最近話題となっている調味料の「塩麹」。お肉やお魚を塩麹に漬けておくと、やわらかくなって調味もできてしまうという万能調味料です。
発酵食品でもありビタミン・ミネラルを豊富に含むため、整腸作用をはじめ健康・美容にも効果が期待できます。そんな塩麹ですが、「一度買ってはみたものの、使いきれずに賞味期限が切れてしまった…」なんていう経験はありませんか?
普段から日常的に使う調味料でないと、アレンジ方法も思いつかず、余らせてしまうこともありますよね。そこで今回は、塩麹の賞味期限や上手な保存方法とともに、おいしい塩麹のアレンジ方法もご紹介します。
塩麹とは?
そもそも塩麹とはなにかというと、「米麹」に「塩」を混ぜて作られた調味料です。
「麹(こうじ)」とは、お米などの穀類や大豆などの豆類に麹菌を繁殖させ、発酵させた食品のことをいいます。原料にお米を使ったものを米麹、麦を使ったものを麦麹、大豆を使ったものを豆麹といいます。
日本人にとって麹は昔から馴染み深い食品で、味噌やみりん、酒、しょうゆなど、和食に欠かすことのできない調味料の多くは、麹を使って作られているのです。特に昔の日本では、各家庭で味噌を作るのが当たり前で、一般的にも広く利用されていました。
最近になって「塩麹」という調味料が話題になっていますが、実は昔から日本に馴染みのある調味料だったというわけですね。
塩麹は発酵食品であり、塩が多く配合されています。そのため保存性が高く、冷蔵庫や保存料、防腐剤がなかった時代には、非常に重宝されたようです。
また、塩麹は保存性が高いだけでなく、塩麹に漬けた食品の旨味を引き出してくれる効果があります。それは、塩麹に含まれる消化酵素のおかげです。
塩麹には消化酵素がたくさん!
塩麹に豊富に含まれている消化酵素としては「アミラーゼ」、「プロテアーゼ」、「リパーゼ」があります。アミラーゼはでんぷんを糖に分解する消化酵素、プロテアーゼはタンパク質をアミノ酸に分解する消化酵素、リパーゼは脂質を脂肪酸とグリセリンに分解する消化酵素です。
アミラーゼの働きによって食品に含まれる糖が増えて甘味が増し、プロテアーゼの働きによってお肉やお魚などの身がやらわかくなります。また、リパーゼの働きによって脂質が分解され、脂っこさが軽減されて消化・吸収しやすくなるのです。
さらに、塩麹にはビタミン・ミネラルも含まれています。特に豊富に含まれているのが、「ビタミンB群」です。
ビタミンB群は、私たちの身体の中で糖質やタンパク質、脂質、エネルギーの代謝に深く関わっており、生きるために必要な栄養素です。また、皮膚や粘膜の正常維持にも役立っており、肌荒れや口内炎などの予防のためにも積極的に摂りたいビタミンです。
また、塩麹は発酵食品のひとつであるため、腸内細菌のバランスを整える効果があります。そのため、便秘や下痢の改善にも役立ちます。
以上のように、塩麹は食品の旨味を引き出して料理をおいしく仕上げてくれるだけでなく、私たちの身体にとって嬉しい栄養素も豊富に含まれているのです。
塩麹を積極的に料理に使って、おいしく健康と美容を目指したいですね。
塩麹の賞味期限はどれくらい?
栄養豊富で便利な塩麹ですが、一度に使う量はあまり多くないため、市販のものを購入したり手作りしても、使いきれずに余ってしまうことがありますよね。
そんなときに気になるのが賞味期限です。塩麹の賞味期限はおよそ3~6ヶ月程度といわれています。
塩麹は比較的日持ちがしますが、塩分濃度や保存環境などによってその期限には差が生じます。
また、塩麹が入っている容器によっては料理に使うときにスプーンなどですくうこともあるかと思いますが、このとき使用するスプーンも、清潔なものでなければ傷みが早くなってしまうため注意が必要です。
賞味期限が切れても食べられる?
賞味期限が比較的長い塩麹ですが、この期限を切れてしまった場合、食べることはできるのでしょうか?
