「料理のさしすせそ」の「そ」として味噌汁など、和食に欠かせない「味噌」。

産地や原料によって甘口や辛口など色々な味噌がありますが、それらの違いや自分好みの味噌を選ぶポイントをご存知でしょうか?例えば甘口味噌と書いてあっても、白と赤、米味噌と麦味噌ではどう違うのかわかりづらいですよね。

今回は、原料や色から味噌の味を想像できるポイントと上手な保存方法を紹介します!

Sponsor link

味噌は3種類に分類される


スーパーに行くと様々な味噌が売られていますが、味噌は原料・味・色でそれぞれ分類されていることはご存知でしょうか?

味噌は生産される土地によりさまざまな製法があり、味や色、香りの特徴も変わってきます。大きく分けると、原料・味・色の3つに分類されます。味噌を選ぶときは、これらの分類を組み合わせるとより自分の好みに近い味噌が見つけられますよ。

原料で分類

味噌の原料は、米・麦・豆の3種類です。原料と言っても、どの味噌も主原料は大豆です。大豆に麹菌を繁殖させたものを加え熟成させますが、この麹の原料が米・麦・豆になります。

米で麹菌を繁殖させ米麹を加えたのが米味噌、麦で麹菌を繁殖させた麦麹を加えたものを麦味噌といいます。豆味噌は麹を加えずに、豆自体に麹菌を直接繁殖させて作られます。

日本で最も広く生産されている米味噌は、甘酒のようなお米の甘みが強いのが特徴です。麦麹を加えた味噌は九州や四国、中国地方でよく作られています。こちらは麦の香りや風味が強く、比較的あっさりした仕上がりになります。

八丁味噌など東海地方で有名な豆味噌は赤味噌とも呼ばれています。大豆全体が麹となり長く熟成させるので甘みは少なく、色や味、香りが非常に強いのが特徴で、煮込みなどの状時間加熱する料理でも風味が飛びません。

味で分類

味噌の味は原料の種類だけでなく、加える食塩や麹の割合にも左右されます。

塩辛さと甘さのバランスから米味噌は甘味噌、甘口味噌、辛口味噌の3種類に、麦味噌は甘口と辛口に分けられています。

豆味噌の場合は産地や製法が限定されていることから、味による分類はありません。この「辛さ」は加える食塩の量で決まり、「甘さ」は加える麹の割合で決まります。

例えば、同じ米味噌でも米麹の割合が高く食塩が控えめの味噌はより甘い味噌になり、麹が少なく食塩が多い味噌はより塩辛い味噌になります。

色で分類

3つ目の分類方法は色です。この分類は主に米味噌にあたります。淡色が多い麦味噌や、ほぼ赤褐色の豆味噌あまり用いられません。

味噌の色は大豆と同じような色の白味噌、赤茶色が強い赤味噌、その中間の色の淡色味噌の3種類に分けられます。

白味噌は一般的に淡白で甘口のものが多いのですが、これは熟成期間が短いため塩分を控えめにしていることが多いためです。逆に赤味噌は熟成期間が長いため、大豆が傷まないように塩分を強くしているので味が濃い、辛口のものが多くなります。

味噌の色はメイラード反応によって変わる

味噌の色が変わるのは、「メイラード反応」と呼ばれる化学反応によるものです。メイラード反応とは食べ物に含まれるタンパク質と糖が熱で結びつき、香ばしい褐色物質を作り出す化学反応のことで、お肉や魚、パンなどの焦げ色をイメージするとわかりやすいかと思います。

味噌の場合は熟成中の熱により起こります。そのため熟成期間が長いほど色が濃くなり、香ばしい香りもより強くなります。豆味噌の色が非常に濃い赤褐色なのも、1〜2年という長期間熟成させたことによるものです。

なお、メイラード反応は出荷されてからも進むことがあるため、保存状態によっては買ったときよりも色が濃くなることがあります。

合わせ味噌・だし入り味噌

その他の便利な味噌として、合わせ味噌やだし入り味噌があります。

合わせ味噌とは米味噌と麦味噌などの種類の違う麹を入れて発酵したものや、別々に作られた味噌をブレンドしてパッケージに入れたものなど、さまざまな製品があります。調合味噌とも呼ばれます。

料亭などでは複数の味噌をブレンドして使い、複雑な美味しさを作り上げています。このブレンドによる美味しさを家でも気軽に楽しめるように、あらかじめおいしく調合されたものが合わせ味噌です。

だし入り味噌は、味噌に鰹節や昆布などのエキスや砂糖などの調味料を加えたもので、加工味噌とも呼ばれます。わざわざ出汁を取らなくても味噌を溶かすだけで美味しい味噌汁ができるので、インスタントのように手軽に使える味噌です。

