独特のネバネバと臭いで好き嫌いが分かれる納豆。健康食品としても優秀な食材です。
しかし、3個パックで売られていることが多く、食べきれずにいつの間にか賞味期限が過ぎていた…なんて経験された方も多いはず。今回はそんな納豆の上手な保存方法を紹介します!栄養を無駄にすることなく長期保存できるので、ぜひ活用してみてくださいね。
知ってる?納豆の名前の由来
「納豆」という呼び名は、どのような由来で名付けられたかご存知ですか?諸説ありますが、お寺の「納所」から来たという説が有力です。
納所とは、寺院の事務所や倉庫の役割の場所のことで、台所としても機能しています。その納所で作られた豆加工品ということから、納豆と名付けられたという説が元禄時代の書物『本朝食鑑』に記されています。
当時、肉食を禁じられていた僧侶にとって、保存が効く納豆は重要なタンパク源として身近な食材として人気だったそうです。その他にも、壷や桶に「納めた豆」が由来という説や、神様に「納めた豆」が由来という説もあります。
納豆がネバネバとしている原因
納豆嫌いな人は、やはりあのネバネバとした食感が苦手…という人が多いです。逆に、好きな人はあのネバネバがなければ納豆ではないというほど、納豆とネバネバは切っても切れない関係です。ではなぜ、納豆はネバネバしているのでしょうか。
ネバネバの正体は、納豆菌により分解された大豆のタンパク質です。分解されると、ポリグルタミン酸と呼ばれるアミノ酸とフラクタンという水溶性の食物繊維に分解されて納豆の表面に膜を作ります。
このポリグルタミン酸は、うま味調味料や昆布などでおなじみの旨味成分グルタミン酸がたくさん結合したもので、蜘蛛の糸のような繊維状につながっています。
さらに、水溶性食物繊維繊維であるフラクタンのもつネバネバの特性が、ポリグルタミン酸の繊維をより粘り気の強い構造にしています。
納豆を混ぜるとネバネバが増えるように感じますが、これは納豆の表面に作られたネバネバ成分が混ぜることにより引き伸ばされて糸状になるためです。
ネバネバ成分の量自体が増えるわけではないので、混ぜれば混ぜるほど旨味や栄養が増えるというわけではありません。
粒で選ぶ納豆の選び方
ひとくちに納豆と言っても、原料豆の選び方から加工方法までその種類はさまざま。それぞれに味や匂いの特徴があります。
ここでは、スーパーなどでよく見かける大粒納豆、小粒納豆、ひきわり納豆ごとにそれぞれの特徴を紹介します。特徴をもとに自分に合った納豆を探してみてください!
大粒納豆
大粒の大豆を原料にしたものが大粒納豆です。
粒が大きいので芯まで発酵していないことが多く、比較的匂いも少なめ。豆の甘みや歯ごたえが残っていることが特徴です。ご飯のおともはもちろん、味噌汁などに入れるのもおすすめです。
小粒納豆
小粒の大豆を原料にしたものが小粒納豆です。粒が小さく納豆菌が触れる面積が大きいため、中までしっかりと発酵します。柔らかく旨味や粘り気が強いぶん、ニオイも強いのが特徴です。
大粒納豆よりもネバネバや旨味を楽しめるので、ご飯にのせて食べるのにおすすめの納豆です。
ひきわり納豆
ひきわり納豆は粒納豆を刻んだものと勘違いされることが多いですが、大豆の段階で挽いてから発酵させています。
粒納豆との最大の違いは発酵スピードです。ひきわり納豆は皮を除去しているので発酵が早く進みます。大粒・小粒納豆とはまた違った風味に仕上がります。
ご飯にかけたり納豆巻きにするほか、柔らかく潰しやすいのでタレや離乳食などにも利用しやすい納豆です。
納豆は冷蔵保存が基本!