そもそも「賞味期限」とは、品質が保証される期間のことです。つまり、賞味期限を切れたからといってすぐに傷んだり食べられなくなる、というわけではないのです。
ただし、これは市販の商品で「未開封の状態」で、かつ「記載されている保存方法で保存した場合」に品質が保証される期間ということになります。
そのため、一度開封してしまった商品は、期限内であっても傷んだり腐ったりしてしまう可能性があります。様々な商品のパッケージに「開封後はお早めにお召し上がりください」といった注意書きがよくされているのも、このためです。
塩麹についていえば、塩分も比較的多く含まれており、賞味期限を切れてもすぐに食べられなくなるとは限りません。ただし、一度開封してしまったものや手作りのものであれば、塩分濃度などによっては腐ってしまう場合もあるのです。
さらに、塩麹は発酵食品です。そのため、長期間にわたって保存していると、発酵が進みすぎて酸味やアルコール臭が発生してしまうことも考えられます。この状態は「過発酵」といい、食べられないわけではありませんが、味や風味が損なわれているため料理に使うことは避けたほうがよいでしょう。
未開封の塩麹であれば、賞味期限を過ぎてしまっても1ヶ月ほどは問題なく食べられる可能性が高いです。ただし、使う前に塩麹の状態を確認したほうがいいでしょう。
また、開封してから日にちが経ってしまった塩麹や手作りの塩麹も、正しい方法で保存してあれば賞味期限を過ぎてしまっても食べられる場合があります。とはいえ、賞味期限内であっても塩麹の状態をみて、異常がないことを確認してから使うことをおすすめします。
塩麹の保存方法
それではここから、塩麹を長持ちさせるための上手な保存方法についてみていきましょう。
塩麹は日持ちがしやすく、正しい方法で保存すれば品質をキープして長く保存しておくことができます。塩麹の種類や保存方法ごとに、具体的な方法をご紹介します。
余った麹の保存方法
塩麹は手作りすることができますが、米麹が余ってしまうこともあります。塩麹は作るときに米麹が使用されますが、米麹には「生米麹」と「乾燥米麹」の2種類があります。
余った米麹は保存しておくことができますが、この麹の種類によって、適切な保存方法が異なるのです。生米麹の場合と乾燥米麹の場合について、順にご紹介していきます。
生米麹の場合
まずは、生米麹の場合についてです。
生米麹の場合は、低温での保存が前提となります。冷蔵保存と冷凍保存の方法について、具体的にみていきましょう。
冷蔵保存
生米麹を冷蔵保存する場合は、蓋付きの密閉容器などに入れて保存するのが基本となります。
保存期間の目安は商品によって異なりますが、麹の力を維持できるのは、開封後から20日が目安となります。それ以上経っても食べることはできますが、品質が低下する可能性があります。
この期間を過ぎても使い切れないと判断された場合は、冷凍保存をしておくことをおすすめします。ちなみに、手作りした塩麹も蓋付きの密閉容器などに入れて冷蔵保存するのが基本となります。
料理に使うときには清潔なスプーンを使い、容器の中に入れっぱなしにしたりせず、その都度スプーンを洗ってください。できれば、スプーンを使用する前にアルコールスプレーなどで消毒するとより安心です。
あるいは、ドレッシングなどを入れる容器に塩麹を入れて保存しておくと、スプーンを使わずに塩麹を取り出すことができて便利です。
ドレッシングの容器は、市販のドレッシングを使い切ったあとの容器をきれいに洗って消毒してから使う方法もありますが、100円ショップなどでも購入することができます。できれば新品の容器を購入して、アルコールスプレーなどで消毒してから使うことをおすすめします。
冷凍保存
生米麹を冷凍保存する場合は、6ヶ月ほどが保存期間の目安となります。ただし、麹の力は日にちが経てば経つほど徐々に衰えてしまいます。
冷凍した生米麹は、電子レンジなどで急速に解凍するよりも、使う前に冷蔵庫に移してゆっくりと解凍しておくことがおすすめです。
電子レンジなどで熱を加えると、せっかくの麹が死んでしまいます。麹が死んでしまうと、塩麹などを作ろうと材料を混ぜておいても、発酵が進まないためうまく作ることができません。
塩麹も同様に冷凍しておくことができますが、麹の健康効果をできるだけ多く発揮させるためにも、自然解凍が適しているのです。
また、一度冷凍した麹を解凍後に再冷凍することは、品質低下につながります。そのため、冷凍するときに一度に使い切れる量ごとに小分けしておくことがおすすめです。小分けした塩麹はラップなどに包み、ジッパー付きの保存袋に入れて冷凍しておくとよいでしょう。
塩を混ぜる
冷蔵・冷凍保存の他にも、生米麹を長く保存する方法として「塩を混ぜる」という方法があります。
これは、昔から発酵食品などを長期保存する場合に利用されている方法で、食品の塩分濃度を高めることで細菌などの繁殖を防ぎ、食品を傷みにくくすることができます。
この場合は、麹の量に対して3割程度の塩を入れるのが目安となります。この場合の保存期間は4ヶ月ほどが目安となり、冷蔵あるいは冷凍の低温で保存をしてください。
乾燥米麹の場合
乾燥米麹の場合は、常温で長期間保存しておくことができます。
ただし、一度開封してしまったものは湿度や温度に注意して保存する必要があります。乾燥米麹をジッパー付きの保存袋など密閉できる保存袋や容器に入れて、直射日光の当たらない風通しのいい場所に保存するとよいでしょう。
塩麹はどんな食材に使えるの?
