お刺身をはじめ、フライや煮物など、さまざまな料理で活躍する「イカ」。代表的なイカの産地である北海道の函館では、イカめしが名物にもなっています。

イカは春~秋にかけて獲ることができ、特に夏からが最盛期となっています。イカは高タンパク・低脂質な食材で、ダイエット中の方にもうれしい食材です。今回はそんなイカの新鮮さを見分けるポイントと、適切な下処理・保存方法をご紹介します。

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イカは意外にも栄養豊富!?


イカは日本では昔からよく食べられている食材のひとつです。生のままお刺身で、加熱して煮物や焼きもの、また干物にして長期保存させたりと、さまざまな形で食生活に取り入れられてきました。

イカは、高タンパク低脂質な食材としても知られています。生のスルメイカを例にとると、可食部100gあたりにタンパク質が17.9g含まれているのに対し、脂質は0.8gしか含まれていません。

また、その脂質も良質で、生活習慣病予防や美容面でも効果が期待できるDHA、EPAも多く含まれています。さらに、疲労回復効果のあるタウリンも含まれており、イカが栄養豊富な食材であることがわかります。

種類別に見るイカのカロリー


ひとことにイカと言っても、種類は様々です。また、種類によって栄養素量に違いがあります。代表的なイカの種類ごとに違いをみていきましょう。

可食部(生)100gあたり エネルギー(kcal) たんぱく質(g) 脂質(g) 炭水化物(g)
ヤリイカ 85 17.6 1.0 0.4
スルメイカ 83 17.9 0.8 0.1
コウイカ 75 17.9 1.3 0.1
アカイカ 90 17.9 1.5 微量
ケンサキイカ 84 17.9 1.0 0.1
ホタルイカ 84 11.8 3.5  0.2

参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

エネルギー量をみると、コウイカが75kcalと最も低く、アカイカが90kcalと最も高くなっています。

生のイカ可食部100gで比較すると、15kcalの差があります。一般的なイカ1杯の可食部がおよそ250~300gとすると、1杯あたり38~45kcalほどの差です。

タンパク質はいずれのイカでも豊富に含まれていますが、ホタルイカが11.8gと最も少なく、17.9gのタンパク質を含むスルメイカ、アカイカとは8.1gもの差があります。

一方、ホタルイカは脂質が3.5gと比較的多いため、タンパク質が他のイカより少なくてもエネルギー量には大差がないのです。

ホタルイカは1匹あたりの大きさが小さく、内臓の割合が増えます。そのため、ほかのイカよりもタンパク質が少なく、脂質が多くなっていると考えられます。

とはいえ、上記の6種類のイカに含まれる脂質は1.0g前後のものがほとんどで、イカ自体が低脂質な食材といえます。

炭水化物はどのイカも非常に少なく、多くてもヤリイカで0.4g、アカイカでは微量しか検出されていません。

総じて、イカは低カロリー・高タンパク・低脂質・低糖質で、ダイエット中の方には嬉しい食材と言えますね。

イカのつまみのカロリーは?


続いて、おつまみとしてよく食べられるイカのメニューのカロリーをみていきましょう。

可食部(生)100gあたり エネルギー(kcal) たんぱく質(g) 脂質(g) 炭水化物(g) 食塩(g)
焼きスルメイカ 109 23.6 1.9 0.1 0.8
するめ 334 69.2 4.3 0.4 2.3
さきイカ 279 45.5 3.1 17.3 6.9
イカの薫製 206 35.2 1.5 12.8 6.1
イカの塩辛 117 15.2 3.4 6.5 6.9
いかあられ 293 20.0 1.8 49.1 1.8

参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

低カロリー・高タンパク・低脂質・低糖質なイカですが、食べ方によっては高カロリー・高糖質になりがちです。

いかあられは原材料にお米を使用しますし、さきイカや燻製では調味のために糖類を使用しています。

また、するめは単体では脂質・糖質は比較的少ないですが、マヨネーズをつけて食べることも多いのではないでしょうか?

