炊きたてのごはんにぴったりの「しらす」。どんぶりにするのはもちろん、冷奴のトッピングにしたり、野菜と合わせて和え物や炒めものにしてもおいしくいただくことができます。

スーパーでよく見かけるしらすですが、生しらすや釜揚げしらす、しらす干しやちりめんじゃこなど、さまざまな名称で販売されています。それぞれどのような違いがあるのでしょうか?

また、新鮮なしらすを見分けるには、どのようなポイントをチェックすればよいのでしょうか?今回は新鮮なしらすの見分け方や上手な保存方法をそれぞれ詳しくご紹介します。

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しらすってなんなの?


そもそも「しらす」とは、イワシの稚魚のことです。神奈川県の湘南をはじめ、静岡県や兵庫県など海岸沿いの地域で多く収獲されています。イワシにも種類があり、春から秋にかけてはカタクチイワシの稚魚、冬はマイワシやウルメイワシの稚魚がしらすとして収獲されます。

しらすは魚をまるごと食べられることから、カルシウムを豊富に摂取することができます。他にも、タンパク質やマグネシウム、リンといったミネラルや糖質などの代謝にかかわるビタミンB群、不飽和脂肪酸であるDHAやEPAを多く含んでいます。

一方で、塩分も多めに含んでいるため食べ過ぎには注意が必要です。しかし、しらすには色々な栄養が含まれているため、健康のために積極的に食べたい食品のひとつでもあります。

しらすとよく似ている小魚

しらすと似ているものとして、「小女子(こうなご)」や「白魚(しらうお)」、「素魚(しろうお)」などがあります。いずれも白っぽくて小さな魚であり、見た目はしらすと似ています。しかし、実はしらすとはまったく別の魚なのです。

小女子はスズキ目イカナゴ科のイカナゴという品種の魚で、西日本では「新子(しんこ)」と呼ばれます。

白魚はサケ目シラウオ科の魚で、和食の料亭などで見かけることが多いのではないでしょうか。素魚はスズキ目ハゼ科の魚で、しらすや白魚と比べるとやや黄色がかった身体の色をしています。博多の踊り食いで食べられているのが、この素魚になります。

しらすにも種類がある


ひとことに「しらす」といっても、さまざまな種類があります。スーパーなどでみてもわかるように、代表的なものとして「生しらす」「釜揚げしらす」「しらす干し」「ちりめんじゃこ」があります。いずれもしらすを原料としていますが、名前が異なります。この名前の違いには、明確な理由があるのです。

生しらす

生しらすは、その名のとおり生の状態のしらすのことです。生のしらすは傷みやすいため、主にしらすの産地やその周辺地域を中心に流通することが多いようです。

釜揚げしらす

釜揚げしらすは、生のしらすをゆでて湯切りしたもので、70~85%の水分を含みます。この釜揚げしらすをある程度乾燥させたものがしらす干しと呼ばれ、水分量は50~60%程度となります。

ちりめんじゃこ

さらに、水分量が25~35%程度まで乾燥させると、ちりめんじゃこと呼ばれるようになります。ちなみに、しらすを板状にして水分量が10~20%程度まで乾燥させたものを、タタミイワシといいます。

このように、しらすの乾燥度合い・水分量によって、しらすの種類が変わってくるのです。それぞれ食べたときの食感に違いがあるため、好みのしらすを見つけるのも楽しいですね。

新鮮なしらすの選び方


しらすの種類についてわかったところで、今度は新鮮なしらすの選び方についてみていきましょう。

釜揚げしらすやしらす干しを選ぶときには、白くつややかなものが上質であるといわれています。ちりめんじゃこの場合は、光沢があり適度に乾燥しているものがよいでしょう。乾燥しすぎていると、身が固くなり苦味が増している可能性があります。

また、しらすをゆでるときの温度が高いと、しらすが折れたり細かくちぎれたりします。この場合、しらすが型くずれして空気に触れやすくなり、味や品質が低下しやすくなります。できるだけしらすが折れたりしていないものを選ぶとよいでしょう。

しらすの大きさについては、口当たりのいいものが好みであれば小さめのしらす、食べごたえがあるものが好みであれば、大きめのしらすがおすすめです。

ちなみに、しらすの色については地域によって好みに差があるといわれています。関東では、全体的に真っ白なものが好まれます。それに対し、関西ではしらすの腹が赤みがかっているものが好まれるようです。

この赤みは、しらすが食べたプランクトンに含まれる色素によるもので、しらす自体の味も濃くなるといわれています。新鮮なしらすを選ぶためには共通したポイントがありますが、その他のしらすの特徴にも注目して、好みのしらすを選び分けるといいですね。

しらすの上手な保存方法


新鮮でおいしいしらすを選んだら、鮮度と品質をキープするために上手に保存しましょう。しらすの種類によって目安となる保存期間が異なるため、その点にも注意して適切な保存方法を選びましょう。