ここからは、塩麹を使うとよりおいしく仕上がる、おすすめの食材についてご紹介します。
塩麹に食品を漬けておくと、甘味や旨味が増し、肉質が柔らかくなります。塩麹のよさを存分に発揮できるおすすめの食材には、以下のようなものがあります。
肉
塩麹はタンパク質を分解してやわらかくする性質があるため、タンパク質を豊富に含む食品との相性が抜群です。
お肉の中でも、特に鶏むね肉に使うことがおすすめです。鶏むね肉は価格が安くて家計に嬉しい一方、脂質が少ないぶんパサパサしやすく、やわらかく仕上げるのが難しい食品でもあります。
その鶏むね肉に塩麹を使うことで、驚くほどやわらかくジューシーに仕上げることができるのです。
鶏むね肉全体に塩麹をまぶしてソテーするだけでももちろんおいしくいただけますし、下味に塩麹を使って鶏むね肉の唐揚げを作るのもおすすめです。
鶏むね肉以外にも、豚肉に使ってポークソテーやとんかつなど、様々なお肉料理に活用することができます。
魚
魚も、お肉と同様にタンパク質を豊富に含む食品です。
鮭の切り身を塩麹に一晩漬けてから焼くとやらわかく程よい塩気の焼き鮭に仕上がります。また、刺身用のかつおやまぐろを塩麹に3時間ほど漬けておくだけで、とろけるような食感に変化します。
野菜
塩麹は食品の糖などを分解して甘味や旨味を増やしてくれるため、野菜を漬けておくのもおすすめです。
特に、きゅうりを塩麹に一晩漬けて浅漬のようにするのが、手軽で簡単な一品になります。副菜としてはもちろん、お酒のおつまみにもいいでしょう。
以上のように、塩麹は様々な食品と合わせておいしくいただくことができます。
シンプルに塩麹とひとつの食品を合わせるだけでもおいしい料理を作ることができますが、複数の食品と合わせたり、アレンジ調味料を入れることでバリエーションをぐっと増やすことができます。
例えば、塩麹にレモンやゆずなどの柑橘果汁を混ぜたり、昆布やカツオ節など旨味の豊富な食品を混ぜる、あるいはトウガラシや柚子胡椒、ハーブなどのスパイスを混ぜてもおいしくいただけます。
お肉やお魚のシンプルな塩麹のソテーに飽きてきたら、様々なアレンジ調味料を加えて変化をつけるとよいですね!
塩麹でワンランク上の美味しさを堪能!
塩麹は、お肉やお魚をはじめ、様々な食品と合わせることで、甘味や旨味を増やし、料理をやらわかくおいしく仕上げてくれます。
塩麹は日持ちがしやすい調味料ですが、発酵食品であり、また塩分濃度などによっては時間が経つと品質が低下してしまう場合があります。
塩麹は料理を美味しくしてくれるだけでなく健康や美容にも良い栄養素を豊富に含んでいる食品ですから、ぜひ積極的に使って期限内に使い切ることをおすすめします。
今回ご紹介した方法を参考に、塩麹を上手に保存して、様々なアレンジで毎日の食卓に取り入れてみてくださいね!