最近ではお湯に溶けやすいチューブ入りの柔らかい味噌や、液状のペットボトル入り味噌などより便利な味噌が販売されています。

味噌の選び方


味噌にはさまざまな種類があることを紹介しましたが、実際にお店で味噌を選ぶときにはどこに注目すればよいのでしょうか。

味噌を選ぶときに注目してほしいのが、原材料と色、塩分相当量、そして酒精と加熱の有無です。これらは味噌の裏面を見ることでチェックできますよ。

原材料と色で選ぶ

まず注目してほしいのが原材料です。味噌の分類で紹介したように、味噌は原材料で米味噌、麦味噌、豆味噌に分類されています。

大まかな傾向として米味噌は甘め、麦味噌は香りが豊かであっさり、豆味噌はどっしり濃い味が特徴です。

食品表示法により、原材料の欄には入っている量が多い順に素材の名前が書かれています。米味噌や麦味噌は麹である米や麦が多いほど甘くなるので、甘い味噌を選びたいときは大豆よりも米・麦が先にきているものを選ぶといいでしょう。

合わせ味噌を選ぶときは、米、麦のどちらが先にきているかを、だし入り味噌を選ぶときは味噌の他にどんな材料や調味料が使われているかをチェックしておくとより味の予想ができますよ。

さらに、味噌の色も合わせてチェックしておきます。味噌は色が濃いほど味も濃く、塩分も高くなる傾向があります。

甘めで上品な味付けなら米の白味噌、どっしりとした濃い味なら濃い色の豆味噌など、作りたい料理の味わいに合わせて選んでみてください。

塩分相当量で選ぶ


次にチェックしたいのが、栄養成分表の下に表示してある塩分相当量です。塩分相当量はその名のとおり、味噌に対してどれくらい食塩が含まれているかという数値です。

この量が多いほど塩辛い味噌と考えていいでしょう。甘めの味噌や血圧高めの方は塩分相当量が少ない味噌がおすすめです。

酒精の有無で選ぶ

味噌の原材料名の欄に酒精と書いてあるものものと書いていないものがあります。酒精とはエチルアルコールのことで、お酒や消毒用アルコールと同じものです。

この酒精は雑菌の繁殖を抑えるだけでなく、味噌の中の麹菌の活動をストップさせる働きがあり、これ以上発酵熟成が進まないようにしています。

酒精入りの味噌は発酵が進まないので、長期間保存しても味や風味が変わらないというメリットがあります。一方で、味噌本来の風味が落ちてしまったり、生酵母の効果が失われてしまうというデメリットもあります。

味噌本来の風味や酵母を大切にしたい場合は、酒精なしのものを選ぶといいでしょう。

加熱・非加熱で選ぶ

酵母や風味を重要視するなら、酒精の有無と同じくらいチェックしておきたいのが加熱の有無です。

お店に並んでいる多くは加熱タイプの味噌で、パッケージに詰める前に加熱殺菌をしています。反対に、加熱殺菌をせずにそのままパッケージに詰めている味噌は非加熱味噌、生味噌と呼ばれています。

加熱タイプの味噌は酒精ありの味噌と同じく、酵母を失活させて発酵を止めているので長期間保存をしても品質が安定するのが特徴ですが、生きた酵母を取り入れることはできません。また、高熱により味噌本来の風味が飛んでしまうというデメリットもあります。

非加熱・生タイプの味噌はパッケージに入ったあとも発酵が進んでいるので、保存の状態によっては味噌の風味が変わってしまうことがありますが、味噌本来の味を楽しんだり、生きたままの酵母を取り入れることができます。

どちらにもメリット、デメリットがあることを覚えておいてくださいね。

味噌の上手な保存方法


冷蔵庫の無い時代から利用されてきた味噌は、常温でも長く保存できる保存性の高い調味料です。しかし、いくつか保存の際に気をつけたいポイントもあるのでしっかりとおさえておきましょう。

常温保存する場合

塩分濃度が高く、発酵している味噌は腐りにくいので、常温保存が可能です。特に未開封であれば空気中の雑菌が入らないので、2〜3ヶ月の保存が可能です。

しかし、気をつけたいのが湿気です。味噌は湿気に弱く、開封後に高温多湿の場所に置いておくと味が落ちてしまったり、カビが生えてしまうこともあります。

また、酒精の入っていない生タイプの味噌は麹菌が生き続けています。この麹菌は20℃以上になると活動し発酵を進めてしまうので、風味が変わってしまうことがあるため注意が必要です。

味噌の保存場所は日光の当たらない、風通しのいい場所がおすすめです。特に梅雨の時期はカビが発生しやすくなるため冷蔵保存をしておきましょう。

もうひとつ気をつけたいのが、減塩タイプやだし入り味噌などの加工味噌です。これらの味噌は味噌全体に対して塩分量が少なく糖分などが多いため、細菌やカビが繁殖しやすいので要注意です。これらの味噌は、開封後の常温保存はおすすめできません。

味噌の表面が茶色になっても大丈夫?

