独特な風味と歯ごたえのある食感で和食に欠かせない「ごぼう」は、老若男女問わず多くの人から親しまれている野菜のひとつです。
日本の食卓に欠かせないといっても過言ではないごぼうですが、正しい保存方法を知っていますか。ごぼうは乾燥が大の苦手。保存の仕方を間違えると、すぐに水分が抜けて美味しくないごぼうになってしまいます。
そこで今回は、ごぼうの美味しさをできるだけ損なわない保存方法をお教えします。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
目次
常温保存する場合
ごぼうは気温が高い場所での保存は適していませんが、冬であれば常温保存することも可能です。常温保存する場合は土付きのままで新聞紙にくるんで乾燥しないようにします。そして、根を下にして立てて保存しましょう。
もし、長すぎて保存が難しいという場合は適当な大きさに切ってから保存するようにしてください。
この場合は、「ごぼうの選び方」でもご説明したとおり、切り口から水分が蒸発することを防いでくださいね。切り口が空気に触れないようラップでしっかりと包んでおきましょう。
冷蔵保存する場合
ごぼうを冷蔵保存する場合は、保存しやすい適当なサイズにカットし、湿った新聞紙でごぼうをくるんで、保存容器や保存用袋に入れましょう。
湿った新聞紙を使うのは、ごぼうをできるだけ乾燥させないためです。ごぼうは乾燥しやすい野菜で、乾燥すると美味しさが損なわれてしまいます。保存する場合には、できるだけごぼうが乾燥しないように注意しましょう。
さきがけで保存する場合は?
下準備も兼ねてささがきなど、スライスしてから保存する方法もあります。この場合は保存容器に酢水を入れてその中で保存します。しかし、この方法では時間とともに栄養素が抜けてしまうので、長期保存には向いていません。できるだけ早く消費するようにしましょう。
冷凍保存する場合
ごぼうを冷凍保存する場合は、ささがきなどにして5分ほど水にさらします。そのあと、キッチンペーパーで水分をよくふき取り、保存用袋などに入れて冷凍庫で保存します。
急速に冷凍した方が鮮度が保たれやすいので、金属製のトレーの上に置いて冷凍するといいでしょう。1時間ほどしたら、袋を軽く叩いてごぼうをバラしておきます。バラしておくと小分けで使いたいときに便利です。
冷凍ごぼうの上手な解凍方法は?
ごぼうは水分が失われてしまうと独特の食感が損なわれるとともに、旨味も失われてしまいます。そのため、使用する時はできるだけ水分が流れてしまわないように、解凍せずにそのまま調理することをおすすめします。
例えば、煮物などには煮汁にそのまま投入するようにしましょう。どうしても調理前に解凍したいときは電子レンジの解凍モードを使って解凍するようにしてください。
天日干ししてから保存する場合
ごぼうは天日干しすることでうま味がギュッと濃縮され味が濃くなります。乾燥したごぼうは水分を吸収しやすくなるので、料理により一層深みがでます。
用途に合わせて乱切りやささがき、細切りにごぼうをカットしたら野菜ネットに広げ、天候がよく風通しがいい場所に干しましょう。
調理にすぐ使いたい場合(セミドライ)は3〜5時間ほど天日干しします。しっかり乾燥(フルドライ)させれば長期保存も可能です。その場合は3〜4日間ほど乾燥させてください。時々裏返して両面を干しましょう。
干しごぼうの保存期間は?
フルドライのごぼうは保存袋や容器に入れて常温で1ヶ月ほど。セミドライは冷蔵保存で1週間ほど保存が可能です。手間はかかりますが、そのぶん料理がグッと美味しくなるのでぜひ一度試してみてください!
ごぼうは腐るとどうなる?
ごぼうは腐ると下記のような症状が現れます。
・酸っぱい臭いがする
・水分が抜けてカラカラになっている
・柔らかくグニャグニャと曲がる
・カビが生えている
臭いや見た目で腐っているかどうか判断できる場合はいいですが、乾燥してカラカラになっていたり柔らかくなっている場合もあるので、長期間放置してしまった場合は調理する前に感触を確かめてみるといいでしょう。
美味しいごぼうの選び方
見た目での見分け方
美味しいごぼうの見分け方はいくつかポイントがあります。それぞれ詳しくご紹介していくので、ぜひ覚えておいてくださいね!
