レシピで油を使うときに出てくる「サラダ油」。スーパーに売っているのでなんとなく使っているけれど、どんな油なのか詳しくは知らないという人も多いのではないでしょうか。
また、「健康に良い」「ヘルシー」と言われるキャノーラ油はサラダ油と何が違うのかも気になりますよね。今回は、そんなサラダ油とキャノーラ油について解説します!
知ってる?サラダ油とキャノーラ油の違い
料理によく使われる油として、サラダ油とキャノーラ油があります。どちらもサラサラとしてクセがなく、大きいボトルでお手頃な価格なので揚げ物などにも使いやすいですよね。
この2つの油、どちらも似たような油ですがどのように違うのでしょうか?
サラダ油とは?
実はサラダ油とは日本独自の油なんです。この「サラダ」は、他のオリーブオイルやごま油、なたね油のように原料名のように思えますが、もちろん生野菜サラダを絞った油ではありません。
サラダ油というのはもともとは商品名なんです。
日清オイリオが「日清サラダ油」という名前で生野菜用ドレッシングに使う油として売り出したのが最初のサラダ油です。
サラダ油の「サラダ」とは、「サラダにかけて食べるための油」という意味なんです。
それまでの日本の油は天ぷらや炒めものなどの加熱を前提にされていたため、生野菜にかけるには精製度が足りなく冷えると固まったり、雑味が多く美味しくありませんでした。
そこで登場したのがサラダ油です。本来の油が持つ蝋(ろう)の成分が精製で取り除かれたサラダ油は0度でも白く濁らず透明でサラサラとしているのが特徴です。
加熱してもそのままかけても使いやすい、オールラウンドに使えるのがサラダ油なんです。
サラダ油の原料もさまざま
このようにサラダ油とは原料名ではなく、サラダにかけるという意味の油です。
その原料もひとつに限らず、JAS規格で決められた基準を満たした植物油であればサラダ油と名乗ってもよいということになっています。
現在、サラダ油として一般的に販売されている油の原料は、なたね、綿実、大豆、ゴマ、コーン、紅花、米などです。このため、サラダ油といっても製品によって油の栄養価や特性も少しずつ違ってくるんですね。
サラダ油の中には1種類の原料で作った油だけではなく、2種類以上の原材料を混ぜてそれぞれの油の良いところどりをした油もあります。このように複数の原料を混ぜて作られたものは「混合サラダ油」と呼ばれています。
サラダ油を買うときは、どんな原料が使われているかパッケージの裏の表示をチェックするのがおすすめです。
キャノーラ油とは?
それではキャノーラ油とは何かというと、こちらはキャノーラという原料を使って作られた油です。
キャノーラとは、なたね油に使われるアブラナを改良した品種で、油を絞るためにカナダで開発されました。つまり、キャノーラ油はなたね油の一種なんです。
それでは、なぜなたね油の仲間なのにわざわざキャノーラ油と区別しているのでしょうか?実は、キャノーラ油には従来の菜種とは全く違う特性があるんです。
キャノーラ油となたね油の大きな違いは、「エルカ酸(エルシン酸)」と「グルコシノレート」という成分の有無です。
一般的ななたね油にはこの2つの成分が含まれているのですが、これら成分は摂りすぎると健康に害があることがわかっています。
エルカ酸は過剰摂取で心疾患の原因になる可能性が実験で示され、WHOが正式に警告をしています。また、グルコシノレートについても、動物の甲状腺に異常をもたらすとして敬遠されています。
そこでカナダがこの2つの成分を極力減らしたキャノーラ品種というアブラナを開発しました。キャノーラとは、「カナダ(CANADA)」と「Oil low acidの略(Ola)」を組み合わせた造語なんです。
キャノーラ油はコレステロールを下げる?
身体に有害な2つの成分が少ないというメリット以外にも、キャノーラ油には健康に良いとされるオレイン酸とビタミンEがなたね油よりも多く含まれているという特徴があります。
オレイン酸はオリーブオイルにも多く含まれている成分で、酸化しづらく血中の悪玉コレステロールを減らす働きがあると言われています。
悪玉コレステロールが増えると、血がどろどろになり動脈硬化や心疾患の原因となると言われています。オレイン酸はこの悪玉コレステロールを減らし、血管を健康に保ち善玉コレステロールはそのまま減らさない点がメリットです。
さらに、抗酸化能力が高いビタミンEを多く含むことで、油そのものや体内の酸化を予防する働きもあります。
このような理由により、「キャノーラ油は健康に良いヘルシーな油」と言われることが多いのです。
使う上で注意すべきこと
キャノーラ油はなたね油に比べて健康に良い油とはいっても、油には変わりがありません。使うときには油そのもののデメリットも知っておく必要があります。
サラダ油もキャノーラ油もどちらも精製された油です。精製された油の健康上のリスクはなんといってもカロリーが高いことと、トランス脂肪酸の害です。
特にトランス脂肪酸は油を高温に加熱すると必ず発生してしまうため、加熱精製して作られる精製油には多く含まれています。
さらに、天ぷらや炒めものなど、高温で調理するとトランス脂肪酸の量はぐっと増えてしまうんです。
トランス脂肪酸は摂りすぎると心疾患の原因になると言われています。WHOでは1日のトランス脂肪酸の摂取量は、総摂取カロリーの1%以下にするように指示しているほど健康に悪影響のある成分です。コレステロールよりも気をつけたい成分といえるでしょう。
カロリーの違いは?
また、カロリーについても気をつけなければいけません。
油のカロリーはサラダ油もキャノーラ油も変わらず、1gにつき9ckalです。これは大さじ一杯(14g)126kcalとなってしまい、ご飯茶碗半分と同じカロリーです。
ドレッシングや炒めもので使いすぎるとすぐにカロリーオーバーになってしまうので、気をつけましょう。
サラダ油もキャノーラ油も使い過ぎには気をつけて
今回は、日常的によく使われているサラダ油とキャノーラ油の違いについて紹介しました。
サラダ油は冷えてもサラサラしているので使いやすく、オールマイティに使える便利な油です。原料にはいろいろなものが使われているので、買う前に裏面の原材料名をしっかりチェックするようにしましょう。
キャノーラ油は健康のリスクがあるエルカ酸とグルコシノレートがなくオレイン酸が多いこと、コレステロールを下げるオレイン酸が多いことはメリットですが、精製している油である以上、トランス脂肪酸の害やカロリーの面ではサラダ油もキャノーラ油もあまり変わらないと言えます。
結局どちらがいいの?と感じるかもしれませんが、結論をいうとトランス脂肪酸の害がある以上どちらもそこまで健康面での大きな差はないんです。風味や使い勝手など好みで選んでも良いでしょう。
どちらの油も使い過ぎに注意をして、上手に油と付き合っていきましょう!
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