ねぎにしてもOK! 飴色玉ねぎの作り方は『冷凍から本格まで!誰でも作れる「飴色玉ねぎ」の作り方3選』でも詳しく紹介している。

横にカットしてもいい?

ちなみに、繊維を断ち切るように横にカットすると、細胞が壊れて水分が出やすくなり、柔らかい食感に仕上がる。辛味成分が出るため玉ねぎを旨味を感じやすくなるので、ビーフストロガノフやハヤシライスなどにおすすめ。

じゃがいも


出典:ドレッシング
じゃがいもは皮をむき、芽の部分も取り除く。

一口大になるようカットしよう。一口大の目安は男性で3〜4cm、女性で2〜3cm、小さい子供で1cmほど。大きさが整っていると美しく見えるので、見栄えにもこだわりたい方は、サイズも意識するといいだろう。

じゃがいもには大きく分けて「メークイン」と「男爵」とあるが、カレーには煮崩れしにくいメークインが一般的におすすめとされている。

反対に男爵は煮崩れしやすいので、マッシュポテトやコロッケなどに向いている。だが、煮崩れするとカレーにとろみが出るので、一概にどちらがいいとはいえない。お好みで使い分けるといいだろう。

じゃがいもは水にさらしたほうがいい?

じゃがいもを水にさらすのは2つの理由がある。

ひとつめは、変色を防ぐため。切ってそのまま放置しておくと、じゃがいもに含まれるポリフェノールが酸化して変色してしまう。水に浸けておくと酸化を防ぐことができる。

ふたつめは、カットした表面から流出するでんぷん質を洗い流すため。でんぷんは熱が加わるとねっとりとしたのり状になる。

じゃがいもを水にさらすのは炒め物などに使うときが多い。さらす時間は10分が目安。カレーの場合はそこまで大きな違いが出るわけではないので、特に水にさらす必要はないだろう。

皮をむかない場合

新じゃがのような皮の薄いじゃがいもであれば、皮ごと入れても美味しくいただけるが、普通のじゃがいもは煮込んでいる最中に皮が外れてしまう。口の中に残るので食感もあまりいいものではない。そのため、新じゃが以外は皮をむいてから使うことをおすすめする。

皮付きのままじゃがいもを調理する場合はしっかりと洗ってから使うこと。無農薬のものならなお安心だ。

にんじん


にんじんも食べやすいサイズになるようカットしていく。

にんじんは皮をむいてもむかなくてもどちらでもOK。ちなみに、にんじんの本来の皮は「内鞘(ないしょう)細胞」というとても薄い膜でできており、他の野菜と比べ、泥を落としても鮮度にそこまで影響が無いため、出荷されるときにしっかり洗浄されている。

出荷する際の洗浄で皮にあたる薄い膜はほとんど取り除かれるため、店頭に並んでいるにんじんはすでに皮がむかれた状態ともいえる。つまり、販売されているにんじんはまるごと身の部分なので、皮むきをしなくともそのまま食べられるのだ。

にんじんの皮には栄養も多く含まれているうえ、皮をむく手間も省けるのでまさに一石二鳥。よほどの抵抗がない限りは皮付きのまま使うといいだろう。

鶏もも肉

鶏もも肉も一口サイズにカットしよう。加熱すると縮むので少し大きめにカットするとよい。

皮が付いた鶏肉は包丁では切りづらく手間がかかる。そんなときは調理用のハサミを使うといいだろう。余分な脂肪も簡単に取り除ける。

炒める

材料をカットしたら、炒めていこう。長時間煮込む料理は厚手の鍋がおすすめだ。


出典:Amazon

厚手の鍋は熱の伝わり方が間接的で保温性にも優れているため、途中で具材を加えても温度変化が緩やかなのが特徴。

サラダ油を大さじ2杯入れ、鍋肌に馴染ませたら鶏もも肉を入れ、焼き色が付くまで炒める。焼き色が付いたら一度取り出し、玉ねぎを炒める。玉ねぎがしんなりとしたら、鶏もも肉、にんじん、じゃがいもを加えてよく炒める。

材料を炒める理由

最終的に煮込むのだから炒める必要はないのでは?と疑問に思った方もいるだろう。煮込む前に材料を炒めるのにはいくつかの理由がある。

旨味がアップする

じゃがいもやにんじんなどは、炒めることで表面に含まれるでんぷんが糖分となり旨味を閉じ込める役割を果たす。

水分を飛ばす

野菜は炒めることで含まれる水分を飛ばすことができる。その結果、甘みが増したり水っぽくなるのを防ぐことに繋がる。

煮崩れ防止

油で炒めることで野菜の表面が固くなり、煮崩れしにくくなる。

ビタミンの吸収率アップ

玉ねぎやにんじん、じゃがいもには様々なビタミンが含まれている。特ににんじんに含まれるビタミン類は油に溶け出すという性質があるため、炒めることでビタミンが溶け出し、よりビタミンの吸収率も上がる。

煮込む・アクを取る


具材を炒めたら水を加え、具材が柔らかくなるまで煮込む。

しばらく煮込むとアクが出てくるので取り除く。ボコボコと沸騰しているとアクが対流してしまい、水の中に混じってしまうので、表面がフツフツとしている状態がベスト。


出典:Amazon

そもそも「アク」とは野菜の「苦み・渋み・えぐみ」や肉類の「臭み・脂肪」の総称のこと。アクを取るで雑味がなくなり、すっきりとした味わいになる。お玉で取るより「網じゃくし」などを使うと余計なうま味や水分まで取ってしまうのを防ぐことができる。

アクを取り除いたら、弱火~中火で約15分ほど煮込む。にんじんに竹串がスルッと刺さるくらいが目安。

ルウを加える

火を止め沸騰が収まってからルウを割り入れて溶かす。

沸騰している状態でルウを加えるとでんぷんの作用により溶けにくくなり、ダマになってしまうので、必ず火を止めてからルウを加えること。

ルウが完全に溶けたら再び火をつけ、焦げないように鍋底から混ぜる。弱火で10分ほど煮込みとろみがつけば完成だ!

味見する際の注意点

唾液には酵素が含まれている。味見したスプーンなどをそのまま鍋に入れると酵素によりとろみが弱くなってしまうことがあるので、小皿に移してから味見するようにしよう。

カレーの隠し味としてよく使われる味噌や醤油、はちみつにも酵素が含まれているので注意しよう。これら調味料を入れるときはルウを入れる前に加え、具材と一緒に20分ほど煮込むとよい。

隠し味を加えることでどのように変化するのか実際に検証してみた。詳しくは『家カレーが本格的に!? 隠し味でおいしくなるのか検証してみた【コク編】』をチェックしてみてほしい。

基本を押さえてカレーを美味しく!

以上がカレーの基本的な作り方となる。これらポイントを押さえたうえでアレンジを加えればカレーはさらに美味しくなるだろう。

ぜひ基本をマスターして美味しいカレーを楽しんでみてほしい!

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