一年中、スーパーや青果店に並ぶ「ブロッコリー」は歯ごたえもよく、調理がしやすいため頻繁に購入される方も多いのではないでしょうか。ですが、さまざまな料理で活躍してくれる反面、ブロッコリーは傷みやすいという特徴もあります。

しかし、適切に保存すれば、美味しさを持続させることができます。ぜひ、ブロッコリーの保存方法をマスターして日々の食生活に役立ててくださいね!

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ブロッコリーってどんな野菜?

ブロッコリーはキャベツなどと同じでアブラナ科に分類されます。地中海沿岸が原産でイタリア語で「枝や茎」を意味します。茎が柔らかいことからイギリスやフランスでは肉料理に欠かせない野菜として親しまれていたようです。

日本に伝わってきたのは明治初期ごろ。その当時はなかなか親しまれず、ポピュラーになり始めたのは昭和40年代からと言われています。

実は、普段食べているブツブツとしている部分は蕾だということをご存じですか。「花蕾」と呼ばれており蕾を食べるかなり珍しい野菜でもあります。枝や茎も食べられるため、捨てる部分がない野菜といっても過言ではありません。

油と一緒に調理することでβカロテンの吸収率がよくなるので、炒め物などにも向いています。

ブロッコリーに含まれる栄養素


緑黄色野菜のブロッコリーには様々な栄養素が含まれています。代表的な栄養素について、その量と働きをみていきましょう。

ブロッコリー(花序、生)可食部100gあたり 栄養素量
エネルギー(kcal) 33
たんぱく質(g) 4.3
脂質(g) 0.5
炭水化物(g) 5.2
カリウム(mg) 360
カルシウム(mg) 38
βカロテン(μg 800
ビタミンB1(mg) 0.14
ビタミンB2(mg) 0.20
ビタミンB6(mg) 0.27
葉酸(μg 210
パントテン酸(mg) 1.12
ビタミンC(mg) 120
食物繊維(g) 4.4

参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ブロッコリーは100gあたり33kcalで、タンパク質を4.3g含みます。野菜の中ではトップクラスのタンパク質含有量で、低カロリー高タンパクな食材です。

炭水化物は5.2gですがそのうちの4.4gが食物繊維で、糖質は0.8gと低糖質な食材でもあります。続いて、ビタミン・ミネラルについてみていきましょう。

・カリウム
カリウムは私たちの身体に欠かせないミネラルのひとつで、主に体内の水分の代謝に関わっています。細胞内の余分な水分を排出させる働きがあるため、むくみの防止・解消や血圧上昇の抑制に役立ちます。

・カルシウム
カルシウムは骨や歯の原料となる他、筋肉の収縮や血液凝固、神経伝達、免疫機能の維持など、身体の中で重要な役割を担っています。

日本人に唯一不足している栄養素ともいわれており、不足すると骨粗鬆症の原因になるほか、肥満や高血圧、動脈硬化、生活習慣病を引き起こす可能性があります。

・βカロテン
βカロテンはプロビタミンAと呼ばれる物質のひとつで、体内に吸収されると必要な分だけビタミンAに変換されます。

ビタミンAとしては、視力の正常維持、免疫力の向上、皮膚・粘膜の正常維持といった働きがあります。また、βカロテンはカロテノイド色素のひとつで抗酸化作用もあり、抗ガン作用や生活習慣病の予防、アンチエイジングにも効果が期待できます。

・ビタミンB1
ビタミンB1は糖質やアミノ酸の代謝に関与しています。不足すると、倦怠感や食欲不振を引き起こす可能性があります。

・ビタミンB2
ビタミンB2は糖質やアミノ酸、脂質、エネルギーの代謝に関与しています。エネルギーの生産を促進してくれるため、疲労回復に役立ちます。そのほか、皮膚・粘膜の正常維持にも関与しており、口内炎や皮膚炎の予防、肌荒れの予防・改善にも効果が期待できます。

・ビタミンB6
ビタミンB6は糖質やアミノ酸、脂質の代謝に関与しています。また、セロトニンやドーパミン、アドレナリンといった生理活性物質の合成にも必要な成分です。ホルモンの働きを調整する働きも担っており、不足すると口内炎や皮膚炎、貧血の原因にもなります。

・葉酸
葉酸はアミノ酸・ビタミン類の代謝に関与しています。また、ヘモグロビンの合成にも関与しており、貧血の予防・改善にも必要な栄養素です。

さらに、神経系の発達にも欠かせない栄養素で、特に赤ちゃんの成長のために妊娠前・妊娠中・授乳中の女性は不足しないよう注意が必要です。

・パントテン酸
パントテン酸は糖質やアミノ酸、脂質などに広く関与しています。

エネルギー代謝にも関わっているため、疲労回復にも役立ちます。通常の食事をしていれば不足することは少ないですが、不足すると頭痛や不眠、疲労感、食欲不振などを引き起こす可能性があります。