味噌を常温で保存していると、黒や茶色に変色してしまうことがあります。これは温度が高すぎて発酵が進んでしまったことが原因です。

腐っているわけではないので食べても害はありませんが、風味は落ちています。味噌汁など風味を楽しむ料理よりは、タレなど合わせ調味料として使うといいでしょう。

保存期間

減塩やだし入りでない味噌であれば、常温保存で約2〜3ヶ月の保存が可能です。

しかし、季節によっては風味が落ちやすかったり、発酵が進んでしまうことがあるので早めに使うか、冷蔵庫での保存がおすすめです。

冷蔵保存する場合

夏場や梅雨の時期だけでなく、味噌を長く保存したい場合は冷蔵保存がおすすめです。

冷蔵庫であれば季節に関係なく保存でき、雑菌の繁殖も抑えられます。また、麹菌の発酵が進む心配もありません。

開封後の味噌を冷蔵庫で保存する場合は、空気に触れている部分が変質してしまったり乾燥してしまうことがあります。カップの場合はラップをしてから蓋をし、袋タイプの場合は口をしっかりと折ってクリップなどで閉じます。

さらに、パッケージの上からジッパー付きの保存袋に入れるか、タッパーに入れるとより品質が保てます。だし入り味噌や減塩味噌などの傷みやすい味噌も冷蔵庫での保存がおすすめです。

保存期間

冷蔵保存の場合は、開封後でも約1年ほど保存できます。しかし、減塩味噌やだし入り味噌は傷みやすいので、早めに使い切るようにしてください。

冷凍保存する場合


味噌は冷凍庫に入れても保存できます。塩分濃度が高いため、家庭用の冷凍庫では凍ることもほとんどありません。柔らかいままなので、解凍する必要もなくそのまま使えます。

保存期間も冷蔵保存と変わらず1年ほど保存が可能です。冷蔵庫が一杯で保存できる場所がないときなどに試すといいでしょう。

また、冷凍庫の場合も乾燥しやすいので、密閉容器に入れてから保存するのがおすすめです。

冷凍保存が不向きな味噌も!

減塩味噌やだし入り味噌は冷凍に向きません。カビや雑菌の繁殖は抑えられますが、味噌に含まれている調味料やエキス分などの添加物が冷凍により変質し、味が変わってしまうことがあるからです。

これらの味噌は冷凍保存せず、冷蔵保存で早めに使い切ることをおすすめします。

保存期間

冷凍庫で保存する場合も冷蔵保存と同じく、保存期間は約1年ほどです。

味噌の保存・使用する際のポイント


通常の味噌を保存する際に気をつけたいポイントは、温度と湿度です。

味噌は温度や湿度が高すぎると発酵が進んでしまったり、カビや雑菌が繁殖してしまうことがあります。

また、空気に触れた部分が酸化により変質してしまったり、乾燥してしまうこともあるのでしっかりとパッケージの口を閉じるか、密閉容器で保管することをおすすめします。

減塩味噌やだし入り味噌は通常の味噌とは違い保存性はよくありません。開封後は冷蔵庫で保存し、できるだけ早く使い切るようにしましょう。

白いシートや脱酸素剤は捨てていいの?

表面に白い紙がくっついていたり、その上に脱酸素剤が置かれていますよね。これらは開封後は捨ててもよいのでしょうか?

味噌の表面にくっついている白い紙は、輸送中に乾燥剤が味噌の中に沈んでしまわないようにするものです。そして乾燥剤は味噌の表面が酸化しないために入れられていますが、開封してしまうとその効力はほとんどなくなってしまいます。

そのため、これらは開封後は処分してしまって構いません。白い紙の代わりにぴっちりとラップを張ってから蓋をして保存しましょう。

賞味期限が切れても食べられる?

味噌は塩分濃度が高いため、賞味期限を過ぎても直ちに傷んでしまうということはほとんどありません。

しかし、保存状態によっては酸化や発酵で味が変わってしまったり、カビが生えてしまうこともあります。おいしく食べるためには、できるだけ賞味期限内に使い切るようにしましょう。

上部に醤油のようなものが溜まったときは?

味噌を保存していると、味噌の旨味成分が分離して表面に浮き出てしまうことがあります。これは傷んでいるわけではないので、味噌に混ぜ込んでしまって大丈夫です。

混ぜ込むときは、清潔なスプーンなどを使って雑菌が入らないように気をつけてくださいね。

味噌は冷蔵庫で長期保存が可能!

今回は、調味料の基本である味噌の選び方と保存方法について紹介しました。

ひとくちに味噌といっても、原料や製造方法によって味も色もさまざまです。ぜひ今回のポイントを参考に、自分好みの味噌を探してみてくださいね!

また、同じ味噌でも減塩やだし入り味噌は便利な半面、保存性が大きく下がります。通常の味噌とは別物と考えて、早めに使い切るようにしましょう。

スポンサーリンク