収穫した大量の大根
一年中店頭で見かける大根は食卓に欠かせない野菜です。しかし、一本丸ごと購入してもなかなか使い切れずにだめにしてしまった…という方も多いかもしれませんね。

ですが、適切に保存すれば大根はほかの野菜と比べてかなり日持ちします。今回は美味しい大根の選び方から上手に保存する方法をご紹介します。ぜひ、保存方法をマスターして大根を美味しく召し上がってくださいね。

Sponsor link

新鮮な大根の選び方

丸々1本の大根を選ぶ場合

丸々1本の大根
新鮮な大根を選ぶポイントは主に4つです。ひとつずつ詳しくみていきましょう。

表面が滑らかでみずみずしい

新鮮で美味しい大根は表面の凸凹が少なく滑らかです。そしてみずみずしく、白い部分(根)に張りがあります。

大根は収穫から時間が経つにつれて水分が蒸発してしまうので、新鮮ではない大根は表面がしわしわになります。できるだけ表面が滑らかで張りのある大根を選ぶようにすると新鮮な大根が手に入りますよ。

ひげ根が少なく真っ直ぐに伸びている

栄養が豊富な土壌で育った大根は下に真っ直ぐ伸びていきます。大根は栄養が足りない場合、より多くの栄養を得ようとしてひげ根を伸ばしていきますが、栄養が豊富な土壌で育っていれば栄養を求めてひげ根を伸ばす必要もありません。

ですから、美味しくて栄養がいっぱいの大根は、ひげ根やひげ根の跡が少なく、真っ直ぐ伸びていて先端の部分も丸みを帯びているのです。そのため、購入する際はひげ根やひげ根の跡が少なく、まっすぐで先端部分が丸みを帯びた形の大根を選びましょう。

葉が青々として元気がある

多くの陽を浴びて育った大根は栄養満点です。葉がついている場合は、その葉の様子を見れば陽に当たっていたかどうかわかります。また、収穫してから時間が経っていると、葉は元気がなくなり、茎や葉の色は黄色に変色していきます。青々としてピンとしている大根は新鮮な証拠です。

ずっしりと重みがある

収穫してから時間が経つと大根は水分が飛んでしまい、鮮度が悪くなってしまいます。そのため、新鮮な大根は水分が多くてずっしりと重みがあります。店頭に並ぶ大根をいくつか手にとって重さを比べてみるといいでしょう。できるだけ重い大根を選ぶと鮮度の高い大根を手に入れることができるはずです。

カットされた大根を選ぶ場合

半分にカットした大根
カットされた大根を購入するときはまず、切り口に注目してみてください。カットされてから時間が経っていると切り口から水分が蒸発してしまい、乾燥していることがわかります。

乾燥すると筋が目立ち、「す」が入っている状態になります。切り口がみずみずしい感じがあれば新鮮な大根の証拠です。いくつか見比べてから購入するといいでしょう。

丸々1本の大根を保存する場合

丸々1本の大根
丸々一本の大根を保存する場合は、霧吹きなどで少し湿らせた新聞紙にくるんでおきましょう。こうすることにより、水分が蒸発して乾燥することを防ぐことができます。また、大根は立てて保管すると長持ちします。冬は冷蔵庫に、夏は野菜室に入れて保管しましょう。

丸々一本だと長すぎて冷蔵庫に入らない場合は半分に切り、切り口をラップやキッチンペーパーでくるんでおきます。しかし、切ってしまうと劣化が早くなるので、できるだけ早めに消費することをおすすめします。

保存する前に根と葉はわけること

葉付きの大根を保存する場合は、必ず葉と白い根の部分を切って分けておきましょう。そのままにしておくと、葉が根から栄養を摂ってしまい、根の味が落ちてしまいます。

カットした大根の保存方法

畑に生えた大根

冷蔵保存する場合

カットした大根を保存する場合は、キッチンペーパーなどで切り口をくるみ、立てた状態で冷蔵庫に入れましょう。大根が立てづらいときは、牛乳パックやペットボトルを横半分にカットしてその中に入れると、収納しやすくなるのでおすすめです。

冷凍保存する場合

大根を冷凍保存する場合は、いくつか方法があります。

切って、そのまま保存

1つ目は切って保存する方法です。いちょう切りや拍子切りにしたら保存用袋に入れて冷凍庫で保管します。

下味をつけて保存

2つ目は、あらかじめ切っておいた大根にドレッシングや塩などで味をつけてから保存する方法です。拍子切りや千切りにした大根に調味料をかけ、まんべんなく味をつけてから保存用袋に入れましょう。味をつけておくことで、解凍したあとそのままサラダなどに使えるというメリットがあります。

すりおろして保存

3つ目はすりおろしてから冷凍庫で保存する方法です。すりおろした大根は保存用袋などに入れて保存します。すりおろした大根を小分けにして使いたいというときには、袋ではなく製氷皿に入れて冷凍するとブロックごとに使用できるのでおすすめです。

葉の部分を保存する場合

葉の部分も保存したいときは、刻んで冷凍庫での保存がオススメです。刻んだ葉に少量の塩をまぶして塩もみし、葉から出た水分をよくふき取った後、ラップなどで密閉して小分けにしてから保存用袋などに入れて冷凍します。

