お餅を美味しく食べる日
いきなりだが、1月11日は「鏡開きの日」とされていることをご存知だろうか。鏡開きとは、正月に供えた鏡餅を木槌で叩いて割り、雑煮や汁粉にして食べることで、一族の健康と発展を祈る儀式のことだ。簡単に言うと、カッピカピになった餅を美味しく食べられるようにアレンジする日でもある。
「鏡割り」とも同じ意味合いだそうで、「割る」という言葉が縁起が悪いことから、忌み詞として「開き」を使い「鏡開き」と呼ぶようになったとのこと。
画像引用:いらすとや
だが、1月11日に定められている記念日は「鏡開きの日」だけではない。なんと「塩の日」でもあるのだ(他にも「麺の日」などいろいろな記念日があります)。
なぜ「塩の日」になったかというと、1月11日に武田信玄と交戦中の上杉謙信が、塩を絶たれている武田方の領民に塩を送ったことが由来となっているそうで、このエピソードが「敵に塩を送る」の元ネタにもなっているのだとか。
いや、待てよ。よくよく考えると、「木槌で叩く」「塩」この2つのを組み合わせると「塩釜焼き」ではないか。塩釜焼きも木槌で叩くし、塩もたくさん使っている。
塩釜焼きとは?
画像引用:クックパッド
簡単にいうと、塩に包んで焼くこと。匂いを消す効果もあるので、生臭くなる食材に効果的。旨みを逃さない効果もある。主に魚介やローストビーフなどに用いることが多い。
塩釜焼きは鯛を使ったものなど、縁起のいい食材で作ることが多いが、普通に作っても面白くない。ここは発想を逆転させて、“縁起の悪い”もので作ってみることにした。まだ1月の中旬だが、早速冒険しようじゃないか!
縁起の悪い食べ物ってなに?
縁起の悪い食べ物といわれて、何か思いつくだろうか。筆者は全く思いつかなかったので、ネットで検索してみた。すると「スルメ」がヒットした。
画像引用:いらすとや
当然、スルメ自体が縁起の悪い食べ物なのではなく、「スルメ」という名前に縁起の悪い言葉が入っていると言い換えることで、縁起の悪い食べ物となるようだ。
スルメの「スル」という言葉は「散財する」という意味があり、縁起が良くないので「あたりめ」と呼んだりするそう。しかし、さすがにスルメを塩釜焼きにする訳にはいかない。
そうすると少し意味合いは変わってしまうが「するめイカ」で作るしかない。「するめ」という言葉も入っているし、鮮度にもよるが一応生臭くもある。だいぶこじつけではあるが、おそらくイカの塩釜焼きに挑戦した人はいないと思うので、作ってみることにした。
するめイカで塩釜焼きに挑戦
材料
いか:1杯
塩:1kg
卵白:1個分
用意する材料はいかと塩、卵白の3つととてもシンプルだ。
let’s クッキング!
イカは胴体と足に分け、きれいに皮を剥いでおく。
卵白に塩を加え、馴染むまでよく混ぜる。
塩をイカの形に形成する。イカがはみ出ないように少し大きめに型どる。
イカを乗せる。
塩でイカの形に形成する。このとき頭の部分を“もっこり”させるとリアル感が出る。
200°Cのオーブンで20分ほど焼き、20分置いておく。
破壊の儀
完成したイカの塩釜焼きがこちら。
所々こんがりとしていて、香ばしい匂いがする。触ってみるとカッチカチになっていた。身の薄いイカを使っているわりに塩を1kgも使っているため、塩がかなり分厚くなっており、ちょっと叩いたくらいじゃ壊れないほど頑丈だった…。
縁起の悪い食べ物で作ったものを年明け早々から壊すという破天荒ぶり。2019年、きっとなにかよからぬことが起こるだろう。(自分の身にはなにもありませんように…)
割ってみると尋常じゃないくらいイカに塩が付いていた。これは、本当に食べても大丈夫なのだろうか。不安が頭をよぎる。
実食の儀
なぜだろう。時間をかけて作ったのに全く食べる気がしない。理由は最初からわかっている。大量の塩に包んで焼いたのだ。半端なく塩辛いに決まっている。
しかし、無下にはできない。躊躇しつつも恐る恐る食べてみると…
やっぱりすごい。塩辛さが尋常じゃない…。例えるなら、海水をコップ1杯ガブ飲みした感じといえばいいだろうか。咀嚼するたびに塩がジャリジャリと音を立て、体が拒絶する。なんなら少し嗚咽がするくらいだ。
白身の部分はギリギリ食べられるラインなのだが、足が完全にアウトだった。これまで経験したことのないような塩辛さが全身を駆け巡る。筆者の実家に長年放置されていた梅干しの塩辛さに勝るものはないと思っていたが、これは余裕で勝る!
しかし、生臭さが取れるということだけあって、クセのないイカの味を楽しめたことも事実。塩釜焼きに興味がある方は挑戦してみてはいかがだろう。
その夜
家に帰りシャワーを浴びていたとき、お腹がギュルギュルと鳴り出した。急いでトイレに駆け込み難を逃れたが、お腹を下した理由は間違いなくイカだ。というか塩だ。もっというと塩分だ。当分塩釜焼きは遠慮したい、ついでにイカも…。
波乱の幕開けとなった2019年、いろいろと面白くなりそうだ。