滋養強壮やスタミナアップ、生活習慣病の予防や抗ガン作用など、様々な健康効果があるとされている「にんにく」。

私たちの身体にとって嬉しい効果が期待できるほか、料理に入れるとグッとおいしさが増すため、たくさん食べたくなるときもありますよね。

しかし、にんにくを食べすぎると副作用が現れる可能性があるのです。今回は、にんにくを食べたときに起こりうる副作用と、それを防ぐためのポイントについてご紹介します。

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にんにくを食べ過ぎるとどんな影響があるの?

「副作用」という言葉がありますが、これは本来医薬品に対して使用される言葉です。

にんにくは医薬品ではなく食品であるため本来は使用しませんが、ここでは便宜上、にんにくを食べたときに起こりうる悪影響のことを「副作用」と呼んで、解説していきます。

にんにくには「アリシン」と呼ばれる成分が豊富に含まれており、このアリシンのおかげで疲労回復や生活習慣病の予防など、様々な健康効果が期待できるといわれています。

しかし、このアリシンは健康効果がある一方で、刺激の強い成分でもあります。そのため、にんにくを食べすぎると逆に体調を崩してしまう原因にもなり得るのです。

アリシンをはじめ、にんにくに豊富に含まれる成分には、殺菌作用の強い成分が多くあります。これによって風邪予防などの効果が期待できるのですが、にんにくを過剰摂取してしまうと、消化器官に負担がかかってしまいます。

過剰摂取の目安

過剰摂取となる量は、にんにくのサイズや個人の消化能力などによっても差はありますが、1日当たりにんにく丸ごと1個分、10片以上食べると過剰摂取であるといえるでしょう。

食べ過ぎにより現れる症状


それでは、にんにくを食べすぎると具体的にどのような症状が現れるのでしょうか?

にんにくを食べすぎたときの症状は、消化器官を中心に表れます。起こる可能性の高いものから、順にみていきましょう。

腹痛

にんにくは、1日に4片程度までの適量であれば、胃や消化器官などの粘膜の健康を保ち、消化を促進させる作用が期待できます。

しかし、過剰摂取になると胃腸への刺激が強くなりすぎるため、胃痛や腹痛を起こす可能性があるのです。特に、空腹時やすでに体調が悪い時には、その影響を受けやすくなります。ひどい場合には、胃の粘膜だけでなく胃壁自体が荒れる原因にもなります。

胃腸の環境の悪化

にんにくに含まれる成分には強い殺菌作用があります。風邪などの原因となる細菌を殺して風邪予防などに効果を発揮してくれる一方で、私たちの体内に住み着いている菌まで殺してしまう可能性があります。

私たちの胃腸内には、様々な種類の腸内細菌が住み着いており、胃腸環境の維持に役立っています。その中でも善玉菌と悪玉菌が存在し、そのバランスを保つことで胃腸環境を最適な状態に保ってくれているのです。

しかし、にんにくの過剰摂取によって強い殺菌作用が発揮されると、私たちの身体にとって必要な善玉菌・悪玉菌まで殺してしまいます。すると腸内細菌のバランスが崩れ、胃腸環境の悪化につながるのです。ひどくなると胃痛や腹痛、胃壁の炎症にもつながります。

下痢・便秘

にんにくを食べすぎると、下痢や便秘を引き起こす可能性もあります。これは、さきほど説明した胃腸の環境の悪化が大きく関係しています。

にんにくの殺菌作用により、腸内環境を保つビフィズス菌などの善玉菌が殺されてしまうと、便通がスムーズに行われなくなります。つまり、下痢や便秘を引き起こしてしまうのです。

皮膚炎・口角炎・口内炎

胃腸が荒れて消化吸収機能が低下すると、必要な栄養素をうまく吸収できなくなってしまいます。そのため、皮膚の健康維持に必要なビタミン類が不足し、肌荒れを起こしてしまうのです。

さらに、腸内に存在する菌の中には、ビタミンを生成してくれる細菌もいます。にんにくの殺菌作用によってこれらの菌が殺されてしまうことによっても、ビタミン不足が引き起こされる可能性があります。

肌荒れが悪化すると、口角炎や口内炎を引き起こしたり、皮膚炎によって皮膚のかゆみや乾燥、湿疹などが現れる可能性もあります。

貧血

にんにくは適量の摂取であれば鉄の吸収を促進し、貧血の予防に効果を発揮してくれます。

しかし、過剰に摂取してしまうと、血中のヘモグロビンが減少し、さらに赤血球が破壊される「溶血」という現象が起こりやすくなります。このため、貧血になりやすくなってしまうのです。

以上のように、にんにくを過剰摂取すると胃腸の環境の悪化や消化吸収機能の低下をはじめとして、様々な副作用が現れる可能性があることがわかりました。

健康効果が期待できるにんにくですが、過剰摂取にはくれぐれも気をつけたいですね。

摂取量の目安は?