大豆を発酵させた味噌が常温保存できることから、納豆も常温で保存ができると思っている人もいるのではないでしょうか?残念ながら、納豆菌は10℃以下でないと保存に適しません。
大豆が納豆になってからも納豆菌は活動しています。10℃以上の環境に置いておくと納豆菌がふたたび活性化してしまい発酵が進んでしまいます。
腐敗ではなく発酵するならいいのでは?と思うかもしれませんが、実はそうでもありません。
腐敗とは違い食べられなくなるわけではありませんが、お店に並んでいる納豆は食べごろの発酵具合で納豆菌の活動を遅くしています。
それ以上発酵させてしまうと、臭いがきつくなったり、チロシンという結晶がでてきてざりざりっとした舌触りになってしまったりと風味や食感が変わってしまいします。
上手な冷蔵保存法
パック入りの納豆は、そのまま冷蔵庫に入れて保存します。
食べかけのものは、ラップをかけて水分が蒸発しないようにしておきましょう。納豆菌は水分がないと弱ってしまう特性があります。表面が乾燥したりすると腐敗やカビが発生してしまうこともあるので、乾燥させないように注意してください。
保存期間
保存期間は約1週間〜10日ほどです。
基本的に適切に保存してあれば腐ることはほとんどありません。しかし、冷蔵庫の温度では納豆菌の活動は完全には止まっておらず、ゆっくりと発酵が進んでいます。
また、タレをかけた納豆は時間が経つとタレの水分が飛んだり、塩分が豆に染み込み味や食感が変わってしまうこともあります。
冷凍保存する場合
より長く保存したい場合は冷凍保存がおすすめです。
冷凍保存をすると納豆菌の活動は完全に停止するので、長期保存が可能となります。
納豆菌が死んでしまうのでは?と心配になるかもしれませんが、納豆菌は生存できない状況になると芽胞菌という、硬い殻の中で生きたまま休眠する状態になります。
ふたたび生存に適した環境になると眠りから覚めて、納豆菌として活動を再開します。
納豆を冷凍保存する際は、パックのままではなくラップに包んでから、ジッパー付きの保存袋に入れるようにしましょう。
パックのままラップに包んでも構いませんが、かさばるのが嫌な場合は、納豆のみをラップで包んでください。どちらの場合も、乾燥を防ぐためにぴっちりとラップで包むようにします。
ジッパー付きの保存袋に入れて冷凍庫にしまえば保存完了です!
保存期間
保存期間は約1ヶ月ほど。期間を過ぎても食べられますが、乾燥などの影響で風味は少しずつ落ちていきます。おいしく食べるなら長くても3ヶ月が無難でしょう。
美味しい解凍方法
おすすめ解凍方法は冷蔵庫での自然解凍です。一晩ほど冷蔵庫に入れておけば、翌朝には解凍されています。
常温の自然解凍では温度が高すぎて、表面だけ再発酵が進んでしまったり、傷んでしまう恐れがあるので避けましょう。
また、電子レンジでの解凍もNGです。納豆菌自体は100℃の加熱殺菌でも死なないほど強いのですが、ナットウキナーゼは熱に弱く、50℃程度で失活してしまいます。
なお、解凍したものは冷蔵庫で保存し、できるだけ早く食べるようにしてください。
冷凍して納豆菌を休眠させた場合、納豆菌の活動再開までにやや時間がかかります。その間に、雑菌やカビ菌などが増殖してしまうとこちらが優勢になり、カビが発生したり腐敗したりする可能性があります。
納豆は腐るとどうなる?
解凍後に放置したり、乾燥したまま長期間保存するなど、納豆菌がうまく働けない状況では、腐敗してしまうことがあります。
腐敗が進んだ納豆は変色や水っぽくなったり、糸がひかなくなっているなどの特徴があります。食べる前に必ずニオイもチェックするようにしてください。
ちなみに、白い結晶のようなものがついている場合がありますがそれはカビではなく、発酵により作られたアミノ酸であるチロシンです。ジャリジャリとした舌触りですが健康に害はありません。
納豆を上手に保存しよう!
今回は、納豆の保存方法のポイントと豆知識を紹介しました。納豆は長期保存に適した食材です。
豊富な栄養は大人はもちろん、離乳食にもぴったり。適切に保存して積極的に取り入れてくださいね!