ひげ根が少なく太さが一定
ごぼうは土の中で育ちますが、美味しいごぼうはいい土で育てられることが大前提です。いい土の中で育ったごぼうはあちこちに根を張らなくても、充分栄養をとることができます。そのため、ひげ根を出す必要がありません。
また、全体に栄養が行き渡っているため、部分的に細くなったり、太くなったりすることもありません。ですから、できるだけひげ根が少なく、太さが一定で凹凸のないごぼうを選ぶとよいでしょう。
土がついている
ごぼうは皮が薄く、土を取ると乾燥しやすくなります。そのため、土を取ることは鮮度を失ってしまうことにつながります。できるだけ土がついたままのごぼうを購入するようにしてください。家で保管するときはできるだけ、土をつけたままにしておきましょう。
切り口がみずみずしい
鮮度のいいごぼうを見分けるには切り口にも注目してみてください。水分の蒸発が早いごぼうは、収穫してから時間が経っているとすぐに切り口が乾燥し、スカスカの状態になってしまいます。
購入する際は、できるだけ切り口がみずみずしいごぼうを選ぶようにしてください。
感触での見分け方
ごぼうが新鮮かどうかは、感触でも確かめられます。収穫してから時間が経っているごぼうは切り口を中心に、徐々に水分が蒸発しています。逆に、鮮度のいいごぼうは水分をたっぷり含んでいるため収穫から時間が経っているものと比べると重さを感じることができます。
また、収穫から時間が経って水分が抜けたごぼうは、ぐにゃぐにゃとしていて芯のない状態になります。できるだけ重みがあって、芯がしっかりとしたごぼうを選ぶといいですよ。
ごぼうには消臭効果がある!?
実はごぼうには消臭効果があります。ごぼうに豊富に含まれるポリフェノールがニオイを吸着するためといわれています。
ごぼうを魚や肉と一緒に調理すると、独特の生臭さを消して料理をおいしく仕上げてくれます。ただし、ごぼうのポリフェノールは皮に多く含まれており、水に溶けやすい性質を持っています。
調理する時は、よく洗って皮ごと調理するのがおすすめです。また、切ったごぼうを水にさらすときには短時間で済ませると良いでしょう。
食べる前にアク抜きは必要?
ひと昔前のごぼうと比べて、今のごぼうは食べやすいように品種改良されているため、アクもそれほど強くありません。そのため、わざわざアク抜きをする必要はないと言われています。
アクにはポリフェノールが多く含まれていますが、このポリフェノールはトマトなどに含まれるリコピンと同様に抗酸化作用が強く、生活習慣病の予防にもよいとされている物質です。
ごぼうに含まれる栄養素をなるべく摂取するためにもアク抜きはせず、調理されることをおすすめします。どうしても気になる…という場合は、水に浸すのは5分ほどにとどめておきましょう。
ごぼうのカロリーはどれくらい
続いて、ごぼうのエネルギー量や代表的な栄養素についてみていきましょう。
大きさにもよりますが、ごぼう1本がおよそ150~200gです。つまり、ごぼう1本あたりおよそ98~130kcalです。
野菜の中では比較的高めのエネルギー量であるといえます。しかし、ごぼうは噛みごたえがあり自然と咀嚼回数が増えるため、満腹中枢を刺激して食べ過ぎの防止に繋がります。
ごぼうに含まれる代表的な栄養素
上記の表を参考に、ごぼうに含まれる代表的な栄養素の働きや効果をみていきましょう。
ごぼう(根、生)可食部100gあたり | 栄養素量 |
エネルギー(kcal) | 65 |
たんぱく質(g) | 1.8 |
脂質(g) | 0.1 |
炭水化物(g) | 15.4 |
カリウム(mg) | 320 |
葉酸(μg) | 68 |
食物繊維 | |
水溶性食物繊維(g) | 2.3 |
不溶性食物繊維(g) | 3.4 |
大きさにもよりますが、ごぼう1本がおよそ150~200gです。つまり、ごぼう1本あたりおよそ98~130kcalです。