・ビタミンC
ビタミンCは水溶性ビタミンで、体内の物質代謝や酸化還元反応などに広く必要とされる成分で、免疫力アップやコラーゲンの生成などを助けてくれます。

また、鉄分の吸収を促進する作用があり、貧血の予防・改善にも効果的です。さらに、抗酸化作用がありアンチエイジングや生活習慣病の予防にも役立ちます。

しかし、ビタミンCは加熱に弱い性質を持っています。そんなビタミンCをたくさん残すには「蒸し加熱」がおすすめです。

ブロッコリーを茹でた場合のビタミンC残存率は約50%ですが、蒸した場合は約90%まで増加します。

また、蒸し加熱のほうが使う水の量が少なく、沸かすまでの時間が短く済みます。栄養も残しつつ調理の時短にもなり、一石二鳥です。

・食物繊維
食物繊維は大腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増やす作用があり、腸内環境を整える効果があります。さらに、一緒に摂取した糖や脂質の吸収を穏やかにするため、血糖値や血中脂質の上昇を緩やかにしてくれます。

・スルフォラファン
ブロッコリーには「スルフォラファン」という成分が含まれています。

スルフォラファンはブロッコリーの辛味成分のひとつで、最近テレビ番組などでも取り上げられ話題となっている成分です。

スルフォラファンには強い抗酸化作用があり、解毒作用や抗ガン作用、生活習慣病の予防に役立ちます。さらに、近年の研究でスルフォラファンにはピロリ菌の除菌作用や花粉症の症状緩和作用もあるといわれており、私たちの健康にとって嬉しい効果を合わせ持っています。

スルフォラファンはブロッコリーに含まれている成分ですが、特にブロッコリーの新芽である「ブロッコリースプラウト」に豊富に含まれているようです。

参照:NHK出版 からだのための食材大全

ブロッコリーはダイエットにもおすすめ?


ブロッコリーに豊富に含まれている栄養素によって、ダイエット中の方にも嬉しい効果が期待できます。ブロッコリーが持つダイエットに役立つ効果をご紹介します

代謝の促進

ブロッコリーにはビタミンB群が豊富に含まれています。

ビタミンB群は糖質やアミノ酸、脂質などの代謝を促進し、エネルギーへの変換をスムーズにしてくれます。そのため、摂取した糖質や脂質を燃焼しやすく、脂肪として体内に蓄積されにくくなるのです。

また、ビタミンB群は単体で働くよりも、ビタミンB群同士で相互にサポートしあって働きます。そのため、各種ビタミンB群を含んでいるブロッコリーは、ビタミンB群が働きやすい食材といえます。

さらに、ブロッコリーにはタンパク質も多く含まれているため、筋肉・代謝の維持・増進にも役立ちます。

むくみの改善

先ほど説明したように、カリウムは体内の余分な水分を排出してくれます。そのため、むくみを予防・解消してくれる効果が期待できるのです。

便秘の解消

ブロッコリーに豊富に含まれている食物繊維は胃腸で水分を吸収して膨らみ、便のかさを増してくれます。さらに、胃腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にすることで、便の排出を促してくれるのです。

また、食物繊維が腸内の善玉金を増やして腸内環境を整えてくれるため、便秘の予防・改善につながります。

美肌効果

ダイエット中には食事制限や生活習慣の変化、ストレスなどによって、肌荒れなどのマイナートラブルが起こりがちです。

しかし、ブロッコリーに含まれる食物繊維で腸内環境が改善されることによって、老廃物の排出が促され肌トラブルの防止につながります。

さらに、ブロッコリーに豊富に含まれているβカロテンやビタミンB群が皮膚・粘膜の正常維持のために働くため、肌荒れの予防・改善に役立ちます。

新鮮なブロッコリーの選び方


まずはできるだけ新鮮なブロッコリーを選ぶところから始めましょう。美味しいブロッコリーは鮮度が大切です。新鮮なブロッコリーの見分け方のポイントをご紹介しますので、参考にしてみてください。

濃い緑色をしている

新鮮なブロッコリーは濃い緑色をしています。黄色っぽい色をしているブロッコリーは収穫してから時間が経っていたり、美味しい時期を過ぎてしまっている場合が多いです。

小さな葉が周りについている場合は、この葉の部分が生き生きとしているかどうかにも注目してみてください。葉が生き生きしているということは収穫してからあまり時間が経っていない、すなわち新鮮である場合が多いからです。