マヨネーズは100gあたり706kcal、1回分を15gとしてもおよそ106kcalです。たっぷりつければ、そのぶんだけエネルギー量は上がります。

また、イカのおつまみは塩分量も多くなります。特に、さきイカやイカの塩辛では100gあたり6.9gも含まれています。

日本人の食事摂取基準では12歳以上の男性で8.0g未満、女性で7.0g未満が食塩の1日あたりの目標量とされています。

おつまみはお酒の力もあってついつい食べ過ぎてしまいがちです。塩分の摂り過ぎはむくみや血圧の上昇、生活習慣病にもつながるため、摂取量には注意が必要です。

イカはヘルシーな食材といわれていますが、おつまみとして食べるときには調理方法や調味料にも注意したほうが良さそうです。

イカスミにはたんぱく質を分解する作用も

イカが身を守る際に吐くイカスミの中には、タンパク質分解酵素「プロテアーゼ」が豊富に含まれています。ステーキ肉にすりおろした玉ねぎを漬けたりしますが、これも玉ねぎに含まれるプロテアーゼでタンパク質を分解し、肉質を柔らかくするために漬けています。

さすがにイカスミを肉類に漬けることはできませんが、お酒やご飯のお供として人気のあるイカの塩辛であればイカスミを使いやわらかくすることができます。また、イカスミには旨味成分も含まれているため、コクのある味に仕上がります。

白身からイカスミまで、骨を除けば無駄な部位がないイカですが、できれば新鮮なものを選びたいですよね。まず始めにイカの新鮮さを見分けるポイントをいくつかご紹介します。

新鮮なイカの選び方

表皮の色

まずは、イカの表面の色についてです。イカは、新鮮なものほど身が透き通っています。時間が経つにつれ徐々に白っぽくなり、透明感がなくなっていきます。この透明感を確認するために、三角形をした部位「エンペラ」を見るといいでしょう。エンペラはイカの体の中でも身が薄く、透明感を確認しやすい部位です。

さらに、イカの皮の色にも注目しましょう。身は透明感のあるものが新鮮ですが、表面の皮は赤黒く、色の濃いものが新鮮であるといわれています。時間が経つと、表面の皮の赤黒い色が徐々に消えていき、全体的に白っぽく変化していきます。

新鮮なイカは、身が透き通っていて、表面の皮が赤黒いということがポイントです。

次に、イカの目についてです。新鮮なイカは、目が黒々としており、ツヤがあります。また、時間が経つとイカ全体の弾力がなくなり、目が身の中に落ち込んでいきます。そのため、イカの胴体全体に弾力があり、目が生き生きとして飛び出しているものを選ぶとよいでしょう。

イカの上手な保存方法


せっかく新鮮なイカを選んだら、なるべく鮮度を保っておいしい状態で保存しておきたいですよね。ここからは、イカの適切な保存方法についてみていきましょう。

保存前の下処理を忘れずに!

イカを保存する前に、まずは下処理をしておきましょう。最近は、すでにイカの内臓が処理されていたり、カットされた状態で売られていることも多いため、イカの下処理をしたことがない方もいらっしゃるかもしれません。

一見面倒で難しそうに感じるかもしれませんが、一度覚えてしまえばイカの下処理は簡単にできるものです。イカの下処理の方法を、詳しくみていきましょう。

手順1:足と胴体を切り離す

1.イカを水でよく洗い、キッチンペーパーなどで水気を拭き取る。
2.イカの胴体に指を入れ、足と胴体のつながっている部分を引き離す。
3.足をゆっくりと引っ張り、内臓を引き出す。

手順2:胴体の下処理

1.エンペラと胴体がつながっている部分に親指を入れ、エンペラをつかんで足の方向に引っ張る。エンペラと胴体を引き離するとともに、胴体の皮の一部も剥く。
2.胴体の皮が剥けたところから、横方向に皮を剥いていく。
※布巾などを使うと、手が滑らずに皮を剥きやすくなります。
3.皮が剥けたら、胴体の中に残っている内臓を取り除く。