野菜の中では比較的高めのエネルギー量であるといえます。しかし、ごぼうは噛みごたえがあり自然と咀嚼回数が増えるため、満腹中枢を刺激して食べ過ぎの防止に繋がります。
ごぼうに含まれる代表的な栄養素
上記の表を参考に、ごぼうに含まれる代表的な栄養素の働きや効果をみていきましょう。
タンパク質
タンパク質の中でも、ごぼうには「アルギニン」と「アスパラギン酸」というアミノ酸が豊富です。
アルギニンは成長ホルモンの分泌に関与しており、特に成長期の子どもに必要なアミノ酸です。また、免疫機能の向上や脂質代謝の促進など、体内で様々な機能に関与しています。
アスパラギン酸は、エネルギーを生み出すクエン酸回路に関与しており、疲労回復や免疫力の向上に効果があるといわれています。
カリウム
カリウムは主に体内の水分の代謝に関わっています。細胞内の余分な水分を排出させる働きがあり、むくみの防止・解消や血圧上昇の抑制に役立ちます。
葉酸
葉酸はビタミンB群のひとつで、アミノ酸の代謝やビタミン類の代謝に関与しています。
また、ヘモグロビンの合成にも関与しており、貧血の予防・改善にも必要な栄養素です。さらに、神経系の発達にも欠かせない栄養素で、赤ちゃんの成長のために妊娠・授乳中の女性には積極的に摂取したい栄養素です。
食物繊維
ごぼうの食品成分表をみると、炭水化物が15.4gと野菜の中では比較的多くなっています。
しかし「炭水化物=糖質+食物繊維」であり、ごぼうの場合は炭水化物のうち1/3以上が食物繊維です。食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があります。
水溶性食物繊維は水に溶ける性質があり、糖質や脂質の吸収を穏やかにして血糖値の急激な上昇や血中脂質の上昇を抑えてくれます。
不溶性食物繊維は保水性が高く、胃腸で水分を吸収して膨らみ、蠕動(ぜんどう)運動を促進してお通じを促します。
また、いずれも大腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増やす作用があり、腸内環境を整える効果があります。
ごぼうには「イヌリン」という食物繊維が多く含まれており、腸内環境を整えて便秘の予防・改善に役立つほか、血糖値や血中脂質の上昇を抑えてくれます。
ごぼうにも種類がある
もともとは中国の薬草として使われていたごぼう。日本に伝わったのは平安時代ごろと言われています。棒状のものしか見かけないためごぼうは1種類しかないと思われがちですが実は、いくつか種類があります。
滝野川ごぼう
東京都北区滝野川付近で江戸時代から栽培されていることから「滝野川ごぼう」と呼ばれています。香り高く弾力のある食感が特徴で「江戸東京野菜」にも指定されています。
スーパーなどでよく目にするごぼうの多くが滝野川ごぼうから派生したものだと言われています。もっとも口にするごぼうといってもいいでしょう。
堀川ごぼう
京野菜のひとつで、長さ50センチ程度、直径は6〜9メートルにまで成長する大きなごぼうです。中に空洞があるのが特徴で収穫するまでに約2〜3年ほどかかります。
希少価値が高く料亭などで主に使用されます。価格は1本700円ほどと一般的なごぼうの約3倍ほどの値がつきます。
新ごぼう
一般的なごぼうは晩秋から栽培し冬に収穫しますが、「新ごぼう」は初夏あたりに収穫した若取りしたもののことを言います。夏に収穫することから別名「夏ごぼう」とも呼ばれています。
成長していないため身が柔らかく、上品で優しい香りが特徴。サラダや和え物などに適しています。
ごぼうを賢く保存しよう!
ごぼうは独特の食感と風味があり、和食には欠かせない野菜です。また食物繊維などの栄養素も豊富に含んでいるので、健康維持のためにも欠かせない食材です。用途に合わせた保存方法でごぼうを賢く保存しましょう。ぜひごぼうを美味しく召し上がってくださいね!
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