美味しい解凍方法

丸々1本の大根
冷凍保存した大根は調理する際、凍ったまま煮物や汁物に使えます。もし、急ぎで使いたいという場合は電子レンジので解凍モードを使用してください。なお、すりおろした大根の場合は冷蔵庫でゆっくり解凍することをおすすめします。

この方法で保存しておくと1か月ほど持ちますし、解凍してからすぐに調理することができるので便利ですよ。

大根に含まれる栄養素

カットした大根
生のままはもちろん、煮る、焼く、漬けるなど幅広い調理法でいただける大根ですが、おいしいだけでなくビタミンやミネラルといった栄養素も豊富です。

また、それらの栄養素は大根の部位によっても大きく異なります。大根に含まれる栄養素を知って、余すところなくおいしくいただきましょう。

可食部100gあたり 大根(根、皮付き、生) 大根(葉、生)
エネルギー(kcal) 18 25
たんぱく質(g) 0.5 2.2
脂質(g) 0.1 0.1
炭水化物(g) 4.1 5.3
カリウム(mg) 230 400
カルシウム(mg) 24 260
鉄(mg) 0.2 3.1
βカロテン(μg) 0 3900
ビタミンE(mg) 0 3.9
ビタミンK(μg) Tr 270
葉酸(μg) 34 140
ビタミンC(mg) 12 53
食物繊維(g) 1.4 4.0

※Tr:微量
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

大根は、根の部分と葉の部分で含まれている栄養素量に大きな差があります。

大根の根はおよそ95%が水分で、可食部100gあたり18kcal、タンパク質は0.5g、脂質は0.1g、炭水化物は4.1gです。炭水化物のうち1.4gは食物繊維で、糖質は2.7gです。

根菜類は一般的に糖質が多く、にんじん(根、皮付き、生)では可食部100gあたり6.5gの糖質が含まれています。これと比較すると、大根に含まれる糖質の量はにんじんの半分以下ですから、大根は根菜の中でも比較的低糖質な野菜といえるでしょう。

大根の葉は可食部100gあたり25kcal、タンパク質は2.2g、脂質は0.1g、炭水化物は5.3gです。炭水化物のうち4.0gは食物繊維で糖質は1.3gです。

大根の葉にはカリウムやカルシウム鉄といったミネラルや、βカロテンやビタミンE、ビタミンK、葉酸などのビタミンが豊富に含まれています。

実は大根の根と部分は淡色野菜であるのに対し、大根の葉は緑黄色野菜に分類されます。そのため、大根の葉には緑黄色野菜に特徴的なβカロテンなどが多く含まれるのです。

それでは、それぞれの栄養素の働きや効果をみていきましょう。

カリウム

カリウムは私たちの身体に欠かせないミネラルのひとつで、主に体内の水分の代謝に関わっています。

細胞内の余分な水分を排出させる働きがあるため、むくみの防止・解消や血圧上昇の抑制に役立ちます。また、筋肉の収縮にも関与しており、不足すると筋力低下に繋がる場合もあります。

カルシウム

カルシウムは骨や歯の原料となるほか、筋肉の収縮や血液凝固、神経伝達、免疫機能の維持など、身体の中で重要な役割を担っています。

日本人に唯一不足している栄養素ともいわれており、不足すると骨粗鬆症の原因になるだけでなく、肥満や高血圧、動脈硬化、生活習慣病を引き起こす可能性があります。

鉄は血液を作る原料となる成分です。酸素を運ぶ赤血球の構成成分で、貧血を予防・改善するために必要なミネラルです。特に女性や妊産婦の方は積極的に摂取したい栄養素のひとつです。

βカロテン

βカロテンはプロビタミンAと呼ばれる物質のひとつで、体内に吸収されると必要な分だけビタミンAに変換されます。

ビタミンAとしては視力の正常維持、免疫力アップ、皮膚・粘膜の正常維持といった働きがあります。また、βカロテンはカロテノイド色素のひとつでもあり、抗酸化作用、抗ガン作用があります。このため、アンチエイジングや生活習慣病の予防にもつながります。

ビタミンE

ビタミンEは脂溶性ビタミンのひとつで、体内では細胞膜や脂質に多く存在しています。強い抗酸化作用があり、抗ガン作用や動脈硬化予防、生活習慣病の予防、アンチエイジングに効果が期待できます。

ビタミンK

ビタミンKは脂溶性ビタミンで、血液凝固や骨の形成に欠かせないビタミンです。

不足すると鼻血や胃腸から出血が起こったり、月経過多や血尿などを引き起こす可能性があります。また、ビタミンKの不足が慢性化すると、骨折や骨粗鬆症の原因にもなります。