全体が固く、つぼみが小さい

食べごろで美味しいブロッコリーは房と房の間隔が詰まっていて、間が見えずぎゅっと固まっています。そして一つ一つのつぼみが小さく、閉じているという特徴があります。

逆につぼみが開きそうになっていたり、触った感じが柔らかいと鮮度が落ちていることが多いので、購入する時には店頭でいくつか見比べてから選びましょう。

軸の切り口がみずみずしい

ブロッコリーは収穫してから時間が経っていると、軸の切り口が乾燥してきます。収穫してすぐのブロッコリーは軸の切り口がみずみずしいので、購入する際はぜひ切り口もチェックして新鮮なブロッコリーを選んでくださいね。

茎までまるごと食べて栄養促進

ブロッコリーは抗がん物質を豊富に含んでいることから近年注目されている野菜のひとつでもあります。ブロッコリーに含まれるビタミンCはレモンの2倍もあり、栄養価にも優れています。

加熱する際はビタミンCをできるだけ損なわないためにもサッと茹で、ザルにあげた後は水にさらさないようにしましょう。

ブロッコリーを冷蔵保存する場合

生のまま冷蔵保存する方法

ブロッコリーは涼しい気候を好む野菜です。そのため、購入してそのまま保存する場合には必ず冷蔵庫で保管するようにしましょう。保存する際は、小さな葉を取り除き、乾燥しないように湿らせた新聞紙などで包み、その上からビニール袋やラップでくるんで穂先が上になるように立てて保存します。

時間が経つとつぼみが開いて黄色くなり、味や栄養価が落ちてしまうので、購入後はできるだけ早く調理して食べるようにしましょう。

保存期間

約2〜3日

茹でてから冷蔵保存する方法

ブロッコリーは茹でてから冷蔵保存する、という方もいるでしょう。買ってきてすぐに茹でて保存しておけば、調理する際にひと手間省けて便利ですよね。

茹でる場合は1.5リットルのお湯に大さじ1杯の塩を入れて、2分ほど茹でます。茹ですぎるとせっかくの歯ごたえを損なってしまうので、少し固めに茹でるようにしましょう。茹で上がったブロッコリーはザルに挙げて、そのまま粗熱が取れるのを待ちます。

はやく冷まそうと水にさらしてしまうと、ビタミンCなどの栄養素が逃げてしまいます。また、水っぽくなってしまうので、茹でた後は水にさらさないようにしましょう。熱が冷めたら、密閉できる保存容器に入れて冷蔵庫に保管します。ブロッコリーは加熱した後でも傷みやすいので、できるだけ早く食べてくださいね。

保存期間

約1〜3日

ブロッコリーを冷凍保存する場合

生のまま冷凍保存する方法

ブロッコリーは冷凍保存も可能です。生のまま冷凍保存する場合は房にわけて切り、一つ一つをラップで包み、保存容器や保存袋に入れて冷凍庫で保存します。

冷凍保存する際、できるだけ急速に冷凍した方が鮮度が落ちません。ラップの上からアルミホイルで巻いたり、金属製のトレーの上にブロッコリーを置いて保存するとよいでしょう。

保存期間

約1ヶ月

茹でてから冷凍保存する方法

次に茹でてから冷凍保存する方法をご紹介しましょう。まず、ブロッコリーを房に切り分けます。冷蔵保存する場合と同じく、1.5リットルのお湯に大さじ1杯の塩を入れて茹でます。こちらも冷蔵保存するときと同様に2分を目安に茹でてください。

柔らかくなり過ぎないように、通常より少し早めにザルにあげましょう。早めにあげることで、ビタミンCの流出を防ぐことができます。ザルにあげたブロッコリーはキッチンペーパーで水分をよくふき取り、粗熱がとれたら保存容器や保存袋などに入れて冷凍庫で保存します。

保存期間

約1ヶ月

解凍方法

冷凍したブロッコリーを解凍する場合は、電子レンジの解凍モードを使ってゆっくり解凍するか、自然解凍しましょう。

解凍するために再度茹でると、水っぽくて柔らかくなってしまいますし、水溶性のビタミンも流出してしまいます。電子レンジの場合は、お使いのものにもよりますが、大体20秒〜40秒くらいを目安に解凍してください。

傷んだブロッコリーの見分け方


ご紹介した保存方法でも季節や場所によってブロッコリーが早く傷んでしまうことがあります。まず、つぼみ部分が黄色くなってきたり花が開いてきている場合は劣化し始めたサインですので、できるだけ早く消費するようにしましょう。

カビやぬめり、臭いがするようなら腐っている証拠です。消費せず、廃棄するようにしてください。ブロッコリーは涼しい場所を好む野菜ですから、長時間あたたかい場所に放置するなどしないように気を付けてください。

賢く保存してブロッコリーを楽しもう!

ブロッコリーの保存方法について説明しました。用途に応じて保存方法を使い分けることで、日々の調理の手間が省けますし、美味しさを保つことができます。ブロッコリーをより美味しく保つために、ぜひ試してみてくださいね!

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