にんにくによる健康効果を得るためには、適切な量を摂取し、食べるときのポイントを抑えることが大切になってきます。まず、にんにくの摂取量として適切な量はどのくらいなのでしょうか?

さきほども触れましたが、1日ににんにくをまるごと1個分、10片程度食べると過剰摂取となってしまいます。にんにくの大きさに差はありますが、一般的にはにんにく1片あたり5~7g程度といわれています。

すりおろしにんにくや刻みニンニクの場合はにんにく何個分・何片分かわかりにくいですが、50g以上だと過剰摂取になると考えて良いでしょう。

にんにくの健康効果を得るために適切な量は、にんにく4片程度といわれています。にんにくを摂取するときは4片、20g程度を目安に、過剰摂取にならないように注意してください。

食べる前に気をつけるべきこと

続いて、にんにくの副作用を起こさないためのポイントについてご紹介します。

副作用を防ぐためには、にんにくを食べる前にポイントがあります。それぞれ具体的にみていきましょう。

空腹時に食べない

まずは、にんにくを空腹時に食べないことです。

空腹の状態で胃腸に食べ物が入ってくると、消化液が分泌されやすくなります。さらに、にんにくに含まれるアリシンなどの成分による刺激が加わることで、胃腸の粘膜や胃壁が過剰に刺激を受けることになります。

これを防ぐために、にんにくを食べる前には先に他の食べ物や飲み物で空腹を解消しておきましょう。

アリシンは水に溶けやすい

アリシンは水溶性の成分であるため、飲み物や水分の多い食品を摂ると、スムーズに代謝・排出しやすくなります。また、タンパク質やカテキン、ポリフェノールと結合する性質があり、それによって刺激も弱まることがわかっています。

そのため、カテキンを豊富に含む緑茶やポリフェノールを豊富に含むりんごやココア、タンパク質を豊富に含む牛乳・乳製品や豆乳・豆製品、肉、魚といった食品を摂取することがおすすめです。

ちなみに、アリシンはにんにくのニオイのもととなる成分でもあります。そのため、これらの食品を一緒に摂取することで、にんにく特有のニオイを抑えてくれる効果も期待できるのです。にんにくの副作用も防ぐことができ、一石二鳥ですね。

加熱してから摂取する

次にポイントとなるのは、にんにくを加熱してから摂取することです。

生のにんにくには「アリイン」という成分が含まれています。このアリインが同じくにんにくに含まれている酵素によって、アリシンへと変化するのです。したがって、にんにくを加熱して酵素を不活性化することで、アリシンが生成されるのを防ぐことができます。

アリシンの生成量が減ることで、胃腸への刺激も抑えることができるため、副作用の予防につながるというわけです。

さらに、さきほども説明したようにアリシンはにんにくのニオイのもとであるため、にんにくのニオイの抑制にも役立ちます。

腹痛になった時の対処法


にんにくを消化吸収する能力には個人差があります。そのため、にんにくを食べるときに気をつけていても、腹痛になってしまう場合もあります。そんなときにはどうしたらよいのでしょうか?

にんにくを食べて腹痛になってしまったときの対処法をご紹介します。

水分を摂る

まずは水分を摂りましょう。にんにくに含まれる刺激成分であるアリシンは、水溶性の成分です。

そのため、水分を摂ることで汗や尿として排出しやすくなります。胃腸への刺激を抑えるために、氷の入った冷たい水ではなく、お白湯や温かいお茶などがおすすめです。

乳酸菌を摂る

にんにくが原因で腹痛が起こった場合には、腸内細菌のバランスが崩れている可能性があります。そのため、乳酸菌を多く含む食品を摂ると良いでしょう。

具体的には、発酵食品であるヨーグルトや納豆、チーズ、味噌などがあります。キムチも発酵食品ですが、辛味成分が胃腸への刺激となるため、腹痛時には控えたほうがよいかもしれません。

ヨーグルトにオリゴ糖やはちみつをかけて食べたり、あたたかいお味噌汁を飲んだりすることがおすすめです。

にんにくアレルギーが原因の場合も

にんにくを食べたときに高確率で身体に不調が現れる場合には、にんにくアレルギーである可能性もあります。アレルギーの場合、腹痛や下痢のほか、吐き気や皮膚のかゆみ、じんましん、めまいなどの症状が現れる場合があります。

少量のにんにくでも体調に変化が現れる場合には、にんにくを消化吸収する能力が低いか、アレルギーであることが考えられるため、心配であれば病院でアレルギーの診断をしてもらうとよいでしょう。

適切に摂取しておいしく健康効果を得よう!

私たちの身体にとって嬉しい健康効果をもたらしてくれるにんにくですが、食べ過ぎると腹痛や皮膚の以上など、悪影響をおよぼす可能性があることがわかりました。

適量を守っておいしく健康効果を得たいですね。今回ご紹介したにんにくを食べるときのポイントを抑えて、副作用を予防しながら上手く食事に取り入れてくださいね!

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