手順3:足の下処理

1.イカの目の下あたりから包丁を入れ、足と内臓を切り離す。
2.クチバシの周りに指を入れ、クチバシを取り除く。
3.ゲソに塩を振り、手でもみ回すようにして吸盤の固い部分を落とす。
4.ゲソをしごきながら流水で洗い、塩を落とす。

以上の手順で、イカの下処理が完了です。すぐに使うときは、下処理のあと部位ごとに適当な大きさに切って使用してください。

冷蔵保存する場合

イカの下処理が済んだら、適切な方法で保存し、イカの美味しさを保ちましょう。まずは、イカを冷蔵保存する方法についてです。

下処理が済んだイカを適当な大きさに切り分け、キッチンペーパーなどで水気をよく拭き取ります。一度に使う分量に小分けし、ラップにピッタリと包んでジッパー付きの保存袋などに入れます。できるだけ空気を抜いて口を閉じ、冷蔵庫に入れておきましょう。

保存期間

お刺身など生食する場合は1日、加熱して食べる場合は3日程度が目安となります。傷みやすいためなるべく早めの消費を心がけてください。3日以上経過したものは、必ず匂いを確認し、腐食した匂いがするようであれば、破棄しましょう。

冷凍保存する場合

3日以内に食べきれない場合は、冷凍での保存がおすすめです。イカを生のまま冷凍保存する場合と、茹でてから冷凍保存する場合、またフライ用として衣をつけてから冷凍保存する場合に分けてご紹介します!

生のまま冷凍保存する場合

生のまま冷凍保存をする場合は、冷蔵保存と同様に、イカの水気をよく拭き取ってから小分けしてラップにピッタリと包み、ジッパー付きの保存袋などに入れます。

できるだけ空気を抜いて口を閉じ、冷凍庫に入れましょう。このとき、イカをなるべく平らにならし、アルミのバットなどにのせて冷凍すると、イカが早く冷凍されるため鮮度を保ちやすくなります。

茹でてから冷凍保存する場合

イカを茹でるときは、沸騰したお湯にサッとくぐらせます。お湯からあげて粗熱を取ったあと、キッチンペーパーなどで軽く水気を取ります。小分けにしてラップでピッタリと包み、ジッパー付きの保存袋などに入れてなるべく空気を抜いてから冷凍庫に入れましょう。

衣をつけてから冷凍保存する場合

まずは下処理が済んだイカの胴体を輪切りにし、小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけます。パン粉をしっかりと付けたら、多めのパン粉とともにイカをラップに包み、ジッパー付きの保存袋などに入れて冷凍庫で保存しましょう。

保存期間

冷凍したイカの保存期間は2〜3週間が目安です。冷蔵保存に比べると、かなり長期間保存しておくことができます。冷蔵保存できる期間内にイカを食べきれない場合は、早めに冷凍保存をしておくとイカの美味しさを保ったまま保存することができます。

おいしい解凍方法

冷凍したイカを美味しく食べるには、解凍方法にもポイントがあります。
それは、冷蔵庫に移してゆっくりと自然解凍させることです。時間をかけてゆっくりと解凍することで、急激な温度変化が起こらないためイカの品質を保つことができます。使う前にあらかじめ、冷蔵庫に移しておきましょう。

もし冷蔵庫でゆっくりと解凍している時間がない場合は、流水での解凍がおすすめです。流水解凍であれば、電子レンジなどで急激に解凍する方法に比べて温度変化が少なく、イカの品質を保つことができます。

流水解凍をするときは、イカをジッパー付きの保存袋など密閉された袋に入れたまま、ボウルなどに溜めた流水に浸けておきましょう。イカを直接流水にさらしてしまうと、イカの風味が損なわれてしまいます。そのため、必ずイカが水に触れない状態で流水に浸けるようにしてください。

イカを上手に保存しよう!

新鮮なイカのを見分けるポイントと、イカの鮮度を保つための適切な保存方法についてご紹介しました。

種類によって旬の時期は異なりますが、新鮮なイカの特徴がわかれば、いつでも新鮮なイカを選ぶことができます。また、適切に保存することで、さまざまな料理に美味しくアレンジすることもできます。新鮮なイカを上手に保存して、日々の献立に取り入れてみてください!

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