冷蔵保存する場合

まずは、しらすを冷蔵保存する場合についてです。
基本的には、購入したときのパックのまま保存しておいて問題ありません。釜揚げしらすやしらす干しであれば、ザルなどにいれて空気に触れさせたまま保存する方法もおすすめです。徐々に乾燥が進み、しらすの味が濃くなるといわれています。

ただし、乾燥しすぎるとしらすが固くなり味が落ちてしまいます。また、冷蔵庫内でのニオイ移りが気になる場合も、購入したときのパックのまま、あるいはフタ付きの密閉容器などにいれて保存する方法がよいでしょう。

保存期間

冷蔵保存でのしらすの保存期間は、あまり長くはありません。また、しらすの水分量によってもその期間が異なります。しらすの種類ごとの保存期間としては、次の期間が目安となります。

・生しらす:1〜2日
・釜揚げしらす:3〜4日
・しらす干し:5〜6日
・ちりめんじゃこ:1週間

しらすの冷蔵保存の期間は、この中で最も水分量の少ないちりめんじゃこで1週間が目安となります。生しらすであれば、当日中か翌日には食べ切らなければなりません。

ただし、上記はあくまでも目安の期間です。購入したパッケージに記載されている賞味期限を、必ず確認するようにしてください。

冷凍保存する場合

しらすは冷凍保存をして長持ちさせることができます。しらすを多めに購入した場合や、食べきれないと分かった場合には、早めに冷凍保存するようにしましょう。

しらすを冷凍するときは、使いやすいように一度に使う量に小分けしておきましょう。このとき、小分けしたしらすをアルミホイルに包むことで急速冷凍につながり、解凍後のおいしさ・品質を維持しやすくなります。

小分けしたしらすをアルミホイルに包んだら、ジッパー付きの保存袋などに入れます。できるだけ空気を抜いて口を閉じ、平らにならして冷凍庫に入れましょう。

保存期間

しらすを冷凍保存した場合には、約2〜3週間が目安となります。冷凍して1ヶ月ほど経っても食べられますが、冷凍しているとはいえ徐々にしらすの風味や品質は落ちていってしまいます。しらすをおいしく食べるためには、やはり早めに食べきることがおすすめです。

おいしい解凍方法

冷凍したしらすをおいしく食べるためには、解凍方法にもポイントがあります。
しらすに限らず、食品を解凍するときには急激な温度変化を与えると品質が低下してしまいます。そのため、事前に冷蔵庫に移し、時間をかけてゆっくりと解凍させる方法がおすすめです。

冷凍したしらすを夜に使うのであれば、前日の夜か当日の朝に冷蔵庫に移しておけば、十分に解凍されるでしょう。

すぐに使いたいときは流水解凍がおすすめ

しらすを使うまでにゆっくりと冷蔵解凍させている時間がない場合には、流水解凍がおすすめです。常温解凍や電子レンジなどで解凍するよりも、しらすの品質を保つことができます。

流水解凍する場合には、しらすをジッパー付きの保存袋などにいれて密封した状態で、ボウルなどに溜めた流水につけてください。しらすを直接水に入れてしまうと、しらすの風味や味が損なわれてしまいます。しらすの量にもよりますが、流水解凍であれば10~30分もあれば十分に解凍されるでしょう。

また、しらすを加熱調理する場合には、解凍せずに冷凍された状態のまま使用することもできます。ただし、油を多く使用する場合には、しらすから出た水分によって油ハネが起きる危険もあります。調理方法を考慮して解凍方法を選ぶようにしてください。

しらすは腐るとどうなる?


しらすは比較的傷みやすい食材です。特に冷蔵保存をしたまま賞味期限が切れてしまった場合は注意が必要です。しらすが傷むと次のような変化が表れます。

・色が黄色っぽく変色する。
・全体から水分が出て、しらすがベチャッとする。
・異臭がする。

上記のような変化が現れた場合は、しらすが傷んでいる可能性があります。少しでも異変を感じたら、無理に食べようとせず廃棄してください。もったいなく感じるかもしれませんが、食中毒を起こす危険性があります。

「傷んでいる様子はないけれど、少し日が経ってしまった」という場合には、しっかりと加熱してから食べるようにしましょう。いずれにしても、しらすを傷ませないために早めに食べ切るようにし、食べきれないのであればなるべく早く冷凍保存をしておくとよいですね。

新鮮なしらすを選んで、おいしいうちに食べ切ろう

しらすの種類と新鮮なしらすの選び方、上手な保存方法についてご紹介しました。しらすには豊富な栄養が含まれており、子どもからお年寄りまで、幅広い方々に食べていただきたい食品のひとつです。

傷みやすいので、保存期間には注意が必要です。新鮮でおいしいしらすを手に入れたら適切な方法で保存し、品質が低下しないうちにおいしくいただきましょう。

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