葉酸

葉酸はアミノ酸や核酸の代謝、ビタミン類の代謝に関与しています。また、ヘモグロビンの合成にも関与しており、貧血の予防・改善にも必要な栄養素です。

さらに、神経系の発達にも欠かせない栄養素で、特に赤ちゃんの成長のために妊娠前・妊娠中の女性は不足しないよう注意が必要です。

ビタミンC

ビタミンCは水溶性ビタミンで、体内の物質代謝や酸化還元反応などに広く必要とされる成分です。

免疫力アップやコラーゲンの生成を助けます。また、鉄分の吸収を促進する作用があり、貧血の予防・改善にも効果的です。さらに、抗酸化作用がありアンチエイジングや生活習慣病の予防にも役立ちます。

食物繊維

食物繊維は大腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増やす作用があり、腸内環境を整える効果があります。

そして胃腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を促すため、便秘の予防・解消に役立ちます。さらに、一緒に摂取した糖や脂質の吸収を穏やかにして、血糖値や血中脂質の上昇を緩やかにしてくれます。

消化酵素

上記の栄養素のほかにも、大根の根の部分には数種類の消化酵素が含まれています。

デンプンを分解する「アミラーゼ」、タンパク質を分解する「プロテアーゼ」、脂質を分解する「リパーゼ」が代表的なものです。

つまり、大根は食品の三大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質のすべての消化に関わる酵素を含んでいるのです。

このことから、大根は胃腸が弱って胃もたれや胸焼けを起こしているときに最適な食材であるといえます。

日本ではお正月が明けると七草粥を食べますが、その七草に含まれる「すずしろ」は大根のことを指します。お正月で疲れた胃腸をいたわる意味でも、大根は七草粥の具材として理にかなっています。

ただし、消化酵素はタンパク質からできているため、50℃以上の高温で加熱すると変性して酵素としての機能を失ってしまいます。

そのため、大根の酵素を十分に働かせたい時は大根を生のままで食べたり、加熱したあとの料理にあとから加えたりして、大根が高温にさらされないように注意すると良いでしょう。

また、先ほどの3つの消化酵素のほかにも、大根には「オキシダーゼ」という酵素が含まれています。オキシダーゼは発ガン性のある物質を分解する働きがあるため、ガン予防に効果があります。

さらに、大根には「アリルイソチオシアネート」とい成分が含まれています。これは大根のピリッとした辛味の元となる成分でもありますが、体内の解毒酵素の働きを促進する効果を持っています。そのため、オキシダーゼとともにガン予防に役立ちます。

大根は、葉に近い方より根の先端のほうが辛味が強くなっています。つまり、根の先端のほうが多くアリルイソチオシアネートが多く含まれているということです。

摂りたい栄養や成分、好みの大根の味わいによって、大根の部位を変えて調理すると良いですね。

大根は風邪の引き始めに効果的

カットした大根
大根は、よく風邪の引き始めに効果的であるといわれます。この理由は、先ほどご紹介した大根に含まれる栄養素や成分にあります。

大根に含まれるビタミンCが免疫力アップに働き、βカロテンやビタミンEの強い抗酸化作用によって細胞を健康に保ち、基礎的な抵抗力を維持します。

また、豊富に含まれる消化酵素によって消化が促進され、胃腸の負担が軽減されるとともに栄養素の吸収もしやすくなります。

さらに、大根の代表的な成分のひとつである「アリルイソチオシアネート」には殺菌作用があるほか、血中の白血球を活性化させる働きがあり、風邪の引き始めの炎症を抑えるのに役立つのです。

風邪の引き始めに大根を食べるときには、熱に弱いビタミンCや酵素を守るために、加熱せずに食べると良いでしょう。中でも、大根をはちみつに漬けた「はちみつ大根」が手軽でおすすめです。

はちみつには殺菌作用があるほか、免疫力アップやエネルギー補給に必要な糖質やビタミンB群などが豊富に含まれています。また保湿効果もあり、特にのどの乾燥や痛み、咳などの症状が強いときに適しています。

このように、大根とはちみつの相乗効果でより風邪への効果が期待できるのです。

はちみつ大根は民間療法として昔から風邪の引き始めに利用されており、風邪薬を飲めない妊婦さんや授乳中の方にもおすすめです。

はちみつ大根の作り方

材料

・大根
・はちみつ
・密閉容器(煮沸消毒をしておく)
煮沸消毒の詳しい方法は『瓶を消毒する方法は?煮沸消毒のやり方や時間、ポイントを解説』にてご紹介しています。

手順

1.大根を1cm角に切り、密閉容器に入れる。
2.密閉容器に大根が浸かる程度のはちみつをいれ、冷蔵庫で2~3時間漬ける。

はちみつ大根は、そのまま食べたり、水やお湯で割って飲むのがおすすめです。

ドリンクとして飲むときには、すりおろした生姜を少し加えると身体がより温まります。また、ドリンクとして飲むときに大根も一緒に食べることもポイントです。

普段の食生活ではもちろん、風邪の引き始めにも大根を活用して元気で健康な身体を目指しましょう!

用途に合わせて大根を上手に保存しよう!

このほか、日陰に干して乾燥させてから保存する方法など、大根の保存方法はいくつもあります。保存方法よっては1か月くらい保存することのできる便利な野菜です。

ぜひ様々な方法を試して自分に合った方法を見つけてみてくださいね。

他の野菜の保存方法も要チェック!